電通グループは、日本を含む世界の主要14市場における企業のCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)950名を対象に、グローバル規模の「CMO調査レポート2024」を発表した。
2024年で5回目となる同調査は、950名のCMO(n=970)の意識調査・分析をもとに、同業他社とのベンチマークの設定や、クリエイティブ、エクスペリエンス、イノベーションのロードマップ策定に関するインサイトの共有を目的としている。
同調査では、主要14市場(オーストラリア、ブラジル、中国、カナダ、ドイツ、イタリア、インド、日本、メキシコ、サウジアラビア、スペイン、アラブ首長国連邦、米国、英国)における企業のCMOに計45の質問を行い、回答を分析、変革の推進に関する提言も行っている。
同グループは調査を基に、マーケターに求められる8つの重要課題を以下のように提示している。
オムニチャネル・クリエイティビティからオムニプレゼント・クリエイティビティへ
変化の激しい世界では成長が難しく、CMOはコミュニケーションだけでなくビジネスのあらゆる面でクリエイティビティを必要としている。82%が、クリエイティビティがかつてないほど成長を引き出す可能性を秘めていると考えている。
シェア・オブ・ボイスからシェア・オブ・カルチャーへ
メディア消費行動が大きく変化した世界では、ブランドは(単なる広告だけでなく)カルチャー、コンテンツ、エンターテインメントを通じて、新しい方法でリーチを拡大していくことになるだろう。CMOの88%が、ブランドが生活者のカルチャーの一部になることがこれまで以上に重要だと考えている。
コントロールからコンダクト(指揮)へ
今日のブランドが、生活者のネットワーク、パートナー、クリエイターのエコシステムを通じて構築されていることをCMOは認識している。彼らの77%は、将来、マーケティングはブランド、クリエイター、プラットフォーム間のパートナーシップになるだろうと認めている。
シームレスな体験から唯一無二な体験へ
製品の優位性が瞬く間に模倣される中、ブランドはつながりのある特徴的なブランド体験を通じて差別化を図る。マーケターの75%が、コミュニケーションからコマースまで、あらゆるコンタクトポイントがブランドストーリーを伝えることができ、また伝えなければならないと認識している。
知見から先見へ
CMOは、今の顧客の声だけでなく、未来のトレンドや消費者願望を予測し、行動するというプレッシャーと向き合っている。79%が、データや知見を駆使して未来の製品や提供価値を予測することが求められているとしている。
競争相手としてのAIから共同作業者としてのAIへ
AIが成熟するにつれ、CMOは人間の創造性を脅かす存在としてではなく、協力者や共同クリエイターとしてのAIの可能性を再評価している。生成AIが私たちを感動させるコンテンツを作ることはないだろうとするCMOの割合は、前年比で18ポイント減少した。
先端のイノベーションからコアのイノベーションへ
変化のペースが加速するにつれ、顧客は予算のかなりの割合をイノベーションに投資している。それはもはやニッチというレベルでも、あったら良いというものでもない。マーケターの79%は、予算の10%以上をイノベーションに投資する予定であり、うち56%は20%以上投資する予定。
規定課題に対応するだけでなく、ビジネスを変革し、社会を変えるパートナーへ
先行きが不透明な中、成長の原動力としてのマーケティングの役割はますます重要になっている。CMOは代理店に、単に指示に応じるだけでなく、クリエイティビティの力で自分たちのビジネスを変革する手助けをしてくれることを望んでいる。そして 70%が、エージェンシーには常に自分たちが望むものではなく、自分たちが必要としているものをもたらしてほしいと回答している。
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