今こそ広告主に考えて欲しいこと
さて、テレビ一強がとっくに終わっているのにその仕組み(発想)のまま「テレビに出稿しなければいい」と大いなる誤解をしている広告主(しかもテレビよりCMの受容性が低いことにうすうす気づいているのに調査すらしない)に伝えたいことがある。今回のフジテレビ問題で、テレビから広告予算が引くことで、その予算が向かう先について、経営もしっかりアカウンタビリティを求めると思う。
その際に宣伝部の現場がどう応えるか、また本当にテレビ一強時代の発想を脱して新しい仕組みを求めているかの姿勢を問われるだろう。
【業界人間ベム】2025年・広告マーケティング業界7つの予測の番外編で、新たなトリプルメディアを提起した。2010年にベムが書いた『トリプルメディアマーケティング』(インプレス)では企業のマーケティングメディアをPOE(ペイド、オウンド、アーンド)に整理してみようという提唱でしかなかったが、テレビ一強時代の発想やシステムを現状の消費者に対応すべく、改革する新たな仕組み化として「新・トリプルメディアマーケティング」を提唱したい。
新・トリプルメディアとは、「SNS」×「コンバージドTV」×「リテールメディア」の3つである。コンバージドTVとは、テレビ放送(リニアTV)、コネクテッドTV、スマホ、PCなどへの配信を含めた多様なコンテンツ・ディストリビューションプラットフォームを統合的に称して言う。
この3つはすべて連動・連携して、複数のターゲットのパーセプションを購入意向に向けて機能する。まずはSNSから抽出する消費者インサイトからコミュニケーションプランニングのコアアイデアを設定するものだ。
広告主には、「テレビCM案でクリエイティブの根幹を決めてしまい、その他のメディア用はその副産物でしかない」という従前のやり方がおかしいのでは? と疑問をもってもらいたい。
3つのメディアを連動・連携しつつ、一人の消費者にダイナミックにメッセージを差し替えて、その消費者に最適なパーセプションを持ってもらうという、一見非常に複雑な仕組みだが、これはAIの登場で実現できる。
2025年は「テレビ一強時代の広告コミュニケーションの仕組みからの脱却」の年、これがこのフジテレビ問題を機に起こることをベムは信じている。先日の予測に追記したいと思う。