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顧客はWhoではなくWhen×Whereで捉える。ボトムアップマーケティングのススメ【お薦めの書籍】

 「戦略で描いた通りに売上が上がらない」「有名なフレームワークを参考にしたけれど結果が出ない」――。ニーズが多様化し、予測が困難になったマーケティングの現場では、従来の手法が通用しなくなってきています。そんな中で注目を集めているのが、顧客理解に基づくボトムアップ型のアプローチです。今回は、その実践的手法を解説した1冊を紹介します。

多様化するニーズを捉え成長を続けるには?

 練りに練った戦略で製品を展開したのに売上が芳しくない、LTVがなかなか向上しない……こういった、よくあるマーケティング課題に対して、あなたなら何から改善を始めますか?

 かつて有効だったフレームワークやトップダウンの戦略設計では、個のニーズが多様化し、予測が困難になった現在の市場では太刀打ちできないと感じる人も多いのではないでしょうか。

画像を説明するテキストなくても可
顧客を見れば、戦略はいらない 解像度を上げるボトムアップマーケティング』川端 康介(著)日経BP、1,980円(税込)

 今回紹介する本は、自社製品のコンバージョンや売上に課題があっても打ち手が見えていないマーケターや事業会社の方に、手に取ってほしい1冊です。著者は、デジタルマーケティングの支援を行うマテリアルデジタルの取締役、川端康介氏。川端氏は、10年以上EC業界でクライアント企業の顧客コミュニケーションや事業戦略を支援し、「事業会社と支援会社」「実務と経営」など、相対する立場に身を置いてきた経歴の持ち主です。

 著者によると、マクロで消費者を理解するようなフレームワークによる戦略では、変化するニーズに柔軟に対応できず、戦略が顧客の実態と乖離し、予測が困難になった市場に適応し続けられないと言います。そこで今、マーケターに求められているのがデジタルを活用して消費者のニーズや欲求に応え続けるボトムアップのアプローチです

ボトムアップの「要」は顧客理解

 ボトムアップのアプローチでは、すぐに結果を検証できるデジタルマーケティングの強みを活かします。定性調査から仮説を大量に作り、定量調査での検証を繰り返して仮説の精度を上げていくのです。

 しかし、「ブランドが言いたいこと」を言い続けて売れないと悩み、思考停止のA/Bテストを繰り返すのは本末転倒です。そこで、このボトムアップのアプローチを支えるのが、「顧客の理解」です。顧客理解をすることで「顧客が言ってほしいこと」を見つけます。

 では、どうすれば顧客理解ができるのでしょうか。ペルソナ作成やセグメントの活用も顧客理解のために行われるアプローチと言えます。しかし、著者はこれらの「ターゲットは誰か?(Who)」を突き詰めるアプローチでは解像度が粗く、実務で機能しないケースが多いと指摘します。またデジタルのデータを見る上では、行動理由や行動動機といった、人の感情が見逃されがちです。ボトムアップのアプローチを成功に導くためには、心理的変化や行動の動機への理解が必須となります。

「When×Where」でニーズを捉える

 顧客の解像度を上げるためには、「ニーズが発生する状況を捉えること」が非常に重要になります。自社のブランド・製品は「When(いつ)×Where(どこ)」で求められたのか。そして、自社のブランド・製品の「代替手段」は何か。これを考えることで、
未充足のニーズや自社の便益が見えてくるのです。

 代替手段として浮かんだアイデアは、生み出すべきコミュニケーションのヒントにもなります。他社製品から自社製品へとスイッチさせるために伝えるべきメッセージも、見えてくるでしょう。

 この「便益を求めている状況」「求められている便益」「代替手段による未充足のニーズ」に焦点を当てて、自社製品を最適な選択肢として提示し、購入を促す概念を、著者は「コンバージョン・エントリー・ポイント(CVEP)」と名付けています。

 本書では、CVEPを用いた具体例も登場し、カテゴリー・エントリー・ポイント(CEP)との違いを含めて詳しく解説。また、他にもコンバージョンにつながる具体的なアプローチ方法を17もの切り口で提示しています。

 顧客が本当に求めているものを、より鮮明に捉え、その声に応え続けるにはどうすればよいのかという本質的な課題に対する解決策の一つとして、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか?

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この記事の著者

竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)

早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/06 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47916

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