音声コンテンツの活用でブランドリフトに寄与
──企業がキャンペーンに音声コンテンツを活用した事例を教えてください。
立石:2023年末にアサヒビールの「アサヒ生ビール(通称:マルエフ)」がEarly Noiseに選出されたアーティストを中心としたのコラボキャンペーンを実施しました。アーティストが音声広告の語り手として登場し、「私は今年Early Noiseに選出され、アルバムをリリースしたり全国ツアーを行ったりと充実した1年でした。みなさんはどんな1年でしたか? 今年も、お疲れ生です」といった内容を話し、アーティストの楽曲がBGMで流れるというものでした。
非常にインパクトがあり、ファンダムをうまく捉えていたのでSNSでの二次的な波及にもつながった結果、ファンは喜び、アーティストは知名度が上がり、広告主は高いブランドリフトにつながりました。数値面の話をすると、広告想起と購入意向ともに10ポイント以上の上昇が見られました。こうしたアーティストとのコラボ施策は、Spotifyでは良いキャンペーン例となっています。
──企業が音声コンテンツを活用する上で、注意すべき点はありますか。
立石:やはりターゲットとするオーディエンスの心情を想像し、その方たちのプレイリストなどにあった広告をつくることが効果的だと思います。
音声広告は視覚情報がない分、聴者と距離が近くなりやすいです。その特徴を最大限活かすには、音声だけでイメージが湧きやすいクリエイティブにすることが大事になります。たとえばASMRとか、ビールの缶をあけたときのしゅわっとした音などですね。
あとは、媒体を横断して面での発信することも効果的です。Spotifyアプリ上での動画広告をはじめ、他の動画サービスと音声広告を組み合わせてもパフォーマンスが高くなります。
音楽・音声の力で、企業のブランドをもっと魅力的に
──音声コンテンツの場合、KPIはどういったところに置くのが望ましいですか。
立石:施策にもよりますが、特にリフトが高くなりやすいのは、購入意向や検討意向といったミドルファネルです。
さらに、最近日本で実施した「広告がしっかりと見聞きされているか」を測る調査では、Spotifyの音声広告はSNS広告よりも1,000インプレッション毎のアテンション獲得秒数が4.3倍高いという結果も出ています。
──最後に今後の展望や、音楽・音声コンテンツを活用しようと考えている企業へのメッセージをお願いします。
柴:日本ではYouTuberやTikTokerといった動画インフルエンサーが広く活躍しているのに、いまだポッドキャスターの地位や影響力は広がっていません。日本の動画文化は、テロップとカットアップが肝になっていますが、音声はゆっくりと時間をかけて物事を伝えていく文化なので、より親密な関係を結ぶための話術やキャラクター性が重視されます。
音声コンテンツを活用する際には、アテンションを取る、派手なことをやって目立つよりも、「この人の言うことは納得できる」という影響力を持つことが求められてくると思います。
立石:音声広告に興味はあるけれど、どのような広告クリエイティブが一番良いのか悩まれる企業の方も多く、当社にもこうした相談が増えてきています。私たちは音声広告の制作サポートもしていますので、お気軽にお声がけいただけたら嬉しいです。また、音声は聞き手の心に響きやすいものなので、さまざまなキャンペーンにもっとご活用いただければと存じます。