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売上は計画比3倍!NECPCが『Nontitle』で挑んだ、Z世代向けPC開発プロジェクトの舞台裏

 若者たちの起業をリアリティーショーとして公開するYouTube番組『Nontitle』。2024年9月からスピンオフシリーズとして配信されたのが、NECパーソナルコンピュータ(以下、NECPC)が、Z世代向けの新製品を開発する企画「Nontitle PROJECT LAVIE」だ。番組では、出演者たちが製品企画とプロモーション案をNECPCへ提案。奮闘の末に完成した「LAVIE SOL(ラヴィ ソル)」は、2024年11月から発売された。なぜ、NECPCはYouTubeのリアリティー番組への協賛に至ったのか。そして、異例の取り組みの成果とZ世代に求められていたこととは? 企画の立役者に話を聞いた。

NECPCとZ世代の1年がかりの共創プロジェクト

──YouTubeの起業リアリティーショー『Nontitle』での取り組みについて、簡単に概要を教えてください。

森部:『Nontitle』のスピンオフシリーズとして、Z世代を中心とした6名の参加者とともに当社のPCブランド「LAVIE(ラヴィ)」の新製品を開発し、その様子を全10話のストーリーとして公開しました。

『Nontitle PROJECT LAVIE』第1話

森部:このプロジェクトの特徴は、「Z世代がZ世代のためのパソコンを作る」という趣旨で実施したことです。若者たち自身が「自分が欲しいものを作る」という視点を尊重し、彼らとコミュニケーションを重ねながら製品開発を行いました。

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NECパーソナルコンピュータ株式会社 商品企画本部 本部長 森部浩至氏
2001年、日本電気株式会社に入社。以来、20年以上にわたり、パソコンの商品戦略・ブランド戦略・商品企画業務および、新規事業戦略立案、新カテゴリー商品の創出など、社内外との共創プロジェクトをリード

関口:プロジェクトは2023年に始動し、製品の企画からマーケティングプランの策定まで、約1年をかけてNontitleのメンバーとNECPCチームが一丸となって創り上げました。これは、NECPCの全社的な取り組みであり、商品企画部門とマーケティング部門が密接に連携しながら進めてきたものです。

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NEC LAVIE ブランドマネージャー 関口由依氏
株式会社パルコに8年間勤務し、マーケティング領域を担当。その後、GROOVE X株式会社でソーシャルマーケティング・デジタルマーケティング業務に3年間従事。現在は、NECPCのコンシューマーマーケティングやブランドマネジメントを担当

──今回の企画に至った理由とその経緯について教えてください。

森部:7〜8年前から、大学生向けにLAVIEシリーズを開発・販売していましたが、認知度やシェアの拡大に課題を抱えていました。これまでも、開発過程で学生へのリサーチは行っていたものの、それは短時間のヒアリングやアンケートの結果を製品に反映させる一方的なものでした。それが一因で「刺さる」製品になっていないのではという問題意識があったのです。

 そこで今回は、約1年かけて出演者たちと行った双方向のコミュニケーションから、Z世代の潜在ニーズの発掘を目指しました。また、「プロセスエコノミー」と呼ばれるマーケティング手法を採用し、これまでブラックボックス化していた製品企画やマーケティングの過程を、番組を通じて公開しました。これにより、新製品に対するファンの育成を図る狙いです。

ポップアップイベントに約5,500人が来場

──番組配信後の反響はいかがでしたか?

森部:完成した新製品の発売後、ポップアップイベントを渋谷で4日間、大阪で2日間開催し、6日間累計で約5,500人の来場者が集まりました。通常のパソコン関連のイベントでは考えられない規模の動員数となり、その8割以上がNontitle視聴者でした。

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大阪・梅田駅構内 阪急ビッグマン広場で開催したポップアップイベントの様子(写真提供=NECPC)

関口:イベントでは、パソコン本体に加え着せ替えケース100種を展示し、Nontitleのメンバーとの撮影会を実施するなど、ファンとの交流の場も設けました。

 また、NontitleのスタジオゲストだったYouTuber ヒカルさんのチャンネルとのコラボレーション動画も300万回以上の再生数を記録し、大きな反響を呼びました。この動画は、同じくスタジオゲストだったひろゆき(西村博之)さんが、ヒカルさんの自宅を訪問し、そこにNontitleのメンバーと森部も加わるという内容でした。

──視聴者からの反応で、特に印象に残っていることはありますか?

森部:特に印象に残ったのは、ポップアップイベントでの来場者の「製品理解度の高さ」です。通常のイベントでは、来場者に対して製品説明を行う必要がありますが、番組を見て既に製品のことを理解している方々が多くいました。番組を通じた製品訴求が十分に機能し、営業活動の代わりとなることが新たな発見でした。

 来場者の購買意欲も高く、製品を確認した後にすぐ、最寄りの家電量販店で購入する方もいらっしゃいました。検討段階の方々に対して、実際に体験できる場を提供したことが、購買行動の後押しにつながったと考えられます。

関口:もう1つ印象的だったのが、YouTube動画からの流入でコンバージョンまで到達している点です。特に、最終回のYouTube概要欄から製品ページへの流入は、約6.5%と高いクリック率を記録し、購入にもつながっていました。加えて、ヒカルさんのチャンネルでも同様に、動画からの流入でコンバージョンが生まれています。

 両方の動画に共通しているのは、「製品の伝え方に嘘がない」ことです。製品の魅力を自然な形で伝えている点が、視聴者の共感を生み、購買までつながっているのでしょう。

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この記事の著者

尾倉 直弥(オグラ ナオヤ)

SaaS企業のマーケター。専門はBtoBマーケティング。複数メディアでライターとしても活動中。https://x.com/ogurin91

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/14 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47885

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