“感情”と“理性”のミックスが秀逸なサントリーのCM
次の図5は、SDGs CM計115素材について、応援スコアと「わかりやすさ」「内容理解度」の偏差値を算出し、応援スコアと2項目の相関を示したものです。両項目ともに応援スコアとの相関が非常に高く、わかりやすいクリエイティブでメッセージを理解してもらうことが、その企業を応援したい気持ちにつながりやすいと言えます。

ここで、ボトルは資源!篇を視聴した人の感想を紹介しましょう。
・ペットボトルの正しいリサイクル方法を詳しく説明していて、好感の持てるCMだった(男性30代)
・「ゴミではなく資源」「また使うことができる」環境保護も考えた内容で、誰が見ても納得できる(男性30代)
・SDGsをわかりやすく説明していて素晴らしい(女性60代)
・わかりやすく説得力のある内容(女性10代)
・今まで以上にサントリー商品のファンになった(女性30代)
感情的なアプローチと同時に理性的なアプローチも含めることで、消費者の応援したい気持ちを高めているようです。SDGs CMでは、消費者に啓蒙したい内容が抽象的に表現されてしまうこともしばしばあります。しかし、ボトルは資源!篇ではペットボトルを捨てた後の工程、つまりリサイクルを楽曲の歌詞や映像、出演者のセリフで伝えながら、消費者の内容理解を促しているのです。
抽象的あるいは暗示的な表現だけでは消費者が理解に至らず、場合によっては不自然さや偽善的な印象を与えてネガティブな反応を生むかもしれません。ボトルは資源!篇は感情と理性がバランスよくミックスされていたため、高評価につながったのではないでしょうか。
サントリーに学ぶSDGs広告の成功要因
今回はサントリーのSDGs CMを取り上げ、高評価の要因を探ってみました。まとめると、以下の三つが応援されやすいCMのポイントと言えます。
- CMの内容が企業活動に沿っていること
- 感情のみを刺激するクリエイティブはなるべく控える
- 具体的でわかりやすいメッセージを入れ、感情的・理性的なアプローチを組み合わせる
SDGs CMの出稿を検討している読者の方は、サントリーの事例をヒントにされてみてはいかがでしょうか。皆さんのマーケティング活動の参考になれば幸いです。
データソース:ビデオリサーチ「クリエイティブカルテ」
自社・他社問わずテレビCMやWEB動画広告の認知・クリエイティブ評価をワンストップパッケージでお届けする調査パッケージ。自社が希望する広告素材だけでなく、ビデオリサーチにて取得している6,000素材以上のストックデータからも条件に合う素材をピックアップ可能。
<調査概要>
・調査エリア:関東一都六県(に居住)
・対象者:男女15歳(中学生除く)~69歳
・サンプル数:540s
<調査項目>
通常のクリエイティブカルテ
・広告到達状況(GRPに対する広告認知状況)
・クリエイティブ評価(印象に残った要素/表現の受容性/メッセージの受容性)
・総合評価(広告自体の評価/商品・サービスへの貢献)
SDGsに特化したクリエイティブカルテは以下の項目も調査
・応援スコア/社会への貢献
・企業・ブランドへの貢献
<調査素材数>
計6,582素材(2015年11月~2024年7月時点)
うち、SDGs素材は115素材(2021年1月~2024年7月時点)