そのKPIは本当に達成すべきか?
定石は踏むべきだが、増え続けるKPIに対して見直しと方針設定がなければ、マーケティング担当者は早々に疲弊してしまう。
「セッションの冒頭で、定性的な振り返りの重要性について触れましたが、もちろん定量的な部分の見直しも必要です。設定しているKPIは本当に達成しなければならない数値なのかどうか、振り返りの際に再考する必要があるでしょう」(浅野氏)
振り返りを行っていない場合、どのようなことが起き得るのか。「重視する必要のない指標までKPIに設定してしまう」「前任者から引き継いだKPIの見直しができていない」「そもそも何のためにそのKPIを追っているのか担当者が理解していない」などのケースが挙げられる。中には担当者が自身でコントロールできない数値まで追っていることもあるという。
ではどのように「追うべきKPI」を見極めれば良いのだろうか。浅野氏によると、BtoBマーケティングの場合は“後続”に位置する「営業やインサイドセールスへのインパクト」を物差しとして用いることが有効とのことだ。
「今追っているKPIは、後続の営業やインサイドセールスに対して真にインパクトをもたらすものでしょうか? 過去と現在では状況が変わっていることもあります。今一度インパクトの程度を確認し、インパクトの小さいものは、たとえ数字が取れたとしても追わないようにする決断が必要です」(浅野氏)
The Modelがマッチするか否かを見極める方法
ここで浅野氏は、BtoBマーケティング担当者から多く寄せられる質問を三つピックアップし、これまで取り上げてきた考え方を踏まえて解決のヒントを示す。
Q1:The Modelを自社に導入することは可能か?
The Modelは主にSaaSビジネスにフィットすると言われているフレームワークだが、最近は製造企業や商社からも導入の相談が増えているという。浅野氏は「導入自体は難しくない」としながらも、メンバーの離退職にともなう組織編成などを理由に、維持の難しさを強調。「全ての企業にマッチするわけではない」と語る。
「自社にThe Modelがマッチするか否かを見極める方法の一つに、『お客様が自社に何を期待しているか』を考えみることが挙げられます。The Modelは分業体制×専門性の向上によって、自社のリソースの最適化やパフォーマンスの最大化を図る素晴らしい仕組みです。一方で、たとえばお客様が分業ではなくワンストップサービスの提供を求めている場合は、適さないと判断できます」(浅野氏)