聖地巡礼ノートにおけるアニメファンの書き込みから、読み取れることとは
本特集の最後を飾る論文は、コンテンツツーリズム、つまり、アニメファンがアニメコンテンツのゆかりの地を巡る「聖地巡礼」に関する、神奈川大学准教授の津村将章先生、九州産業大学教授の大方優子先生、関東学院大学教授の岩崎達也先生、法政大学大学院教授の豊田裕貴先生による和文論文「移動距離によるアニメ聖地巡礼者の行動特徴 ― 聖地巡礼ノートの分析から ―(PDF)」です。
彼らは、聖地に設置されて巡礼者が自由に書き込めるゲストブックの書き込み内容を分析し、近距離巡礼者と長距離巡礼者とでは視点が異なっており、近距離巡礼者は、アニメキャラクターへの賛美の言葉を書き込む傾向があるのに対して、遠距離巡礼者は、アニメから離れた巡礼地への賛美の言葉を書き込む傾向があることを見出しました。
デスティネーションマーケター(自治体や商工会)がコンテンツツーリズムを誘引するためには、アニメ関連の製品・サービスの開発だけでなく、地域そのものの魅力とおもてなしも有効であるといえるでしょう。
受賞論文のご紹介
『マーケティングジャーナル』には特集論文以外の論文も掲載されていますが、本号から新しく、前年度のJ-MACマーケティングカンファレンスにてベストペーパー賞を受賞した論文を翻訳して再掲する企画が始まりました。
本号に掲載されたのは、関西学院大学教授の西本章宏先生と大阪大学大学院教授の勝又壮太郎先生の英文論文「消費者の支払い・受け取り行動における決済手段に対する心理的所有感の価値拡大効果(PDF)」(※和文原文PDFあり)です。
MarkeZineでも、本連載の過去記事「レンタルサービスや無形財が溢れる時代、『自分のモノ』という認識は消費行動にどう影響するか【論文紹介】」にて紹介済みです。ぜひ、この機会に再読なさってみてください。