SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

田中洋が紐解く、ビジネス成功のキーファクター

広報PRの大先輩に聞く、コーポレート「ブランド」コミュニケーションの勘所(後編)

会社の「危機」を通して、社内の共通項ができることも

田中:西田さんは、印象深かった事例はありますか?

西田:良い事例ではないかもしれませんが、お題の「社内の意思統一」という意味で言うと、日立が大赤字になった時は、ある意味社内で「危機感」という共通項ができたように思います。本当に、「やらなくては」という意識が揃った時の強さはこの時に感じました。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 ブランドコミュニケーション本部 デジタルコミュニケーション企画部 西田健氏
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 ブランドコミュニケーション本部 デジタルコミュニケーション企画部 西田健氏

 また、当時「グローバル化」も半ば強引に進みましたね。日立製作所はグローバルといってもドメスティックな要素もある会社なので、かつては「まずは国内ありき」という様子だったのです。これが社長の号令により大きく変わり、「国内」「海外」という区分が廃止されました。たとえば、私がいた宣伝部も、国内グループ・海外グループと分かれていたのですが、この分け方もやめましょうと。こちらは、経営陣の意識改革により、社内の意識がガラリと変わったケースですね。

クリエイティブは代理店任せで良いのか?

田中:続いて、2つ目の議題に入ります。メッセージ戦略についてです。どういったメッセージをどういうメディアでどういう表現で、誰に伝えるのか。どういうご苦労があるのかをお伺いしたいです。

瀬戸口:私は宣伝部出身でもあるので、いわゆるクリエイティブは非常に大事だと思っています。構想力をもってクリエイティブワークの前段階にあるストーリーやシナリオを開発し、クリエイティブやメッセージに繋げていくことが大事だと思います。

田中:構想力でメッセージ開発というのは、すごくいい言葉ですね。ただ、企業によっては広告代理店に任せる領域でもあると思います。瀬戸口さんは、やはり社内の宣伝部で構想力を持つことが必要と考えられますか?

瀬戸口:宣伝部あるいはそのブランドに関係しているマーケティングコミュニケーションチーム、広報のチームがワンチームとなり、そこにチャレンジしていこうという機運を作ることがカギだと思います。

 構想力は数年で身につけられるものではありませんが、事業会社でもそうした人材を育てるための投資を惜しむべきではないですし、外部のパートナーに任せれば済むことではありません。クリエイティブを完全にアウトソーシングしてしまうと、事業会社の宣伝部は予算・広告出稿・広告エージェンシーの管理に業務がとどまってしまいます。そうすると、社内にコミュニケーションのノウハウが蓄積されないことが問題なのです。

次のページ
先のターゲットを見据えて、コミュニケーションを

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
田中洋が紐解く、ビジネス成功のキーファクター連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

田中 洋(タナカ ヒロシ)

中央大学名誉教授。東京大学経済学部講師。京都大学博士(経済学)。マーケティング論専攻。電通で21年実務を経験したのち、法政大学経営学部教授、コロンビア大学客員研究員、中央大学大学院ビジネススクール教授などを経て現職。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。『ブランド戦略論』(2017年、有斐閣...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/02/20 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47817

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング