販促活動を専門とするシンクタンクの誕生 背景に業界連携強化
━━今回スコープは、販促活動を専門とする社内シンクタンク「スコープ販促創造研究所」を設立されました。この研究所設立に当たり、前提となるスコープ全体のビジネスコンセプトについて教えてください。
内田:1989年4月1日に設立したスコープでは、36期目を迎える2024年の同日にパーパスを制定しました。「発想力と実現力で未来からほめられる仕事を。ワクワクが持続する社会を生み出す仕掛け人になる」というもので、これが今後10年間の成長に向けた指針になっています。
内田:この先10年における成長のフェーズは大きく分けて三つ。まずは当社の持つ販促のノウハウや技術などの基盤を整備し、基礎となるデータを構築する「成長基盤形成期」です。小売の販促とは、「ヒトをお店につれてくる」「モノを買っていただく」「新しい価値、すなわち“コト”を提案する」が基本。私たちが過去35年間に蓄積してきた「ヒト、モノ、コトを動かす技術」をしっかり棚卸し、それを基にグループ力を高めます。
次にこの販促技術を社会課題に適用して課題解決を実践する「成長活動実践期」。業界内外と連携した販促企業ネットワークを形成したいと考えています。業界内外のネットワークを形成することで、社会課題の解決力と世の中への影響力を高め、全国各地で奮闘している地元企業や自治体、印刷会社などに向けて当社のノウハウを提供。地域活性化に貢献したいと考えています。
最後が、企業だけでなく社会からも頼られる価値を創造していく「安定成長状態期」。最終的には全国各地で活動しているNPOや学生の活動にもスコープのノウハウを提供し、スコープの基盤技術が世の中の社会課題解決に向けてネットワークを広げることを目指します。
社内ではこのネットワークに関わる方々を「スコープ関係社員」とお呼びしており、スコープのノウハウ、想いを共有していただいた企業や、人材との連携を強化するこれらの取り組みは、様々な分野における影響力の発揮を目的としています。
━━今回設立されたスコープ販促創造研究所はどのような位置付けになるのでしょうか。
内田:スコープ販促創造研究所は、これまで私たちが蓄積した販促ノウハウの棚卸し・整理を進め、外部の方々の協力を得ながら販促技術を高め、新たなノウハウを広く伝えていく場です。もちろん、技術の整備や強化をしていくだけではなく、これまでのサービスを体系化したソリューション「販促BPO」の展開にも同時に取り組みます。この両輪で市場に価値を提供することで、先ほどのネットワーク作りやビジネス創造に貢献できると考えています。
「買いたい」から「買い続けたい」という購買体験を追求
━━続いては、スコープ販促創造研究所の所長に就任した多田さんにお話を伺います。研究所として持つ問題意識について教えてください。
多田: 昨今よく話題に挙がるテーマではありますが、人口減少や少子高齢化が進む中、社会構造は変化しています。それにともない、企業の販促活動の目的も「今、この瞬間に購買意欲を高めること」から、「生涯にわたって買い続けたいというモチベーションを創ること」へと大きく変化しました。つまりLTV(Life Time Value)を重視する傾向が年々高まっているのです。また他方では、テクノロジーの進化によって買い物という行動自体も大きく、目まぐるしく変化してきています。こうした変化に応じるためにはトレンドを追うだけではなく、新しい手法の創造にも挑んでいくことが必要だと考えています。
私たちスコープでもスキーム開発に携わる中、従来の販促手法について「買っていただく機会を創ることは得意だが、ユーザーの体験価値が1回限りのものになっていないか」「持続性がないのではないか」という課題を感じていました。当研究所のテーマである『「買いたい」から「買い続けたい」を創る販促へ。』というキーワードは、社内で湧き上がっていた販促の考え方も変えていこうとの想いから生まれたものです。
━━スコープ販促創造研究所ではどのような取り組みを進めていくのでしょうか。
多田氏:研究所では「サイエンス系」「インサイト系」「トピック系」という三つのカテゴリーで販促創造にアプローチします。