Google検索が圧倒的に優れているわけではない
「証言や証拠を慎重に検討した結果、グーグルは独占企業だという結論に達した」<中略>具体的には、グーグルが、開発者やメーカー側に巨額の契約料を支払い、自社の検索サービスを初期設定とさせたと指摘しています」
この裁判所の文書によると、Microsoft Bingのほうが「劇的に速かった」という結果を受けて、Googleはその後、社内プロジェクトを立ち上げた。Micorosft Bingに技術的に追いつくように改善に取り組んだ。そして、2021年のAppleが実施した調査では改善されたことが伺える。「MEMORANDUM OPINION」のp115に次のように書かれている。
「In 2021, Apple’s “Aethon” study demonstrated that, as measured by relevance of results, Google is superior to Bing on all search access points (except desktop queries on Safari).<中略> As to users’ overall preferences, Bing outperformed Google on its desktop user interface (for both Safari and Spotlight)」
(意訳:2021年、Appleの"Aethon"という調査では、検索結果の関連性を測定した結果において、Safariのデスクトップ検索クエリ以外では、Googleはすべての検索に関わるアクセスポイントでBingよりも優れていた。一方で、ユーザーの好み全般に関する調査では、SafariとSpotlight上のデスクトップのユーザーインターフェースにおいて、BingのほうがGoogleよりも優れたパフォーマンスを発揮した。)
この裁判の意見書から「Google検索が圧倒的に優れているわけではない」ことがわかる。歴史的に、Microsoft Bingのほうが優れていたり、Google検索が巻き返したりしてきたということだ。
そして、最近では、残念ながら、Google検索の品質は悪化しているようで、『「Google検索は死んでいる」という指摘』という記事が出ている。また、ドイツの研究者による一年に及ぶ最新の調査結果でも「Google検索は本当に悪化している」と結論付けた。これは、2024年1月16日付で記事として紹介されている(参照:「Google Search Really Has Gotten Worse, Researchers Find」)。
ITエンジニアや専門家の間で、Google離れが起こっている。Googleのクオリティ悪化は、経営陣の考え方が変わってしまったことが、主な原因だとみられている。Googleの理念が「ユーザーファースト」から「広告主ファースト」に転換したようなのだ。
「この時すでに、Googleの共同創設者であるラリー・ペイジ氏もセルゲイ・ブリン氏もGoogleを去っており、この時点でGoogle経営陣の考え方が「ユーザー至上主義」から「成長史上主義」に転換した<中略>ラガヴァン氏の検索部門責任者就任が、Googleの理念が「ユーザーファースト」から「広告主ファースト」に転換したことを象徴する出来事だった」