BtoBとBtoCの違いとは?
「BtoB」「BtoC」とは、取引先相手の頭文字をとったもの。「BtoB」なら「Business to Business」の略で企業同士の取引を、「BtoC」なら「Business to Consumer」の略で企業と一般消費者の取引を指します。
顧客の違い
前章でも触れたように、顧客が企業・法人であれば「BtoB」、一般消費者であれば「BtoC」となります。
身近なものでいうと、コンビニやスーパーなどの小売店は一般消費者向けに商品を販売しているので「BtoC」です。その商品を生産したり納品したりしている企業は、小売店などの企業と取引をしているため「BtoB」となります。加えて、商品を作るメーカーといった企業に、その商品の素材・原料・機械・各種サービスなどを提供している企業も「BtoB」です。
需要の規模の違い
「BtoC」は顧客が一般消費者となるため、ターゲットが幅広くなります。中にはニッチな市場もありますが、一般的にターゲットは不特定多数の人となります。
「BtoB」は基本的には、顧客企業が属する業界がターゲットです。業界によって規模が異なり、非常に小規模な市場で商品やサービスを展開している場合もあります。しかし、企業の中には中小企業クラスでも業界内では最大規模といったこともあるほか、競合他社の有無にも違いがあり、需要の規模は業界によって大きく異なります。
取引額・取引量の違い
一般消費者が個人レベルで消費する量は決して多くありません。「BtoC」の場合、一人の消費者が扱う単位は、個数であれば1桁程度が一般的といえます。1人あたりの購買額を取引額とするならば、その額は数百円から車や時計などの高額商品で数百万ほどです。そのため、「BtoC」の場合は商品をどのくらい多数の人に購入してもらうかが鍵となってきます。
一方「BtoB」は、素材や原料、部品などであれば1社相手であっても数百~数万という量を扱うことになります。当然、取引額も数百万円から数千万円、ときには数億円にもなるでしょう。決済に至るまでには、社内で複数回の検討が重ねられ、いくつも稟議がまわされるなど煩雑な手続きも特徴です。
なお「BtoB」で取引されるもののうち、たとえばネジなどは、1つあたりの単価は低くなります。そのため、完成品を購入することの多い「BtoC」のほうが単価は高い場合もあるでしょう。しかし、1つ10円のものでも100万個となれば1000万円になり、1円単価が変わるだけで100万円単位で金額が変化。工業用の機械などの設備では単価が数千万を超えることもあります。どちらにしても、「BtoB」の取引額は大きなものになり、非常にシビアな駆け引きが発生します。
リピート率、購入期間の違い
消費する量が異なれば、次に同じものを購入するまでの期間も変わってきます。加えて、一般消費者は、ほしいと思ったときに、自由に選んで購入することができます。次にまた同じものを買わなくてもよく、リピート率を上げることは容易ではありません。
しかし「BtoB」は契約を交わすことで、基本的には同じものを同じ企業から定期的に購入します。長い期間、同じ企業と取引することも多々あります。
マーケティング手法の違い
「BtoC」は不特定多数の一般消費者に商品やサービスを選んでもらうため、より多くの人に知ってもらう必要があります。そこから最終的に選んでもらうためのアプローチをどのようにしていくのか。企業が想定する自社商品のターゲット像に合わせたマーケティング展開が必要です。
「BtoB」では取引額や購入期間が異なることから、契約に至るまでのハードルが高くなります。「BtoC」と異なり、単純なイメージなどで選ばれることはないので、担当者と長い期間を掛けて関係性を構築することが大切です。長期間を見据えて自社の優位性を理解してもらえるような営業手法やマーケティング手法が求められます。
ゴールの違い
「BtoB」と「BtoC」では、購入者・サービス利用者の目的、ゴールが異なります。一般消費者にとって消費(購入)の目的は、生活をおくるための必要不可欠なものを入手することだけではなく、自身の欲求の解消、生活や人生を楽しむためなどさまざまです。
一方で、企業の目的は自社の商品を生産する以外にも、商品の生産性や品質を向上やコスト削減、業務改善など現状の課題を解決するために商品やサービスを消費します。企業にとっては、直面する課題を解決し、最終的には自社の利益を最大化していくことが目的です。
BtoBtoC・DtoC・BotE・BtoG・CtoCとは?
「BtoB」「BtoC」以外にも、ビジネスの関係性がわかる用語は複数あります。似ているものなどもあるため、いくつかを紹介します。
BtoBtoCとは?
「Business to Business to Consumer」の略で、商品やサービスが企業同士の取引を介して、消費者に届けられるビジネスを指す用語です。世の中の商品売買のビジネスの流れ・プロセスは、メーカーが商品を生産し、スーパーなどの小売店がその商品を仕入れて一般消費者に販売する流れが一般的であり、多くが「BtoBtoC」であるともいえます。自社の商品やサービスが「BtoBtoC」の中の「BtoB」なのか、「BtoC」なのかの違いです。
流通の中間で事業を行う企業またはそのビジネスモデルを「BtoBtoC」と呼びます。これまで企業と一般消費者の間にいたのは卸売業や小売業などでした。しかしECサイトが一般化した現在は、Amazonや楽天などのECサイトとそのビジネスモデルも「BtoBtoC」に分類されます。
DtoCとは?
「Direct to Consume」の略で、メーカーなどの企業が卸売りや小売業を介さずに、直接一般消費者に販売するビジネスモデルです。いわゆる「工場直売所」などもそれにあたります。近年は、オンラインショップなどのECサイトで自社製品を販売する企業も増え、「DtoC」は増加傾向にあります。Amazonや楽天などのECサイトが登場し、これまで卸しを利用しなければ一般消費者に販売できなかったものが、手軽に販売ができるようになった点も増加の理由のひとつです。
これまで「BtoBtoC」で商品を一般消費者に提供していた企業が、中間業者を介さず一般消費者に直接アプローチするため形態は「BtoC」と同じです。しかし、他の「BtoBtoC」の事業がある場合は区別が必要です。そのため「「Direct(ダイレクト)」と表現し、「BtoBtoC」とは異なる表記となっています。
BtoEとは?
「Business to Employee(従業員)」の略で、企業が自社や他社の従業員に対して行うビジネスを指します。とはいえ、従業員もまた一般消費者です。なぜ「BtoE」として別の分類をするのでしょうか。
「BtoC」は広く不特定多数の消費者が相手となり、ターゲット層やニーズといった実態は非常につかみにくいことが一般的です。しかし、「BtoE」の場合、その企業に属する人のみがターゲットとなるため、ある一定の属性にすでに分けられています。商品・サービス情報も企業を介することで届けやすくなります。従業員に対してのみ割引をするといったサービスをつけることで、従業員にとってはその企業に属していることによるメリットが生まれ、福利厚生の一環にもなります。従業員満足度にも影響を与える可能性があるのです。
このように特定の効果が生まれることから、一般消費者とは区別した「BtoE」というビジネスモデルが確立されています。
BtoGとは?
「Business to Governmen(政府)」の略です。企業が国や自治体、行政に対してモノやサービスを提供するビジネスモデルで、入札など独特のルールもあり、企業とは別の分類となることから「BtoB」とは区別されています。
代表的なところでいうと、道路工事などのインフラ関係や行政業務のIT化・DX推進などが挙げられます。
CtoCとは?
