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リテールのマーケティングトレンド(AD)

検索は究極のファーストパーティデータ、CX視点で考えるリテールメディア広告の可能性

「販売促進費=ネガティブなコスト」という誤解

――現在国内では店頭サイネージへの参入が進んでいるとのことですが、なぜROASも訴求力も高い検索連動型のリテールメディア広告がなかなか普及しないのでしょうか?

 日本の企業のマーケティングに関する支出は「広告宣伝費」と「販売促進費」の大きく2つに分けられ、広告宣伝費は製品訴求のための必要経費と捉えられている一方で、販売促進費は売れ行きが好調ではないときにブーストさせるために投下される費用、つまり利益を減らす“前向きでない費用”だと認識されている傾向があります。

 日本のトラディショナルな企業では、リテールメディア広告にかける費用は後者の「販売促進費」に該当すると判断されがちな文化が残っています。本来であればリテールメディア広告の費用は販売促進費ではなく広告宣伝費であるものの、その点の理解が広まっておらずなかなか投資が進んでいない現状があるのではないでしょうか。

 また、決裁権を持つ人がテクノロジーの理解が浅いことも多く、リテールメディア広告に投資できても店頭サイネージ広告という選択になりがちなのではないでしょうか。これは日本のマーケティング業界全体の課題と考えます。

ZETA株式会社 代表取締役社長 山崎徳之氏の画像です

――今後この課題は解決されていくのでしょうか?

 現時点でリテールメディアに対する理解が進んでいないのは事実ですし、そこは大きな課題ですが、その状態が未来永劫続くわけではないと考えます。

 今でこそ巨大産業になったと言えるECサイトも10年前は、ECと店舗の両方を運営する企業の中ですら「ECは既存店舗の利益をかすめ取る」という否定的な意見が多数派でした。今、その企業の方に「ECは店舗の敵ですか?」と聞いたら、「とんでもない、ECは我が社の成長の中心的な存在です」と答えるはずです。

 リテールメディアやリテールメディア広告も、今でこそ「よくわからないもの」かもしれません。ですがECサイトのように10年後にはまったく状況が変わっている可能性は非常に高いのではないでしょうか。

「消費者にとってより好ましいこと」を意識する

――中長期的に見れば、リテールメディア広告が市場に浸透する可能性が高いことがわかりました。では、まだ理解が進まない現在、山崎さんはリテールメディア広告の普及に関してどのように企業に働きかけているのでしょうか。

 まずは、「消費者にとって好ましい取り組みであればいずれ花咲く」という信念を持ち続けることです。

 もちろん早いか遅いかの違いはあるかもしれませんが、消費者の幸せにつながる取り組みを展開してくことで理解されるようになるのではないかと思います。

 そしてリテールメディア広告の具体的な広め方ですが、“小さい成功”を少しずつ大きくしていく「雪だるま方式」が良いのではないかと考えています。莫大な資金を投入してキャンペーンを展開する方法もあるかもしれませんが、あまり現実的ではないので、まずは小さな成功を収めていく方式で少しずつ普及に勤しんでいます。

次のページ
リテールメディア広告で小さな成功を重ねるには?

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:ZETA株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/29 10:30 https://markezine.jp/article/detail/46167

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