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第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

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MarkeZine Day 2024 Autumn

「ひとり行動」「好きの深掘り消費」が増加!メリーチョコレートと博報堂生活総研が見据える、消費者の姿

 昨今、コロナ禍を筆頭に、生活者のインサイトや消費行動は変化を続けている。MarkeZine Day 2024 Autumnでは、変わりゆく消費者の姿をとらえ、適切に自社のマーケティング施策や商品開発に活かすポイントについてメリーチョコレートカムパニーと博報堂生活総合研究所が講演。現代の消費者の価値観に寄り添うヒントを共有した。

「義理チョコ」激減も、変わらないチョコレートへの支出額

 創業1950年のメリーチョコレートカムパニーは、贈答用菓子の製造・販売を手掛け、日本全国の百貨店、量販店に店舗をもつ企業だ。はじめに同社のマーケティング本部 高田氏は、「総務省の家計調査を見ると、一世帯当たりのチョコレートの支出金額は2月が圧倒的に多い」とデータを紹介した。

株式会社メリーチョコレートカムパニー マーケティング本部 執行役員 本部長 高田基位氏
株式会社メリーチョコレートカムパニー マーケティング本部 執行役員 本部長 高田基位氏

 1980年代後半頃から「義理チョコ」の習慣が広がり、2月にチョコレートの売り上げが高くなる傾向は約40年間変わっていない。一方で、近年は「職場の人にバレンタインにチョコレートを渡さない」という人が約8割に上り、義理チョコが激減しているという。

 コロナ禍もあり、メーカーにとって厳しい状況に見えたが、総務省家計調査のチョコレートの支出金額は2019年頃から変化していない。そこで月ごとの支出データを見ると、1990年代前半頃をピークに2月の消費金額が伸びていたが、以降は下がっている。現在も2月がチョコレートに1番お金を使っている時期であることは変わりないものの、近年は1月の消費金額が急上昇し、数年前に12月を抜いた。

 デパートの催事場をはじめ各所でバレンタインイベントが1月に始まる影響もあるとはいえ、「1月にチョコレートを買って、2月14日付近で誰かに渡すのは、賞味期限の面からも考えにくい」と高田氏。自分用に購入し、消費しているのではないかと仮説を立てたと振り返った。

自身の興味に向き合う「好きの深掘り」消費

 この仮説の元、メリーチョコレートカムパニーでは2021年から「ジコチュー(自己中)バレンタイン」という、顧客自身がチョコレートを楽しめる商品企画を始めた。たとえば2023年には、カラーバリエーションや商品付属のシールなど「推し」に合わせたデコレーションが楽しめる「推しと、私と、チョコレート。」というブランドを展開し、SNSなどで話題になった。

 他にも昭和レトロやエキゾチックなモチーフなど、「誰かに渡すのではなく、自身で購入して楽しめる」コンセプトのブランドをここ数年、意識し企画してきた。この試みは、2024年には2021年の約1.5倍の売り上げを出すほどヒットしたと高田氏は振り返った。

 一方で、コロナ禍の影響を受けたブランドもあった。同社の「ルル メリー」は、自分の価値観を大切にする人のためのギフトブランドとして、百貨店を中心に2017年にスタートした。しかしコロナ禍で営業時間が限られた上、ターゲット層に来店してもらえていなかったことが苦戦の要因となった。

 「まだローンチしたばかりでブランドに力が付いていない中、百貨店というチャネルでの展開は早すぎたのでは、といった議論が社内でなされました。結果、思い切って、既存店舗の全店撤退を決めたのです」(高田氏)

 その代わりとなる対応策として「ルル メリー」は2023年6月に青山に路面店を開き、マーケティング本部で店舗を運営することに。「マーケティング本部に所属するメンバーが、来店するお客様とかわす会話の内容や、商品を選んでいる時の表情やしぐさに直接触れることで、商品企画や店の雰囲気作りに活かすことにつながりました」と高田氏。結果として、売り上げを再浮上させることに成功した。

 高田氏は「この2つの事例から、生活者の個々の価値観が商品選択時にこれまで以上に深く影響している可能性がある、という仮説ができました」と述べた上で、人々がコロナ禍で自身と向き合う時間が増え、ピュアな興味関心を再認識したことで、己の興味・関心に真摯に向き合う「好きの深掘り」消費が生まれていると解説した。

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この記事の著者

佐々木 もも(ササキ モモ)

 早稲田大学卒業後、全国紙で約8年記者を経験。地方支局で警察や行政を取材し、経済部では観光や流通業界などを担当した。現在は企業のオウンドメディアの記事企画や広報に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46999

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