2025年のメタトレンド「立ちどまり、リバランスする」
アクセンチュアにおいて、クリエイティブやテクノロジーを活かし生活者視点で企業のビジネス改革を支援するアクセンチュア ソング。同組織によって考察された各地域での変化の兆候や8ヵ国での定性調査、22ヵ国へのオンライン調査の結果をトレンドという形に集約したのが「Accenture Life Trends」だ。
今回の説明会では、アクセンチュア ソングの野田慎太郎氏、上江洲佑布子氏および吉井雄太郎氏の3名から、5つのトレンドの解説や日本企業の具体的なアクションに関する提言が行われた。

まず、野田氏が18回目となる2025年版のレポートについて、メタトレンドとして「Pause&Rebalance(立ちどまり、リバランスする)」を示した。直近数年を振り返ると、社会はコロナ禍による混乱と喪失、変化や長期的な危機に対するストレスへ適応する時代を経てきたといえる。

そして2025年は、AIを筆頭としたテクノロジーの発展に対して焦りや不安を生活者は感じ、関わり方を見直す動きが広がっている。企業にはこういったモーメントや課題をとらえ、この時代ならではの生活者との関係、信頼を構築していくことが求められるだろう。
生活者が感じる、情報や行動へのためらい
そのために押さえるべき5つのトレンドについて、上江洲氏が概要を紹介。1つ目のトレンド「ためらいのしわ寄せ」では、誰もが簡単にコンテンツを作れるようになったことで嘘や虚偽情報が氾濫し、情報の信頼性に対して人々がためらいを感じていることを指摘した。このトレンドを示唆するデータとして、日本において48%の回答者が「オンラインコンテンツの信ぴょう性を、以前よりも疑うようになった」と答えている。
「このように、生活者にとって嘘を見抜くため常に警戒しなければならないことは、日常の新たなストレスです。結果として生活者が本当に欲しい情報や物を遠ざけ、企業・ブランドのビジネス機会が損なわれる可能性があります」(上江洲氏)

また、生成AIが犯罪を助長するケースが出てきた中、人々は行動の安全性に対するためらいも感じている。「デジタルリテラシーが生活者に求められている中、企業はこの事態に向き合うための明確な方針策定が求められます」と上江洲氏。利便性から信頼性へシフトすることが重要だと述べた。
これに対し野田氏は、企業が取るべきアクションを提言。コンテンツ管理方針の更新やリスク判断など時代に合った信頼性のアップデートとともに、顧客の安心を保証するコミュニケーションやセキュリティとの連携による、信頼性を高める仕組み作りが必要だと示した。