「Consumer toConsumer」の略で、消費者同士が企業を介さずに取引を行うことを指します。リアルな場ではフリーマーケットが代表的な例であり、インターネットが普及した現在は主にオンライン上での取引が一般化しています。そのため、フリマアプリやオークションサイトでの取引を「CtoC」と呼んでいることが多いです。
実際には、フリマアプリやオークションサイトにはシステム使用料を支払っているため、企業のサービスは経由しています。ただし、直接の取引相手がお互い企業ではなく消費者であることから、「CtoC」と呼ばれています。
BtoCの特徴
「BtoB」と「BtoC」の違いから生まれる「BtoC」の特徴を整理します。
購入の決定は感情にも左右される
「BtoC」の顧客は一般消費者です。ターゲットは年代や生活圏が一人ひとり異なり、同じ商品でも購入する理由や目的は千差万別です。一般消費者が商品やサービスを選択する際、それを使用するとどのようなメリットや効果があるのか。現状の悩みが解決されるのかといった視点は当然ながらあるものの、特にメリットがなくても「好き」「かわいい」「面白い」といった感情によって左右されることも多々あります。
また「皆が使って(食べて)いるから」「人より早くほしい」「気になったから使って(食べて)みたい」など消費そのものが目的となることもあり、好みとも異なる理由で選択することもあります。
タッチポイントが多彩
「BtoC」において、まずはターゲットに自社の商品やサービスの存在を知ってもらうことが、すべてのスタートです。店頭はもちろん、テレビやWebなどをはじめとした広告やSNS、口コミなど、顧客との接点となるタッチポイントを多彩に展開することが求められます。
接点が多いだけではなく、回数も重要です。繰り返し情報に触れることで認識してもらう可能性が高くなるため、1つの媒体による宣伝活動だけではなく、いくつかの販売促進と合わせて展開することで、タッチポイントをさらに広めていきます。
BtoBの特徴
「BtoB」と「BtoC」の違いから生まれる「BtoB」の特徴を整理します。
複数の段階と人を経て意思決定される
ある程度の規模感を持つ企業同士で行われる「BtoB」の取引では、商品の素材や原料は大量かつ定期的に必要となるため大きな金額が動きます。そのため、現場の担当者だけではなく、その上長や別の部署などが検討・決定に携わり、最終的に決裁権を持つ人の合意のもとに契約が締結されます。
このときにポイントとなるのが、「BtoB」では取引する商品やサービスを利用する当事者と、決裁権を持つ人が異なる点です。「BtoC」であれば、購入者はそのまま利用者となります。家電や車など複数人で利用するものは、メインの利用者とサブの利用者に分かれることもありますが、どちらも利用者であることに違いはありません。「BtoB」の場合を工業製品で例えると、工場で実際に商品を生産する人やその素材・原料を考える人、価格を検討して是非を判断する人は異なります。多くの人・部署を経て意思決定されるのが「BtoB」です。
しかし、これは企業の規模によって異なります。中小企業の中でも10人、20人以下といった企業や、ベンチャー企業になると現場の責任者が裁量権を持つことも多く、企業規模や業界によって様子は大きく異なっていきます。とはいえ、どちらにせよ1人、2人のみで即決されることは、あまりありません。
購入決定までに時間を要し、営業的な要素が必要
「BtoB」は「BtoC」と異なり、複数の人が意思決定に携わります。それぞれの段階で検討、合意、承認が必要になれば、契約の締結までには長い時間がかかります。取引規模によっては数ヶ月から1年単位で時間がかかることもあるでしょう。
当然ながら、マーケティングや営業のアプローチ方法は、利用者本人だけではなく、検討段階のそれぞれの立場の人に合わせたものが必要となります。むしろ、利用者に選択権、決定権があることのほうが少ないかもしれません。商品やサービスそのものの質はもちろん、取引企業としての信用度、信頼度も非常に重要となることから、契約合意には円滑なコミュニケーションなど営業的な要素も非常に重要になってきます。
また、時間をかけて選定・合意されたものだけに、大きな問題がなければ取引は長期にわたる傾向があります。一度購入したらそれで終わりではなく、継続的な関係性の構築も大切です。
