次の時代のキリンビールを懸けて開発した「晴れ風」
田中:本日は、お忙しいところありがとうございます。山形さんには5年ぐらい前にも一度インタビューさせていただいたことがありますが、お話しするのはそれ以来ですね。山形さんがキリンに入られてから、もうどのくらい経つでしょうか?
山形:キリンビバレッジに入社したのが2015年の秋で、その後キリンビールに異動したので、キリンに来てからもう来年で10年になりますね。
田中:なんと、もうそんなに経ちますか。割と最近だったように思いますが、時間が経つのは早いですね。今日は「CMOの役割」について伺おうと思って来たのですが、まずは最近のキリンビールの話題から入っていきましょう。
キリンビールと言えば、直近では、やはり「晴れ風」の大ヒットが印象的です。キャンペーンが始まった頃、「これは相当気合いが入っているな」と感じていました。
山形:ありがとうございます。「晴れ風」は、次の時代の新たなブランドポートフォリオを作るのだという意気込みで開発しました。これが失敗したら私も辞める覚悟でしたから、背水の陣だったとも言えます。
田中:そうだったのですね。山形さんは、晴れ風が成功した要因をどのように考えられていますか?
山形:晴れ風のプロジェクトは、従来のキリンビールにおけるマーケティング手法とは大きく異なる形で進めてきました。もちろん、伝統的な商品開発のプロセスは踏みましたが、「お客様はどういうビールを欲しいと思っているのか」「お金を払っても買いたいと思う製品とはどのようなものか」など、より手前の部分から徹底的に考え抜いたことが、やはり大きかったように思います。
また、キリングループは、CSV経営を標榜しています。社会に価値をもたらし、社会課題を解決していくことも重要な要素とし、「キリンビールとして掲げる次のビールブランドとは?」という命題をテーブルに置いて、みんなで一緒に創り上げたのが「晴れ風」です。