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君は戦略を立てられるか?「目的×資源」で勝てる戦略を導き出す6つのステップ【お薦めの書籍】

「戦略とは何か?」と問われたとき、あなたはスッキリと答えられるでしょうか。今回紹介する書籍は、音部大輔氏が磨き上げた「戦略構築の実践的メソッド」を惜しみなく語る一冊です。勝てる戦略を導き出す思考法が、わかりやすく解説されています。

音部大輔氏の新たな戦略本

 「戦略とは何か? そして、なぜ必要か?」

 この質問に、あなたはどう答えますか? 意外とスッキリとした答えが出なかったのではないでしょうか。

 勝てる戦略を立案したいと望むマーケター・経営者に手に取ってほしい一冊が、『君は戦略を立てることができるか 視点と考え方を実感する4時間』です。

書影
君は戦略を立てることができるか 視点と考え方を実感する4時間』音部大輔(著)宣伝会議、2,968円(税込)

 著者は、P&Gのマーケティング・ディレクターを経て、ユニリーバ、日産自動車、資生堂など数々の企業でマーケティング組織改革を実行してきたクー・マーケティング・カンパニーの音部大輔氏です。

 本書は、戦略立案の実践的手法を解説した本です。2017年刊行『なぜ「戦略」で差がつくのか。―戦略思考でマーケティングは強くなる―』の発売を機に、著者が頻繁に実施するようになった講義とワークショップを組み合わせた「戦略講座」を基にしています。

 本書で展開される戦略構築のためノウハウは、ワークショップ参加者や支援先からのフィードバックを基にブラッシュアップを重ね、多様な領域で適用されてきたものだそう。そのため、業界や企業規模、組織体制に関わらず、汎用性が高く、使いやすいものになっています。

戦略とは「目的」達成のための「資源」利用の指針

 さて、冒頭で投げかけた質問に対する答えです。著者は「戦略とは、目的達成のための資源利用の指針」と定義。また、戦略が必要な理由は「達成すべき目的があり、資源が有限だから」と回答しています。

 つまり、戦略は「目的」と「資源」の2要素に集中して策定するのがベストということなのです。ここにSWOT、5フォース、PESTといったあらゆるマーケティングフレームを用いることは「混ぜるな危険」。シンプルな2項目に絞り、本質的な戦略構築につなげていきます。

 戦略を立案し、組織に展開するためのプロセスは、全部で6ステップです。

1.目的を明示する
2.目的を再解釈する
3.資源を探索する
4.資源優勢を確立する
5.文章に書く
6.組織に展開する

 ステップ1では、誰もが同じ理解ができるように目的を明確にします。そしてステップ2では、目的の再解釈を行うことで、戦略の候補案を作り出します。目的の再解釈を進める上では、ステップ1で明確にした目的を基に、「目的が達成されたとして、何をしたか?」という問いを立て、目的が未来で達成される状況を想像します。

 たとえば、「前期より売り上げを20億円増加する」という目的の場合、「新規顧客を●万人獲得した」「既存顧客が●回多く使ってくれた」といった未来が考えられます。そして、これらが戦略の候補案となるのです。

保有量が多ければ勝てる!資源優勢を探せ

 ステップ3は、戦略のもう1つの構成要素である「資源」の探索です。資源は、自分たちが自由に使える「内的資源」と運用可能な「外的資源」の2つに分けられます。たとえば、内的資源なら人、製品、予算、時間、知識、経験、ブランド力、広告などで、外的資源なら広告会社、メディア、取引先、ロイヤルユーザーやファンなどが挙げられます。

 これらの資源を保有する量が多いほど、勝つ確率は上がります。また、いかにブランドや自社固有の資源を見つけられるかどうかも、非常に重要なポイントです。

 そして、ステップ4の「資源優勢を確立する」では、ステップ2で出した目的の再解釈案(戦略の候補案)ごとに、投下可能な資源を考え、書き出していきます。書き出された総資源量を比較した際に、優位だった目的の再解釈案が、勝てる戦略になるというわけです。

 ステップ5では、ステップ4で決めた目的の再解釈案と資源を基に、戦略として文章化し、ステップ6で組織に展開します。本書では、各ステップの進め方が具体例を用いて丁寧に説明されているので、ぜひ確認してみてください。

“思考の力”を身につけることで成長できる

 本書の中で言及されるのは、戦略構築のノウハウだけではありません。「強い人・強いチームとはどういうことなのか?」「『優秀』とは何を意味しているのか?」など、個人・組織が成長するための考え方まで教えてくれます。

 著者は「戦略構築の思考能力とは身体技術であり、練習すれば相当のレベルまで高められる」と語ります。「目的と資源」という視点で日々の経験を振り返り、知識に変換していく。その実践を重ねることで、戦略を立案する力は着実に磨かれていくはずです。

 本書で示された“思考の力”という翼を得れば、新たな景色を見られるはず──そんな可能性を感じさせてくれる、何度も読み返したくなる良書でした。

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この記事の著者

竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)

早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/14 08:30 https://markezine.jp/article/detail/48005

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