課題解決を重視し、メリットを押さえたアプローチが求められる
企業が素材や原料、機械、サービスなどを導入するとき、そこには明確な目的が存在します。自社の商品を作るためや生産量を拡大するため、品質を向上するためなど、何らかの課題に対応するために取引が行われることが多いでしょう。
しかし、「BtoB」では「契約合意に至るまでの時間や手続きがかかる」「取引額が大きくなる」また、自社が生産する商品などの「品質を一定に保つ必要がある」ことから、一般消費者のように次は違うものを試してみようなどと簡単に変更することはできません。自社の商品を検討してもらうためには、課題解決のための提案や、購入時のメリットなどをしっかりとアプローチすることが必要となります。
加えて、現場の担当者やその上長、購買部など部署によって求められる提案が異なることも留意しておきたい点です。相手の立場に合わせたメリットを論理的に展開し、自社の優位性を示していくことが肝要となります。
BtoCマーケティングのポイント
マーケティングは売れるための戦略、しくみを考えていくことです。これまでに挙げられた「BtoC」の特徴を抑えつつ、「BtoC」マーケティングを展開していくにあたってポイントとしたい点を紹介します。
顧客理解を深めて、ニーズを探る
「BtoC」の場合、ターゲットが幅広いため、まずはターゲット層を分析、理解することが大切です。しかし、価値観が多様化した近年は、年齢層や性別、その他のカテゴリーによる単純なセグメントが難しくなっているといわれています。ターゲット層に刺さるマーケティング施策を考えるにあたっては、複数のペルソナやカスタマージャーニーマップなどを作成し、1人ひとりの顧客のニーズを深く探っていく手法も増えているようです。
なお、最近はマーケティング手法が細分化され、ターゲット層によって適した手法が異なることも多くなっています。それだけに、ターゲットとなる顧客の理解を深める必要があります。
潜在層を把握し、拡大を狙う
「BtoC」の特徴のひとつに、企業からのタッチポイントが多彩であることが挙げられます。マス広告と呼ばれるテレビ・新聞・雑誌・ラジオの他に、Web広告やSNSといったデジタルマーケティングも選択肢の1つにしながら顧客との接点を増やし、商品やサービスの認知拡大に努めましょう。認知を拡大することで、潜在層の拡大も図れます。
「BtoC」において潜在層の拡大を目指すには、いくつかの理由があります。1つは、一般消費者はLTV(顧客生涯価値)が比較的短いとされているためです。LTVは、1人の消費者がその商品やサービスを利用し始めてから終わるまでに自社にもたらす利益を指します。しかし「BtoB」と異なり同じものを購入し続ける契約がなく、「次」の商品選択肢がいくつもある一般消費者は、その商品を使い切ったからといってリピートするとは限りません。購入理由や目的が感情などによって左右される面があるため、商品を頻繁に変更する人も多いのです。いわゆる「ブランドスイッチ」が起きやすいのです。1回の使用期間も短いため、常に潜在層を広げておく必要があります。
また、一般消費者は同じ年代やターゲット層であっても、進学や就職、結婚、出産などの個人のライフイベントによりセグメントが随時変化します。同じ20代前半であっても、学生と社会人ではニーズも変わるため、既存顧客の維持だけではなく、新規顧客を獲得するための継続的な施策が必要です。
代表的なBtoCマーケティング
以下のような媒体やマーケティング手法が、BtoCに適しています。
マスメディア
従来の広告媒体であるテレビや雑誌、新聞、ラジオを指します。広く不特定多数の人へのアプローチが可能ですが、現在では比較的年齢層が高めの層へのアピールが効果的といわれています。
Webメディア
インターネット上で情報を提供しているサイト全般を指します。大きくは、1次メディアと2次メディアに分かれます。1次メディアはマスメディアのWebサイト、企業の公式サイト、企業が独自に記事を編集して発信するオウンドメディア、公的機関のサイトなど。2次メディアは情報を集めたポータルサイトや、インターネット上にあるさまざまな情報を編集しなおして紹介するキュレーションメディアなどとなります。なお、SNSもWebメディアの1つとなります。
コンテンツマーケティング
