なぜ「THE MODEL」ではないのか?顧客の"不"を解消するトヨクモ流BtoBマーケティング
――トヨクモのマーケティング戦略の特徴について教えてください。
中井:一言でいうと、「THE MODELをしない」ことが、私たちのマーケティング戦略の根幹です。顧客起点であること、つまりお客様にとって本当に価値のある情報提供を最優先に考えています。

中井:たとえば、資料請求時に多くの個人情報を入力させたり、展示会で名刺交換した後に一方的な営業電話やメールマガジンを送りつけたりといった、企業側の都合を優先したマーケティングは、お客様にとってストレスでしかありません。
こうした考えからトヨクモは、あえてTHE MODEL型のマーケティングを採用していません。
具体的には、マーケティングチームがブランド広告、Web広告、そして特に力を入れているコンテンツマーケティングを通じて、トライアル獲得までを担当します。その後、トライアル中のお客様の担当をインナーセールスチーム(Strategic Growth Group)が引き継ぎ、契約まで丁寧にサポートする体制を構築しています。
社内的にはこうした考えを「No form、No spam、No cold call」と呼んで共有しています。
また今年は、より顧客起点のマーケティングを進めるため新たに「Customer Issue(顧客の課題)、Customer Moment(顧客が課題解決を求める瞬間)、Customer Value(顧客にとっての価値)」という3つのキーワードを新たに設定しました。
これは、トヨクモに関わるWho(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)を明確にし、お客様の課題に対して、最適なタイミングで、最適なコンテンツを最適なチャネルで届けようという想いが込められています。

信頼獲得の鍵は「価値あるコンテンツ」AI時代を見据えたトヨクモのコンテンツマーケティング
――御社のCustomer Issue、Customer Moment、Customer Valueを支える主な施策である、コンテンツマーケティングに関しては、普段どのようなことを意識して取り組んでいますか。
坂田:お客様が私たちの情報に触れる時、必ずしもサービスのニーズが明確になっているわけではありません。気になる問題があったり、あるいはすでに対処しなければならない課題に直面していたりして、まずはそれらを解決するため情報を探している場合がほとんどです。
そのため私たちは、お客様の問題・課題を解決することを第一に考え、わかりやすく、実践的なすぐに業務で使えるようなコンテンツ制作を心がけています。価値ある情報を提供することで、お客様の課題解決をサポートし、信頼関係の構築につなげていきたいと考えています。

――課題解決型のコンテンツを届ける際、SEOの視点も大切になってくると思います。SEOに関してはどのような対策を行っていますか。
坂田:多くのオウンドメディアがSEOに注力していると思いますが、私たちはSEOを強く意識していません。それよりも、コンテンツの質を高めることに力を入れています。
現在はChatGPTをはじめとしたAIツールが登場し、検索行動は変化の時を迎えています。具体的にはAIツールに知りたい内容を文言で打ち込み、その返答で知識を得るようになってきています。
いわば、AIをプラットフォームとした新たなアルゴリズムが誕生したと言っても過言ではありません。そうであるならば、そのアルゴリズムへの対応が重要です。
AIツールを活用した検索アルゴリズムにおいては、AIから「このコンテンツは信頼できる」と判断されることが重要となります。そのため、私たちは、現時点から質の高いコンテンツ作りを徹底しています。2024年は、1,100本ものコンテンツを制作・公開しました。