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サントリーのCMクリエイティブを徹底分析!SDGs広告で支持を得るために押さえるべき三つの要素とは?

 帝国データバンク「SDGsに関する企業の意識調査(2024年)」によると、SDGsに積極的な企業は過去最高の54.5%を占めています。自社の取り組みを消費者に向けてアピールする手段として、テレビCMを検討する企業も多いでしょう。しかし、メッセージや表現を間違えると「偽善的だ」などと消費者から反発を招く恐れもあることから、出稿をためらったり、クリエイティブに悩んだりする広告主は多いと聞きます。そこで今回は、消費者に支持されやすいSDGs CM制作のポイントを、サントリーの事例で解説します。

SDGs広告の評価のポイントは「応援」

 今回は、ビデオリサーチの動画広告評価サービス「クリエイティブカルテ」を用いて、サントリーのテレビCM「ボトルは資源!」篇を分析します。

 

名称:サントリー ボトルは資源!篇
放送期間:2022年10月11日~2022年11月5日
秒数:60秒
出演タレント:稲垣吾郎/香取慎吾/草彅剛
ナレーション:「ごちそうさま。」「あー。ごちそうさま。今日はその後の話をします。」「飲み終わった後のボトル、正しく捨てれば何度でも何度でも蘇る。」「君たちはゴミじゃない。」「資源だもんね。」♪話したくない♪「また会おうね。」「また会おうね。」「の。」「あ。」|素晴らしい過去になろう。|「助かるわ。」|ずっとずっと、水と生きる。|サントリー。

 クリエイティブを紐解く前に、SDGs CMの良し悪しがどのような指標で評価されるべきか、考えてみましょう。SDGs広告には「(企業/ブランドが)社会へ貢献している」と伝えるメッセージを発し、社会課題に対する価値観を消費者と共有する目的があります。

 皆さんがSDGs CMを見て企業/ブランドの発するメッセージに共感した場合、どのような気持ちになるか想像してみてください。その企業/ブランドの活動に対して「味方になりたい」「自分も力を貸したい」といった感情が起こるのではないでしょうか。このような感情を集約すると「応援したい」という言葉にまとめることができます(図1)。

【図1】SDGs CMのフレーム
【図1】SDGs CMのフレーム

名曲『また逢う日まで』とSDGsの化学反応

 クリエイティブカルテでは「応援」がSDGs広告を評価する最適な評価指標であると捉えて「応援スコア(=企業やブランドを応援したい気持ちの高まりを示す値)」を定義し、計115素材のSDGs CMの評価をストックしています。サントリーのボトルは資源!篇をそれらの115素材と比較すると、応援スコアをはじめ「メッセージと表現方法の評価」「テーマへの受容性」においてサントリーが高い評価を得ているとわかります(図2)。

【図2】クリエイティブカルテのSDGs項目評価
<クリック/タップで拡大>【図2】クリエイティブカルテのSDGs項目評価

 ボトルは資源!篇の特徴は、1971年に日本レコード大賞を受賞した尾崎紀世彦さんの大ヒット曲『また逢う日まで』を採用している点にあります。CMでは同曲が合唱曲にアレンジされていますが、昭和世代の方は懐かしさを感じ、若い世代の方は新鮮に受け取ることでしょう。

 CMでは、出演者がペットボトルを捨てる際に「また会おうね」と呼びかけるシーンが描かれています。つまり、リサイクルされたペットボトルとの“再会”を、曲のタイトルで暗示しているのです。

 SDGs CMでは「CMのテーマと企業活動が合致しているかどうか」が評価のポイントとなります。図3は、SDGs CM計115素材の「応援スコア」と「テーマとの適合度」の偏差値を算出し、両者の相関関係を示したものです。ほかのSDGs CMに比べると、ボトルは資源!篇の相関係数は非常に高いことがわかります。

【図3】
【図3】
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宣伝色の薄さは逆に偽善的な印象を生む?

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この記事の著者

山本 勇気(やまもと ゆうき)

株式会社ビデオリサーチ アナリスト/ひと研究所研究員 2020年ビデオリサーチ入社。調査部門にて広告効果測定や広告コミュニケーション上の課題解決に従事後、現部門ではデータサイエンティストとして、調査データのモデリングやCMクリエイティブ分析などを担当。生活者研究シンクタンク「ひと研究所」にて、自身と...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/17 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47113

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