消費者が自ら情報を収集し購入の判断を行う現代では、企業が発信する情報は重要なものになっています。有益な情報(コンテンツ)をサイトに掲載し、信頼性を高めてブランディングを図る手法で、オウンドメディアなども含まれます。
Web広告
Webサイトに商品そのものの広告を掲示したり、自社サイトに集客するために別のサイトに広告を出したりといったWeb広告は、現在の広告戦略の主流となっています。
SNS
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用したマーケティングです。消費者とコミュニケーションが図りやすく、ファンを醸成しやすいメリットがあります。
インフルエンサー
SNSにおいて、何十万人というフォロワーを抱えて大きな情報発信力を持つ個人をインフルエンサーと呼んでいます。口コミマーケティングの1つともいえ、影響力の高いインフルエンサーに自社の商品やサービスを紹介してもらうことで、認知拡大を狙います。
SEO
サイトに訪問するユーザーの行動をデータで分析し、それに合わせたサイト作りや情報発信を行うマーケティング手法です。
チラシ
古くからある手法で、新聞折り込みやポスティングのチラシなど、特定地域や期間限定のマーケティングに有効とされ、認知や情報伝達力において根強い信頼があります。
DM
顧客に直接アプローチできるため、古くから活用されている手法です。現在はメールによるアプローチも加わり、改めて見直されている手法です。メールの場合はデジタルマーケティングとして独立した手法に分類されている場合があります。
BtoBマーケティングのポイント
近年、「BtoB」であってもマーケティング戦略にそった営業活動が行われるようになっています。そこで、「BtoB」マーケティングを展開していくにあたってポイントとしたい点を紹介します。
「BtoB」においても高まるマーケティングの重要性
これまで「BtoB」では営業が主体となり、顧客に情報を提供しながら関係性を構築するといった売上拡大の戦略が展開され、マーケティングはあまり重視されない傾向がありました。しかし近年は、購買部経由で取引を行う企業も増え、現場担当者とのコミュニケーションだけでは営業活動が難しくなってきている例も増えています。また、デジタル化が進みこれまで相手企業の営業に頼っていた情報収集を顧客自らできるようになり、事前に競合企業との比較検討ができるようになるなど、「BtoB」の購買プロセスに変化が生まれています。「BtoB」においても、「BtoC」同様に認知してもらうことが重要といえそうです。
それらの変化を受け、自社サイトなどを通じて積極的な情報提供を行うコンテンツマーケティングなどによって、新規の見込み客(リード)の獲得拡大を狙うことが重要視されるようになりました。実際、2024年9月発表された、リサーチデータマーケティング「リサピー」を運営するIDEATECHによる調査 を見ると、マーケティング施策において重視しているKPIの第1位は「新規リード獲得数」となっています。また、その理由として最も多かったのは、「マーケティング施策でコントロールできるKPIだから」でした。同時に、リードの受注率管理もマーケティングの大切な業務の1つといえるでしょう。
顧客の課題を見つけ解決策を提案
「BtoB」において、コンテンツマーケティングなどを展開するにあたり、押さえておくべきなのは業界理解と業界分析でしょう。取引先の企業が業界内でどのような位置づけであるのか。それによって現状と課題も見えてきます。
「BtoB」では、顧客側に明確な目的が存在しているため、その目的に効率よく到達できるための提案が求められます。しかし、顧客が認識している目的が、本当に最終目的であるのかといった視点も大切です。たとえば、売上拡大の先にある目的は売上利益の増加であり、そのためにはどのような課題があるのかは、企業によって異なります。品質の向上が必要な場合もあれば、コスト削減の場合もあります。生産・製造工程における効率化の場合もあるでしょう。顧客が見落としている課題を見つけるためにも、マーケティングデータを活用した分析が重要となります。同時に、担当者へのヒアリングも不可欠です。
新規リードを獲得して育てていく、リレーションシップ・マーケティング
