データ活用の壁を越えるAWS Clean Rooms
山田:まずは松本様のご担当について簡単に自己紹介をお願いします。
松本:私はアマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)のサービスを組み合わせて、ソリューションを開発する役割についています。中でも、私の担当する主なお客様はIT部門ではなく事業部門、特にマーケティングや製品開発を行われている方が中心です。CEOやCDO、CMO、最近ではCPO(Chief Product Officer)の方々や事業部のリーダーの方々と会話して、お客様の経営や事業の課題を、クラウドを活用して解決するご支援をしています。
山田:今回はマーケティング領域におけるAWSの活用として、主に「AWS Clean Rooms」についてうかがいます。こちらがリリースされた背景は何でしょうか。
松本: AWS Clean Roomsは2023年3月より日本でも利用できるようになったサービスです。自社のデータセットと外部のデータを安心・安全に組み合わせて、AWSクラウド上で独自のインサイトを生成できます。
3rd Party Cookieの規制や個人情報保護規制強化により、多くの企業が従来のマーケティングやデータ活用の手法に悩んでいます。その中で、各企業は自社が保有する生活者データや消費者データ、ビジネスパートナーが持つデータをどう活かせばいいのか。また、パートナー企業とのデータ連携にあたって、安全性を担保するにはどうすればいいのか、といった課題を抱えています。こうした企業の課題に寄り添うべく誕生しました。
Amazonグループでは以前より、Amazon Adsのお客様向けに「Amazon Marketing Cloud」というクリーンルームサービスを提供しています。このサービスの裏側を支えている仕組みでもあります。AWSのお客様同士でも、データのコラボレーションを行っていただけるよう、製品化したものがAWS Clean Roomsです。
メディア、データ活用のトップランナーが活用中
山田:国内企業での活用例はありますか?
松本:以下3社のお客様の取り組み事例を公開させていただいております。たとえば、電通は、GoogleやMeta、Amazon Adsが提供する各データクリーンルームの分析結果を統一指標によって横並びで比較や評価が可能にする「TOBIRAS」というソリューションを開発され、そこにAWS Clean Roomsを組み込んでくれる予定です。これにより、ITエンジニア以外の幅広い職務の方でも各データクリーンルームの分析結果を統一指標によって横並びで比較や評価が可能になりました。
また、マクロミルは、自社で保有する生活者のデータを活用し、彼らのお客様が保有する行動や属性データを補完しながらCRM/CX支援を行うサービスを実現されています。
さらに、最大規模の地方紙を展開する中国新聞社は地域共創プラットフォームの「たるポ」というサービスを通じて、自社で保有する記事やアプリの顧客情報を活かし、中国地方の地場企業のマーケティング支援事業に乗り出します。
なお、本サービスはAWSのパートナー様の中でもAWS 広告およびマーケティングテクノロジーコンピテンシーパートナーの会社が導入支援をサポートしてくださっています。NRIネットコムさんもパートナー様ですね。
山田: 言及いただきありがとうございます。当社NRIネットコムもITエンジニア以外の幅広い職務の方にもご活用いただけるよう、生成AI機能の提供など含め、導入支援しています。