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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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生活者の声も、匠のノウハウも未来の成果につなげる。「スコープ販促創造研究所」が目指す業界連携と継承

生活者コミュニティとも連携 購買行動と販促を三方面から分析

画像を説明するテキストなくても可

多田:サイエンス系は、リアルな購買行動を研究分析して未来の買い物のあり方などを追求する取り組みを指します。具体的にはリアルな売り場を使ったプロモーション施策の実証実験やキャンペーン・イベントの施策結果分析の蓄積、Web3などの最新技術を使った販促手法の創造などを進めます。

 インサイト系では、調査を基にした消費者のマインド分析を進めていきます。注力したいのは、買い物現場ですぐに活用できる消費者インサイトの掘り下げとその発信です。今後、社会変化による様々な買い物の課題が浮上してくると思うので、その課題解決に向けた支援や具体的なソリューション開発につながる方法を考えます。

 トピック系は、小売の現場で販促担当されている方がすぐ活用できる知見を発信していきたいと考えています。販促プロモーションの施策結果から見た効果的な方法であったり、数ヵ月先のトレンド予測であったり、効果的な売り場作りにつながるノウハウを提供しつつ、私たちが長年積み上げてきたセオリーを棚卸し・言語化して公開していく予定です。

 さらにこの三つの取り組みを当社だけで進めるのではなく、他の企業の方や生活者の方、行動経済学の専門家など大学の方々とも連携しながら進めたいと考えています。

 2024年7月にはオンラインコミュニティの専門会社と協力して、コミュニティサイト「毎日のお買い物“ワクワク”“モヤモヤ”研究会」を開設しました。生活者の方々の参加を促し、モニターとして、または次の販促を考えるパートナーとして携わっていただいています。このような連携を基に「ネットワーク型のシンクタンク」として輪を広げていく予定です。

毎日のお買い物“ワクワク”“モヤモヤ”研究会のトップより

内田:調査パネルを保有している研究所は他にもたくさんありますが、コミュニティ型であることは一つの大きな特徴です。アンケートだけではなく、アイデア出しや質問掲示板など、インタラクティブな試みを通じてインサイトや知見を蓄積してきたいと考えています。

店舗での実験、生活者の声などから行動やインサイトを分析

━━コミュニティサイトやトレンド分析など既に進めている活動の中で、現在どのようなインサイトや発見が得られているのでしょうか。貴社の直近の活動で得られた知見、おもしろい事例があれば教えてください。

内田:研究所が始まる前から携わっていた活動ではありますが、東芝テック様と共同開発して2024年6月に発表した、香りを活用したマーケティング手法「香りリテールメディア」もサイエンス系販促創造の一環と言えます。

多田:コーヒーやコスメを置いている什器の上からその香りを噴霧して、香りの刺激で買い方、売り場にとどまるか否か、その時間に影響は出るのかを数値化、成果を測る取り組みです。当社の小売店舗などを利用して実験を重ねています。

スコープのリリース、東芝テックのリリースより

内田:また当社のオフィスでは、香りと映像、音など五感を刺激することで購買行動がどう変化するのかという実験も行っています。この実験結果を売場やイベント会場などの場での活用に応用していきたいと考えています。また行動経済学がご専門の明治大学の後藤晶先生、視覚脳科学がご専門の横浜国立大学・岡嶋克典先生にもご協力いただいています。

━━先ほどのコミュニティサイトではどのような試みがありますか?

多田:コミュニティサイトでは現在約5,600人の方に参加していただいているのですが、参加者様の買い物に対する自由な発言が見られるのはもちろん、こちらからトピックを投げかけて回答が得られる場にもなっています。

 最近も、こちらから「何をきっかけに買い物をしていますか」と質問したのですが、意外にもチラシやテレビの影響が大きいという傾向がわかり、興味深い結果でしたね。内心、口コミやSNSの影響力の方が大きいのかと思っていたのですが、回答によるとチラシやテレビの影響は倍以上でした。これをきっかけにさらなるインサイトの深掘りにつなげたいと考えています。

━━インサイト系での事例はございますか?

多田:たとえば、私が所属するDDP事業本部がコーポレートサイトに公開した、イヤホンに関する調査コラムは今後発信していきたい情報に近いものです。

 このコラムは、ワイヤレスイヤホンがかなり普及した市場でも有線イヤホンが残っている状況に着目し、その商品選択の動機やニーズを深掘りすることを通じて、他のモノにも共通する汎用的な購買インサイトを発見しようとする内容です。ごく日常的なモノの購買活動に対する着眼のしかたが販促担当者にとってお役立ちになるのではないでしょうか。

 これ以外にも、買い物に対する意識調査やエシカル消費などの定点調査、他では見ないニッチな調査に注力し、後々の社会課題解決につながるインサイトを深掘りしたいと考えています。

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数万店舗でもつつがなく進行する技 現場ノウハウを継承・活用

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社スコープ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/19 11:00 https://markezine.jp/article/detail/47313

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