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事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

生活者の贅沢に変化?事例と調査で見る「ラグジュアリーブランド」の最前線

「セカンドハンドマーケット」の事例 Vestiaire Collective

 Vestiaire Collective(ヴェスティエールコレクティブ)は「Think First, Buy Second<購入する前に(環境問題を)考えよう>」をキャッチコピーに、ラグジュアリーファッションの中古売買ができるオンラインサイト/アプリを提供しています。

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ヴェスティエールコレクティブの公式YouTubeチャンネルが公開した「Vestiaire Collective: Do You Speak Fashion?」より

 特にファストファッションに代表される過剰生産と過剰消費が、繊維廃棄物の問題の一因になっていると主張する同社。サーキュラーファッション(リサイクルや再利用を促進し、環境への負荷を軽減するファッション)を推進するプラットフォームとして、広く人気を博しています。

 事実、ラグジュアリー業界におけるセカンドハンド市場も急拡大しています(Verified Market Researchのレポートより)。もちろん、憧れのブランドが手軽に手に入る、ということも人気の要因と考えられますが、ヴェスティエールコレクティブの事例に見られるように、持続可能なコマースとしての中古売買の魅力を生活者は感じているようです。

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 また同時に、時間的な価値、歴代の所有者のことなど、その商品にまつわるストーリーや文化的な側面に魅力を感じていることがわかります。The RealReal(リアルリアル)も大手のラグジュアリー中古販売プラットフォームですが、先述の調査が示唆しているように、中古品にまつわる物語に注目したコミュニケーションをまさに発信しているのも興味深いですね。

 当然ですが、この成長の後押しにはデジタル化があります。今まではマッチングが難しかった売買市場にC2C販売(一般消費者の間での商取引)が普及したことで、より多くの流通が行われるようになりました。2022年にBALENCIAGA(バレンシアガ)が、独自のセカンドハンドウェブサイトを設立したように、今後はブランド自身で中古販売を管理する潮流も生まれそうです(公式リリースより)。ラグジュアリーブランドがセカンドハンドマーケットも経済圏とした場合、生活者との接点や関係性にも、今後変化が起こってきそうですね。

「ポップカルチャーパトロン」の事例 LOEWE x STUDIO GHIBLI

 LOEWE(ロエベ)は2021年よりジブリとのコラボレーション商品を販売しています。「となりのトトロ」にはじまり、22年には「千と千尋の神隠し」、23年には「ハウルの動く城」と、毎年一つの作品をテーマにしたコレクションが展開されてきました。

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ロエベ公式YouTubeチャンネルが公開した「LOEWE x Spirited Away」より

 皮革製品で有名なロエベと、手書きの絵を何枚も書いてアニメーションを作るジブリ。ともに「手作業をベースに温かみを伝えいく」という理念が合致したことでコラボレーションが成立したようです。アニメ映画で見てきたジブリのキャラクターや世界が、どのようにファッションへと落とし込まれていくのか、興味深く見てしまいますね。

 そもそも芸術や文化の分野では、古代よりパトロン(アーティストの経済的支援者)と呼ばれる存在が発展に貢献してきた歴史があります。現代ではラグジュアリーブランドにパトロンの役割が求められているようです。

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 調査が示唆するように、生活者はブランドに対して、まさに“現代のメディチ家”になることを望んでいるのです。ただ、現代にある実際のケースと昔のケースとの間で大きく異なる点は、アーティストが既に商業的に成功しており、ブランドはそのパトロンとなることでより広い文化圏にアプローチができることです。ドン ペリニヨンはレディー・ガガとコラボレーションをし、ティファニーはビヨンセをブランドアンバサダーとして採用するなど、ポップアイコンとのコラボレーションを通して、ブランドをより広い顧客に認知させていく試みが行われています。また近年ではインフルエンサーの起用も進んでおり、ディオールはフランス人のインフルエンサーであるレナ・マフフと、コーチはTikTokerとして有名なウィズダム・ケイとコラボレーションを行うことで、若年世代に対してのアプローチを行いました。

 ラグジュアリー市場の拡大にともない、その市場ターゲットは以前よりも大衆へと広がっていくでしょう。ラグジュアリーブランドが今後どのようなポップカルチャーと結びついていくかは非常に興味深いポイントだと考えています。

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「場としてのラグジュアリー」の事例 Bvlgari Hotels & Resorts

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この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47457

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