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第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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MarkeZine Day 2024 Autumn

22年で売上約20倍の中川政七商店 成長を支えるデータ起点のブランディングと「接心好感」の実践

顧客をクラスタリングし、適切なコミュニケーションを

 顧客と1to1のコミュニケーションを実現するには、「(期待に応じて)伝えるべき情報を整理して、(特性に応じて)正しく伝えること」が大切だ。そのために、行動データを基に類似する期待を持つユーザーごとに分ける「クラスタリング」を行った。クラスターの一例として、手土産を選ぶ際に購入意欲が高くなる「手土産クラスター」が挙げられる。

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ECサイトでも、手土産を購入したいという期待に応えられるようコーナーを用意している

 「ブランディングのためには、こうしてあるべき姿と実際の姿のギャップを把握できることが重要です。人間はぱっと見て全体像をなんとなくつかむことが得意なので、MONJUもぱっと見てわかるツールになるよう設計しました」(中田氏)

 また、クラスタリングしたことで、中川政七商店においてクラスターはライフスタイルに近いことがわかった。ライフスタイルとは、顧客のライフステージにいくつかの期待が組み合わさったものだ。

 たとえば、子育て中だったためガラスや陶器といった繊細な器は買わなかったが、子どもが独立すると家の中を整えたいと考えるようになり、器にこだわりを持つ傾向がある。ライフスタイルによって、ブランドとの付き合い方は変化していく。そのため、変化するライフスタイル(=クラスター)に応じた、コミュニケーションが必要となる。

 そこでWebサイトでは、クラスターごとにABテストを行い、最適なUIを出し分けることにした。そしてクラスターごとに、パーソナライズしていく。これにより、Webサイトでも店頭に近い「接心好感」の実現を目指している

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データをつなぎ、より良いユーザー体験を構築

 「ブランドとは、本質的にユーザーの心の中に存在するものです。そのため、ブランディングの成果を高めるためには、すべてのタッチポイントを通じてユーザーの内面にある認識をいかに活性化できるかが重要となります」と、ブランディングの本質を中田氏は語る。

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ブランド体験を磨き上げるサイクルを示した図

「あらゆるタッチポイントはユーザー体験を生み出し、それがデータとして蓄積されていきます。このデータを適切に解釈し、ユーザー理解を深めることで、より正確なブランドポジショニングと戦略立案が可能になります。

 その結果、各タッチポイントの最適化が進み、ユーザー体験は個々の顧客に合わせてパーソナライズされ、さらなる価値を生み出していくのです。これからも中川政七商店は、こうしてブランディングとデータをつなぎ合わせながら、よりよいユーザー体験を構築していきます」(中田氏)。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46796

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