※本記事は、2024年10月9日(水)まで無料でご覧いただけます。
マーケティングでは既存顧客のロイヤリティ向上を重視
――現在、御社のサービス「ネットで洗濯.com」のXアカウント(@403_net)で、ぬいぐるみをクリーニングしている様子が話題になっています。
今回は御社のSNS運用やマーケティングの姿勢を伺えればと思います。まずは御社と、岩本様について教えてください。
弊社、株式会社ヨンマルサンは一般衣類のクリーニング業を営んでいます。主に、町のクリーニング店として「403」を山梨県内で約30店舗展開。さらに、宅配クリーニング事業として3つのWebサービスを運営しています。
キャンプ用テントの宅配クリーニングの「テントクリーニング.com」、ぬいぐるみ・ビジネスバッグ・スーツケース・ハイブランド品などの特殊品クリーニング「ネットで洗濯.com」、法人向けのハッピ・イベントジャンパー・ステージ衣装クリーニング「大量クリーニング.com」です。
私たちのミッションは、商品の原型を崩さずに新品同様に戻すこと、お客様に「ありがとう!」と感謝される接客、そして働くスタッフに「403で働けてよかった」と感じてもらえるような会社作りです。
私自身は会社の運営全般に携わる何でも屋ですが、特に新規事業の際は率先して立ち上げを行っています。大学卒業後、金融系のシステム開発会社に勤め、その後家業のクリーニング事業に参画しました。
クリーニングが主たる業務なのですが、お客様にいかに喜んでもらうか、自分たちの技術をどう伝えていくのかを考えたときに、注文のしやすさを含めてインターネットの活用は必須だと考え、DX担当役員という肩書も持っています。
――御社でのマーケティング戦略・方針はどのようなものですか?
弊社はクリーニングサービスのブラッシュアップを何よりも優先度高く取り組んでいます。その上で、より多くの人に購入していただけるようにする宣伝広告や、既存サービスをご利用いただいているお客様のロイヤリティを高めることを意識してマーケティングを実施しています。
たとえば、ぬいぐるみのクリーニング工程をSNSで発信し始めたのは、お客様から「ぬいぐるみと離れている間、その様子を教えてほしい」という依頼があったからです。職人が大切にぬいぐるみをケアしている様子を見ていただくことで、お客様の安心につながればと考えています。
当初は懐疑的だったSNSがもたらした効果
――そもそもSNSを始めたきっかけは何だったのでしょうか?
従業員やお客様から「SNSをやったらどうか」という声が挙がったことがきっかけです。個人的には、クリーニングの特徴をSNSに投稿したところで誰が見るのかな、と当初は懐疑的でした。
ただ、弊社は古くからキャンプ用テントのクリーニングを手掛けており、たびたびお客様が記念撮影を目的に来店されることがありました。山梨県の河口湖周辺には素晴らしいキャンプ場が数多くありますし、キャンプをテーマにした人気作品の舞台になっていることもあり、ご来店してくださるお客様も増えていました。
そこで、お客様との記念写真をSNSにアップしたら思い出に残るし喜んでもらえるのではないかと社長が発案し、Instagramのアカウント(@tentcleaning_403)を立ち上げたのが2018年のことです。予想外に多くの反響をいただきました。
当時はアウトドアブームを背景に他社さんもテントクリーニングに乗り出され、競争が激化していました。しかし弊社はSNSでの反響と、それもきっかけにした大手のアウトドアメーカー様との提携を背景に、価格競争に巻き込まれることなく、リピーターも増やすことができました。信頼性が担保されたのだと思います。