コンテンツマーケティングに加え、「BtoB」のマーケティング戦略において、多くの企業が注目しているのがリレーションシップ・マーケティングです。
リレーションシップ・マーケティングは、潜在顧客の中から契約を結んでくれるような、確度の高い顧客を選別していくための手法で、以下の4つの段階があります。
- リードジェネレーション
- リードナーチャリング
- リードクオリフィケーション
- 商談・受注・継続利用
リードジェネレーションは、リードの獲得をする段階です。リード獲得の場は、オウンドメディアやWeb広告、展示会、セミナー・ウェビナーなどになります。
リードナーチャリングは、獲得したリードを潜在顧客へと育てていく段階を指します。サイトなどで定期的に情報を提供し、信頼関係を築き、その関係性を継続させるものです。
リードクオリフィケーションは、そのようにして育てたリードから、さらに契約に近い企業を絞り込む段階。自社サイトの訪問者であれば、資料請求や問い合わせなどをしてくれた企業です。
自らアクションを起こした企業は、商談・受注・継続利用の段階といえます。より契約率の高そうな企業が絞り込まれた段階ですので、ここで営業チームへと引き渡します。時間はかかりますが、今でも根強く残っているテレアポや飛びこみ営業といった、従来のマーケティングよりも高い効果があるとされている手法です。
営業とマーケティングの情報共有と連携
マーケティングチームが確度の高い顧客を選別し、その情報を営業に渡すことで、営業チームは無駄なくセールス活動を行うことができるようになります。効果が見込めるマーケティング手法ですが、当然ながら、マーケティングと営業部との細かな連携が欠かせない手法となります。マーケティングチームと営業チームの連携は、ときに「BtoB」マーケティングがうまくいかない要因として挙げられることもあるため、きめ細やかなサポートが成功の鍵となるでしょう。
連携がうまくいかない点としてよく指摘されるのが、何を重視するべきかがマーケティングと営業でズレてしまうことです。絞り込みを行っていく以上、マーケティングチームはリードの母数をより多くしたいと思うでしょう。母数が大きくなれば、メインの顧客像から外れている企業も多く含まれます。
一方で営業チームは、商談を希望する段階になっている厳選された企業を求めます。営業が求める段階へと顧客を醸成することが大切です。どのような特徴があれば商談が成功しやすい企業といえるのか。営業からも情報を提供し、マーケティングと営業がコミュニケーションを取りながら、良好な関係性を気付いていくことも大切です。
代表的なBtoBマーケティング
以下のような媒体やマーケティング手法が、BtoBに適しています。
コンテンツマーケティング
「BtoC」同様に「BtoB」でも高く注目されているのが、コンテンツマーケティングです。特に「BtoB」は業界ならではのしくみがあることから、オウンドメディアで自社の優位性を表現することは非常に効果が高いとされています。オウンドメディアのほか、特定のテーマについて深掘りしたホワイトペーパーもコンテンツマーケティングとして注目されています。
展示会、セミナー、ウェビナー
リアルな展示会、セミナーは、ターゲットと直接名刺交換ができるため、リードの獲得や囲い込みに有効です。近年はWeb上で開催されるセミナー「ウェビナー」も人気です。
ニュースリリース・プレスリリース
「BtoB」における情報発信の基本ともいえます。情報が拡散されるインターネットにおいて、確かな1次情報としての位置づけでもあります。
テレアポ
古くからある手法で、リレーションシップ・マーケティングに組み込まれることで、より確度の高いアプローチにもなります。
Web広告
企業が自ら情報入手に動くことが増えているため、Web広告などによる認知拡大は有効といえます。
SNS
SNSは「BtoC」に効果が高いといわれており、認知拡大、ブランディングという点において、現在では外せないマーケティング手法です。
メールマガジン
リレーションシップ・マーケティングのひとつとしても、改めて評価されています。
まとめ
「BtoB」と「BtoC」はターゲットとなる顧客以外にも多くの違いがあります。その違いはマーケティング戦略にも表れます。「BtoB」と「BtoC」の違いを意識し、それぞれの特性にあったアプローチが欠かせません。それぞれ特性に注目しながら実行しましょう。