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第108号(2024年12月号)
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来店率が5倍以上の事例も!音声広告で新たな体験を創出する、radiko×unerryの取り組み

 生活者のタッチポイントが多様化する中、radikoとunerryは、音声×位置情報を組み合わせたプロモーションを開発。各社で成果が出始めているという。今回の対談では、radiko×unerryで展開している、位置情報を活用した音声広告配信/分析サービスを通して、新しい手法でのコミュニケーションの取り方などについて聞いた。

再注目される「音声コンテンツ」

MarkeZine編集部(以下、MZ):本日はradiko×unerryで展開している音声広告について伺っていきます。まず昨今の「広告の受け取られ方」について所感をお聞かせください。

平井(unerry):これからの広告は、視聴者の行動を妨げることなく、いかに自然な形で惹きつけられるかが重要だと考えています。

 人々の時間は有限です。日常生活で自然に接触できる広告であればポジティブに受け取られることが多いです。さらに、魅力的なコンテンツとして制作された広告は、自然とSNSなどで話題に挙がることもあります。単なる広告接触ではなく、視聴態度や環境も意識することは、今後のメディアプランニングにおいて重要になってくるのではないでしょうか。

五十嵐(radiko):「タイパ」というワードが出てくるなど、コンテンツの消費形態は急速に変化しています。こうした中で再注目されているのが「音声」です。

 音声メディアならではの「ながら聴き」という特性は、日常生活で自然に接触できる点で、現代の生活者のライフスタイルと親和性が高いと言えるでしょう。特に、視覚的な広告で見られるような、大量の情報の同時表示や、クリックを要求される煩わしさがない点は、大きな利点です。実際、音声広告は、聴取者からのネガティブな反応が比較的少ないことが調査でも明らかになっています。

株式会社radiko 五十嵐 渉氏<br />大手広告代理店のマーケティング・プロモーション、営業を経て、音声広告事業に携わる。2023年現在、株式会社radikoにてビジネス推進室室長に従事。
株式会社radiko 五十嵐 渉氏
大手広告代理店にて、営業部門を経てラジオ・テレビビジネスのDX領域や音声広告事業などに携わる。現在、株式会社radikoにてビジネス推進室室長に従事。

五十嵐(radiko):聴取者数の増加からも音声コンテンツの注目度の高さが見て取れます。radiko全体のMAUは緩やかな成長を続けていますが、Z世代にフォーカスすると顕著に増加しています。また、一人当たりの平均聴取時間は約130分で、他のメディアと比較しても非常に長いのも特徴です。利用状況を見ると、最も多いのは自宅でくつろぎながらの聴取、次いで通勤通学時の聴取など、様々な生活シーンで楽しまれています。

「radiko Ad」が高い完全聴取率を誇る理由

MZ:radikoでは音声広告「radiko Ad」を展開しています。概要についてお聞かせください。

五十嵐(radiko):radikoはもともとラジオ放送をネット配信するサービスですが、その広告枠をデジタル広告として販売する形態を取っています。つまり、従来のラジオ広告の枠をデジタル広告に差し替えて提供する仕組みです。これにより、インプレッション計測やターゲティング配信、運用型広告の買い付けなど、一般的なデジタル広告の機能実装を実現しています。オンラインの機能を持ちながら、オフラインでの生活者行動にも大きな影響を与えられる点も大きな特徴と言えるでしょう。

五十嵐(radiko):また、radikoの音声広告は、20秒や40秒の広告において98%、長尺の広告でも96%という非常に高い完全聴取率を達成しています。動画広告やバナー広告でよく見られるようなスキップやスワイプによる広告回避が極めて少ないことを示しています。

 この高い聴取完遂率の背景には、ラジオ局が制作する質の高いコンテンツの一部として自然に音声広告が組み込まれていることがあります。聴取者にとって違和感なく受け入れられる形で広告が提供されているのです。

radiko Adについて関心を持たれた方は、radiko for Buzinessお問合せフォームよりお気軽にお問い合わせください。

データに、より深い意味づけを

MZ:radikoはunerryと提携し、音声×位置情報を組み合わせたプロモーションを開発していると聞きました。背景をお聞かせください。

五十嵐(radiko):「位置情報のデータに、より深い意味づけを行いたい。聴取者の方々の体験をより意味のあるものにしたい」と考えたことがきっかけです。この分野で優れたソリューションを展開されているunerry様と、パートナーシップを組ませていただきました。

平井(unerry):ラジオは各地域に根ざしたコンテンツを提供しており、位置情報はその地域と密接に結びついています。つまり、地域に応じた適切なコンテンツ提供を実現するために、位置情報が不可欠な要素となっているわけです。

株式会社unerry 平井 健一郎氏<br />広告代理店でOOH(交通広告・屋外広告)の企画営業や新規事業開発などを経験後、鉄道関連企業でOOHビジネスのDX推進に携わる。unerryではメディア領域の事業開発を担当。
株式会社unerry 平井 健一郎氏
広告代理店でOOH(交通広告・屋外広告)の企画営業や新規事業開発などを経験後、鉄道関連企業でOOHビジネスのDX推進に携わる。unerryではメディア領域の事業開発を担当。

平井(unerry):私たちunerryは約4.2億IDという規模の人流ビッグデータを保有し、「Beacon Bank」というリアル行動データプラットフォームを展開しています。具体的には、radiko様のようなアプリ事業者様にSDKを提供することで位置情報データの活用を支援し、さらにビーコン端末のネットワーク化により、より精緻な位置情報の把握を可能にしています。

MZ:radiko Adによる、音声と位置情報を組み合わせたプロモーションの特徴について教えてください。

五十嵐(radiko):位置情報によるターゲティングから実際の来店効果まで、一気通貫での実施が可能です。単なる位置情報の活用だけでなく、そのKPIとなる来店行動までを可視化できることが、大きな価値となっています。

 特に注目すべきは、データの質の高さです。単発の来店や通過といったデータではなく、来店頻度を偏差値化することで、より精緻な行動分析を実現しています。たとえば、「ファストフードを頻繁に利用する」といった具体的な行動特性を把握したうえで、その方に合った広告を配信することが可能です。

 高精度なデータを活用することで、新商品の告知から実際の来店促進、来店頻度の変化まで、施策の効果を具体的に測定できます。インターネット上の検索履歴や興味関心の推測による従来型とは異なり、実際の行動に基づいた、確度の高いアプローチを可能にしています

来店効果5倍以上も!radiko Adの事例や成果

MZ:radiko Adの具体的な事例や成果についてお聞かせください。

五十嵐(radiko):自動車メーカーであるBYD Auto Japan様の事例では、各店舗への来店促進を主目的として実施しました。店舗ごとの来店データを緻密に測定したことで、単なる全体的な来店増加率ではなく、個別店舗での効果や来店の時間帯まで含めた詳細な分析を行いました。

 また、radikoではアプリ内で完結する形でブランドリフト調査を無償で実施できる仕組みを構築しています。具体的には、radikoアプリ内で直接アンケートを実施し、そのワークフローを自社内で完結させることができます。

五十嵐(radiko):もうひとつの事例では、大手ドラッグストアチェーンにおける特典付きキャンペーンを実施し、その告知をradiko Adで行いました。結果、広告接触者の来店効果が非接触者と比較して5~6倍という顕著な上昇を示しました。加えて、ブランドリフトの観点でも、特に購買意向において著しい向上が見られた事例です。

五十嵐(radiko):この成功の背景には、radikoの「ながらメディア」としての特性が活きていると考えられます。利用者が移動中や日常生活の中で広告に接触し、近隣店舗の存在を認識することで、実際の来店行動につながりやすい環境を作り出せました。

 さらに、この事例は単なる個別商材の広告効果だけでなく、リテールメディアとしてのradikoの可能性も示唆しています。メーカーと流通チェーンを結ぶプラットフォームとして、位置情報を活用した効果的なプロモーションが可能であることが、具体的な数値として実証されたと言えるでしょう。

radiko Adについて関心を持たれた方は、radiko for Buzinessお問合せフォームよりお気軽にお問い合わせください。

移動中の接触で、行動するきっかけを作る

MZ:改めてradiko Adの強みを教えてください。

五十嵐(radiko):音声広告の効果を具体的なデータとして可視化できる点です。かつての音声広告は、クリックのような直接的なレスポンス測定ができませんでした。しかしradikoでは、日常生活に根ざした聴取行動から得られるオフラインデータをID別に計測し、統計データ化することが可能となっています。

 このように、従来は効果が見えづらかった音声広告において、成果を可視化できる仕組みを確立したことで、広告主にとってより使いやすいメディアとなっていると言えるでしょう。

 radikoの大きな特徴は、99の放送局を擁し、朝から夜まで多様なコンテンツを提供している点です。そのため、幅広い層の方々にリーチすることが可能です。「来店を促進したい」「もっとブランドを好きになっていただきたい」と考える、幅広い業種の企業様にとって効果的なプラットフォームとなっています。

平井(unerry):ここまでお伝えしてきた通り、radikoの特徴的な強みは「ながら聴き」、特に外出時や移動中のシーンでの自然な接触が可能な点です。通勤通学時や買い物前後といった、移動をともなう生活シーンで自然に利用されています。この特徴は、実店舗を持つ企業やそこで商品を販売するメーカーにとって、非常に有効な広告機会を提供するでしょう。

 たとえば、聴取者の現在地近くの店舗情報、セール情報、新商品情報などを適切なタイミングで届けることで、来店行動を促進できます。さらに、その効果を具体的な来店データとして測定できる点も、広告主にとって大きな価値となっています。

 また、事業者に加え自治体にとっても、地域活性化や街づくりの観点で、有効なプラットフォームとなり得ます。地域でのイベント開催時に、近隣にいる潜在的な来場者に情報を届けることが可能です

新たな広告価値の創出を目指して

MZ:最後に今後の展望・展開についてお聞かせください。

五十嵐(radiko):本日お話しした位置情報を活用した広告配信や効果測定の強化に加えて、コンテンツとの親和性を活かした、新たな広告価値の創出を目指しています。従来のラジオ放送で行われていた番組提供型のプロモーションを、デジタルプラットフォームならではの付加価値と組み合わせることで、より効果的な広告商品を展開していきたいですね。

 具体的には、アプリケーションとしての特性を活かした番組単位での露出強化や、通常の音声広告(20秒や40秒)とコンテンツを組み合わせた複合的な価値提供を計画しています。さらに、2024年からはブランドとポッドキャストを組み合わせた協賛メニューも開始するなど、コンテンツの価値を最大限に活用した、新しい広告商品の展開を進めていきます。

平井(unerry):radikoの持つ地域性を活かした広告展開にも力を入れていきたいです。街中の風景や人々のシチュエーション、さらには天候の変化などと連動した広告配信が可能となるでしょう。特に、OOHとの連携という観点では、街中の広告と連動した音声広告の配信など、新しい形態の広告体験をradikoさんと一緒に実現していきたいと考えています。

radiko Adについて関心を持たれた方は、radiko for Buzinessお問合せフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社radiko

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/22 10:00 https://markezine.jp/article/detail/47692