パーパス買いを促進するポイント
――最後に、パーパス買いのツボをうまく刺激するポイントがあれば教えてください。
大きく2つあります。1つは、ネガティブポイントより、ポジティブポイントが上回るようにすること。たとえば、ラベルレスのペットボトル飲料は「いちいちラベルをはがして捨てるのが面倒」という元々あった課題を解決しており、顧客にはポジティブな要素しかないですよね。
「社会・環境によい商品だから、通常の商品より少し割高」といった設計を採用するのは現時点では厳しく、またパーパスなどを前面に押し出すアプローチも難しいと思います。その商品・サービスから得られるメリットをセットで訴求することがポイントとなるでしょう。
もう1つは、カテゴリーのニーズを捉えてパーパスを設定することです。当然ですが、化粧品・スキンケア用品のカテゴリーで響くパーパスと、清涼飲料水のカテゴリーで響くパーパスは、違います。たとえば、2023年実施の調査結果※2を見ても、化粧品・スキンケア用品のカテゴリーでは「自分らしく生きることを応援する」「多様性のある美をつくる」といったパーパスが、清涼飲料水のカテゴリーでは「頑張っている人を応援する」といったパーパスが高い訴求力を発揮する傾向にあります。
パーパスはその企業ないしブランドの「存在意義」なので、自分たちのルーツをたどって策定するケースが多いですよね。もちろん、その観点も欠かせないのですが、それだけでなくカテゴリーニーズもしっかり捉えて設定することが大切だと思います。
取材協力

株式会社博報堂 博報堂買物研究所 所長
垂水友紀氏

株式会社博報堂 博報堂買物研究所
マーケティングプラニングディレクター
飯島拓海氏
※1 『博報堂買物研究所「ブランドパーパスと買物行動」調査』より(2022年3月実施/n=13,311)
※2 『パーパス買い調査』より(2023年9~10月実施/n=23,878)
