ユニ・チャームにおける「フェムテック」の定義
MarkeZine:近年、生理や妊活、更年期など女性の健康に関する悩みがオープンに語られるようになり、これをテクノロジーで解決する「フェムテック」もビジネス視点で注目されています。生理関連用品ブランド「ソフィ」を展開するユニ・チャームは、この潮流やフェムテック市場をどのようにご覧になっていますか?
中野:これまであまり表で語られてこなかった性の問題や、生理、妊活といったテーマがオープンに語られるようになっている昨今の潮流はとても良いと思っています。当社が進めている「共生社会の実現」に向けてはもちろん、男女問わず多くの生活者にとって喜ばしいことでしょう。
当社では、フェムテックを「女性特有の健康課題を新技術や新価値で解決する商品やサービス」と定義しています。女性は生理中、またその前後に大小様々な心身の不快感や不安を抱えていますが、フェムテックにより、ストレスなく日常生活を送るための様々な“選択肢”を提案することができます。フェムテック市場の拡大は、その様々な選択肢の存在に、より多くの方に気付いていただく機会であると捉えています。
商品だけでなく、情報もセットで届ける
MarkeZine:たとえば「生理中の選択肢」とは、具体的にどういったものでしょうか?
中野:生理中の女性は、何らかの理由でなかなかナプキンを取り替えられなかったり、経血の漏れを心配したり、それが原因で睡眠不足になったりなど、日常生活に支障を抱えることが少なくありません。「ナプキンを変えなくては」と考えすぎて、仕事に集中できなくなったり、自宅でもリラックスできなかったりすることもあります。
そのようなケースに対し、ソフィでは解決手段のひとつとして、「ソフィ超熟睡ショーツ」を提供しています。ショーツとナプキンが一体化しているので、ナプキンのズレや経血の漏れを心配する必要はありません。生理中の夜もリラックスして眠れますし、仕事にも集中できるので、多くの女性からの支持を得ています。
これ以外にも、各種タンポンや月経カップ「ソフィ ソフトカップ」、からだに挟んで使う「ソフィ シンクロフィット」など、今は本当に色々な商品があります。生理のストレスを軽減するための選択肢は、昔より増えています。
MarkeZine:子供の頃からの習慣・常識のまま過ごしており、新しい選択肢を知らなかったり、試したことがなかったりする女性も多いと思います。まずは今ある選択肢を知ってもらい、初回使用のハードルを越える必要がありそうですね。
中野:そうなのです。そのため、生理に関する情報発信の活動にはとても力を入れています。
オウンドメディアやSNSでの情報発信に加え、生理管理ができるアプリ「ソフィ」や10代女性向けの生理管理アプリ「ソフィガール」などでも積極的に情報発信を行ってきたほか、2024年7月からは、ホルモンバランスを管理して心身の不調を可視化する「ソフィBe」というアプリもリリースしています。
さらに、初経期の方向けの教育活動や、企業を対象にした「ソフィ みんなの生理研修」という活動も展開しています。生理研修は、社会で生理に対する相互理解を育むきっかけ作りとして2020年から始めたものです。これまでに約400の団体や教育機関、企業の方に受講いただきました。