「サーベイ」からは想起できない?クリエイティブサーベイの提供価値
――今回はクリエイティブサーベイのマルチブランド戦略についてお話をうかがいます。まずは、御社について教えてください。
クリエイティブサーベイは、デジタルデザイン会社のFOURDIGIT(フォーデジット)の一社内事業から発足したスタートアップです。2023年に名刺交換から請求管理に至るまで働き方を変えるDXサービスを提供しているSansanグループに参画し、2社の株主の元今年で今年11期目を迎えます。「顧客の声を機会に変える」をミッションに掲げ、オンライン・オフライン、社内外のあらゆる顧客接点で使える、次世代データ入力インターフェイスを担うマルチチャネルフォームを提供しています。
現在展開しているブランドは2つで、主にBtoC向けとして「顧客とブランドのつながりを強くする『CREATIVE SURVEY』」と、BtoB向けとして、「あらゆる顧客接点で営業機会を逃さない『Ask One』」です。
弊社はこれまでCREATIVE SURVEYのみを提供してきましたが、マルチブランド戦略の採用を決め、2023年10月に第1弾としてAsk Oneをリリースしました。
――なぜAsk Oneという別ブランドにして、別の市場で成長させる判断をされたのですか?機能的には既存製品であったCREATIVE SURVEYにBtoB向けの要素を追加する判断もできたと思います。
自動車や日用消費財などの業界においては、一部機能は異なるが、基本機能は同じであるモノを別のブランドとして訴求している例は多く存在しています。これらと同じように市場セグメントごとにブランドを分けて、顧客とのコミュニケーション、マーケティング、ブランドに沿ったユースケースや一部機能開発などを深堀りし、見直すという戦略をとっています。
マルチブランド戦略にはカニバリゼーションや投資が分散するリスクなど、デメリットもあります。しかし、当社が狙う市場でこれまで培った技術をベースに新たな認知を得て新規顧客を開拓するには、非常に有効だと考えました。その理由の1つが、社名やブランド名に冠している「サーベイ」だけでは届かない層がいることです。
1年前までCREATIVE SURVEYという名の通り「アンケート・調査」のカテゴリーでマーケティングをしていました。しかし、顧客に価値を感じていただいていたポイントは、「サーベイ」では想起できない別のところにあることに気がついたのです。
「サーベイ」以外の目的で活用する顧客の姿が見えてきた
――「サーベイ」以外のカテゴリーへの変更が必要だったということですか?
はい。私は2023年5月に入社したのですが、その前にCREATIVE SURVEYについて調べてみたんです。導入企業の4社に1社がプライム上場企業で、BtoBとBtoCともに広い業種業界に受け入れられていました。さらに、驚くほど豊富でユニークな沢山のユースケースがありました。
しかし、実は私自身はCREATIVE SURVEYを「アンケート」としてしか認識していませんでした。このギャップから「サーベイでは届かない価値があるのではないか?本当はアンケート以外の価値で選ばれているのではないか?」と仮説を立てたのです。
そこで、我々が選ばれ続ける本当の価値・理由を見つけるために、2023年5月に「全社員顧客訪問インタビュー」を実施しました。社員を10チームに分け、各チーム「1ヵ月以内に2社以上訪問する」とルールを定め、誰が(WHO)、何を(WHAT)、どのように使い(HOW)価値を感じ使い続けていただけるのか?を明確にするために、「顧客とはどんな人々か」「顧客の顧客は誰なのか」「他ではなく我々を選ばれる理由」「現状の不満や課題」などをインタビューしました。結果を全社員で共有し、今後について議論する場も設けました。
――お客様からは具体的にどのような声が集まったのでしょうか。
想定以上に「最初はアンケートツールとして認知・購入したけれど、その後に他の場面でも利用できるとわかって重宝されている」ことがわかりました。具体的なユースケースは多岐にわたります。あらためて、当社が提供しているのは「サーベイ」では一括りにできないプロダクトなのだと再認識したのです。
一方で、顧客の社内で自発的に広がったユースケースは当社で把握できず、共有できないため、みなさん自分たちでゼロから試行錯誤されていることもわかりました。
それらのユースケースをテンプレートやソリューションなど実現に必要な機能に落とし込めるよう、解決の難易度とインパクトで優先順位をつけて、ロードマップを引きました。さらに詳細に市場セグメントで割ると、BtoBのレベニュープロセスの顧客設定における課題解決から着手するのが良さそうだと方向性が決まったのです。
――具体的な課題とはどのようなものがありますか?
BtoB事業において、受注までの投資対効果を計測できている企業は少なく、投資対効果の証明に課題があります。また、せっかくMAやSFAなどのテクノロジーを複数導入しても、データの分断で活用しきれていません。展示会などは、実施後にデータ入力などの手作業が必要で、顧客へのアプローチやフォローまでにリードタイムがかかっています。
これらを解決するために、BtoB向けに分岐が自在でインタラクティブなフォームを作り、外部サービスのSFAやMA上でキャンペーンマネジメントを実現できるように連携機能を強化した「Ask One」の提供を開始しました。Sansanに協力を仰いで、名刺に特化したAI-OCRなどのテクノロジーを我々のプラットフォームに組み合わせることもしています。
――Ask Oneのリリース後はどのような手応えですか?
コアターゲット企業を定め、その中から製品を使い倒していただける先行導入企業を募り、顧客の声から製品とユースケースを磨いて段階的に市場展開していく戦略をとりました。正式リリースからまだ1年も経過していませんが、現段階で非常に反響が大きく、顧客数も急速に伸びています。
新たな顧客として、これまでは多くはなかったIT企業やグローバル企業、エンタープライズ企業の方にもご利用いただけています。