SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

1ヵ月半で累計購読者数1万人超え!「SmartNews+」が急成長を遂げたワケ

最初の1年間は「会員数」ではなく「UX向上」を重視

──有料会員を増やすための施策はどのようなことをされているのでしょうか?

ホン:細かな改善施策はもちろん実施していますが、最初の1年間は「UXを高める期間」と位置付けています。有料会員をどんどん集めるというよりは、記事の拡充やアプリ内体験を良くすることで継続率や満足度を高めることを最も重視しています。

 そのために、「RAU(リーディングアクティブユーザー数)」という指標を重視しています。一般的にはDAU(1日当たりのアクティブユーザー数)、MAU(月間アクティブユーザー数)を追うことが多いですが、それはアプリを開いただけで数に入るため、ログインを促進する施策に走りがちになります。それよりも、「記事を毎日読んでいる人が何人いるか」という指標の方が本質的だと考えています。

画像を説明するテキストなくても可

ホン:UX改善に注力していった結果、サブスクサービスで課題となる解約率もサービス開始当初から低いです。また、ユーザーをセグメントで分けて行動の変化を追うコホート分析では、解約者の再契約率が高いことも分かっています。

 つまり、解約しても翌月以降にまた契約してくれる可能性が高いのです。簡単に解約できないサブスクサービスも多いですが、一度契約するとなかなかやめられないサービスを再び使うことは少ないでしょう。契約も解約も簡単にできるようにすることで、「読みたい記事があるから今月だけ契約して、次にまた読みたいものが出てきたら契約する」こともできます。ユーザーは無料と有料のサービスを賢く使い分けているのです。

PMFを早期に実現した、ターゲット戦略

──サービス開始から8ヵ月ほど経ちますが、新たな気付きもありましたか。

ホン:ターゲットを明確に設定できたことが好調の要因だとお話ししましたが、その一方で、当初コアターゲットとしては設定していなかった人たちもたくさん有料会員になってくれました。それは大きな気付きでしたね。

──ターゲットはどのように設定したのですか。

ホン:コアターゲットの他に、シャドウターゲット、ビヨンドターゲット、ビジョンターゲットというものを設定していました。チームメンバーにはコアターゲットのみを共有し、その他は私の頭の中で描いていたものです。

 まずコアターゲットは、25~35歳の自己成長意欲が高い人たちです。そして、シャドウ、つまり影のターゲットは45~55歳、子どもが成長して自分の時間ができたときに、もう一回自己投資に戻れるライフステージにいるような層です。

 ビヨンドターゲットは、有料メディアをいくつも使う“ニュースマニア”のような人で、今回のターゲットではありません。そして、ビジョンターゲットは「いつかこういう人たちに読んでもらいたい」という層。今の仕様では難しいですが、1年後、3年後、あるいは10年後にはすくい上げたいターゲットです。

 元々コアターゲットに置いていた若年層は、長文ニュースを避ける傾向にあります。そのため、要約記事が読める「30秒ブリーフィング」や「グラフィックニュース」といったコンテンツをそろえていきました。

 しかしリリースから半年経ち、想定以上にシャドウターゲットである40~50代の方々のニーズが高いことが見えてきました。そのため次のフェーズでは、現状のユーザー層に合わせて、コンテンツやサービスの拡充・改善をしていこうと考えています。

──最後に、今後の展望をお話しください。

ホン:現状、SmartNewsを毎日使っている人もいれば、最近は使っていないという人もいます。アプリを長い間開いていないと、SmartNewsの変化に気付いていないかもしれません。今後、起動してもらうきっかけを与えるような取り組みもしていきたいですね。

 また、事業立ち上げ時にマイルストーンを切っていました。フェーズ0がサービスリリースで、フェーズ1がPMFを証明する、です。PMFはリテンションレートを指標にしていたのですが、実は想定より早く達成することができました。今後はフェーズ2のスケーラビリティを証明するに入ります。

 具体的な施策については、目下試行錯誤を重ねている段階ですが、直近では記事ジャンルの拡充などを予定しております。また、記事のジャンルだけでなく、機能面のアップデートも実施するので、楽しみにしてもらえたらと思います。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/08/26 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46359

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング