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人起点の顧客関係構築を考える

ユーザーが1万を超えてもキュレーションは人間の領域、トイサブ!のデジタルとアナログのバランス

 デジタルで効率的なコミュニケーションと、人の手による温かみのあるコミュニケーションの両立はどうすればいいでしょうか?サービスが成長する中でも人間によるキュレーションを行う、おもちゃのサブスク「トイサブ!」の取り組みについて、選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」を運営する飯髙悠太氏が、同社事業開発本部マネージャー藤田正好氏にたずねます。

※本記事は、2024年10月21日(月)まで無料でご覧いただけます。

忙しく情報過多な時代のトイキュレーター

――トラーナさんが提供する「トイサブ!」は、月齢や発育に合った知育おもちゃを2ヶ月ごとに届けるサブスクサービスです。累計利用者数は5万世帯超と利用者数を拡大する中でも、お客様各世帯の状況や要望を把握し、細やかにコミュニケーションされているそうですね。一体どのようにお客様との関係を構築されているのか、その秘訣を今回伺えればと思います。

 まずは、トイサブ!についてと、藤田さんの業務についてご紹介いただけますか。

藤田:トラーナの設立は2015年3月で、最初にトイサブ!の発送が始まったのが同年の11月。もうすぐ創業から丸10年の会社です。代表の志田がおもちゃ売り場に行ったときに「売り場を見るだけでは子どもに最適なおもちゃがわからない」と感じたことがきっかけに、トイサブ!が誕生しました。パーソナライズとサブスクを掛け合わせによって、各ご家庭に最適な知育おもちゃを提供しています。

株式会社トラーナ 事業開発本部 マネージャー 藤田 正好氏
株式会社トラーナ 事業開発本部 マネージャー 藤田 正好氏

――トイサブ!の提供価値はなんでしょうか?

藤田:まずは、お子さん一人ひとりに最適なおもちゃを提案する点ですね。当社のメインユーザー層は共働きのご夫婦です。仕事も多忙で毎日の家事にも追われる中で、お子さんのおもちゃ・知育にまで配慮するのは至難の業です。

 ユーザーインタビューをした際に、ある女性が「自分の脳内CPUで子どものおもちゃを選んだり買いに行ったりする手間を考えたら、トイサブ!はとっても安い」とおっしゃっていたのが印象的です。

1,800種類のおもちゃから、各家庭に最適なプランを

――成長に合わせた子どもへの刺激を考えておもちゃを選びたくても、自分で選ぶのは大変なんですよね。ちなみにおもちゃは何種類くらいあるんですか?

藤田:0歳3ヶ月から満6歳まで月齢ごとにおもちゃの在庫があり、全体で約1,800種類を保有しています。選定は我々に委ねていただいて、月齢とお子様の発達状況によってセレクトしたアイテムを6点、2ヶ月ごとに配送・交換しています。遊ぶ期間が2ヶ月間あるので、現状の発達を最大限伸ばせるものと、1ヶ月後にできることを想定して、可能性が広がったりチャレンジしたりするおもちゃを組み合わせています。

 お客様からは「子どもと一緒に開ける瞬間、毎回ワクワクとハッピーになります」とのお声を多くいただきます。

届けられるおもちゃの一例
届けられるおもちゃの一例

CRMはデジタル化とマンパワーのバランスが大事

――これまで、どのようなマーケティング施策をされてきたのでしょうか?

藤田:いわゆるネット広告が主戦場なので、もれなくやってきました。現状ではお申込みに重心を置き、認知効果が大きいマス施策には振りすぎないようにしています。

 最近の成功事例はLINEを活用した、お申し込み前にサービス利用をイメージして頂く購入前CRM施策です。お客様にお届けする知育玩具の選定は弊社がお子様の成長や環境に配慮し行いますので、期待感もありつつもどのような知育玩具が届くかわからない不安もあると思います。

 購入前のCRM施策では、

  • お客様の声をご案内する
  • 想定されるご家庭での課題について、サービスをご利用頂いた後にどう解消するのかご案内する
  • 実際にお届けするサンプルをお見せする
  • 知育に関するコンテンツ(デジタルブック)をご紹介する

 こういった取り組みで購入前のお客様にご案内し、ご利用の意向を高めていただいています。

――重点的に取り組まれているCRMはどのようなものですか?

藤田:創業当時からずっとこだわっていることが、交換時にお客様から使用したおもちゃについて評価のフィードバックをいただき、そのレビューを活かして、次のおもちゃプランを「人」が作ることです。

 そして次を送る際には必ず、おもちゃを選んだ人間が選定理由やメッセージを書いて、おもちゃプランシート(いわゆる納品書と同義)として、おもちゃと一緒にお届けしています。非常にアナログなのですが、お客様との毎回のコミュニケーションを大事にしています。おもちゃ返却のタイミングで、手書きのお礼メモや手紙をいただくこともあります。この「ありがとう」を増やしていくことも目標ですね。

 今までに100万件以上の評価のフィードバックを得ていますので、システム化すればおもちゃプラン作成から、送り状のアウトプットまですべて自動化が可能です。もちろん、現在も過去のデータも参考にしていますが、お子さんの「今」の状況や親御さんの思い、要望を汲み取りたいと考えています。

――デジタル化が進んでも、人間的な温かみや情緒的なコミュニケーションが持つ役割の大きさを感じます。ただ、人の手に頼る部分が大きいと、会員が増加した際の対応が大変そうです。

藤田:おっしゃるとおりです。2020年頃まではツールを活用しつつも、CSチームがすべての問い合わせに直接対応しており、疲弊している状態でした。現在はチャットツールを導入し、サービス上の仕組みやFAQで解決できる部分など、全体の6~7割は自動対応にしました。個別の課題感で質問されるものには人が対応しています。住み分けをして、会員数が増えても問題ない環境にしています

――アナログで対応しているキュレーションの部分と、デジタルで効率的に対応する部分をしっかり分けているんですね。

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この記事の著者

飯髙 悠太(イイタカ ユウタ)

株式会社ベーシック執行役員、株式会社ホットリンク執行役員CMOを経て2022年6月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftXを創業し、「おもいが伝わる。ほしいを贈れる」選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」運営。現在、企業のアドバイザーやマーケテ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/08 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46694

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