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総広告費、3年連続で過去最高!インターネット広告は約5割に/日本の広告費2024から紐解く、広告の今

 2025年2月27日、電通より「2024年 日本の広告費」が発表された。総広告費は2022年より3年連続で過去最高を更新し7兆6,730億円を記録。具体的にどのような変化が起こったのだろうか。本記事では、各広告の変化について、電通メディアイノベーションラボの北原氏、榊原氏に話を伺った。

総広告費、3年連続で過去最高/インターネット広告費は5割に迫る

──今回は「日本の広告費2024」について伺います。はじめに、最も注目すべきトピックスを教えてください。

北原:総広告費が3年連続で過去最高を更新し、7兆6,730億円となったことです。前年比104.9%となり、例年の成長比率と比べても高い伸びを示しています。「日本の広告費」は、名目GDP・企業の経常利益と相関が高いので、日本経済の緩やかな成長が今回の伸びにつながっているのでしょう。

日本の総広告費の推移(クリック/タップで拡大)
日本の総広告費の推移(クリック/タップで拡大)

北原:総広告費を押し上げた一番の要因は、インターネット広告費にあります。2024年は、3兆6,517億円と前年比109.6%の成長を遂げました。昨今、インターネット広告費においては年間で約3,000億円ずつ増加しており、見逃せないトピックスです。この伸びは、人々がスマホを中心としたインターネットでの情報摂取行動が加速していることが大きく影響しています。

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インターネット広告媒体費の広告種別構成比(クリック/タップで拡大)

──インターネット広告費が伸びている理由を教えてください。

北原:3点あると思います。1つ目は、動画広告の増加が挙げられます。広告種別構成比で見ると、ディスプレイ広告をはじめて上回り、前年比123.0%に。8,439億円とインターネット広告費の中で最も高い成長率でした。ショート動画アプリだけでなく、24時間で消える投稿形式など、露出する枠の量や種類が増えたことが要因です。

 2つ目が、ソーシャル広告が堅調に推移していることです。前年比113.1%の1兆1,008億円となり、推定開始以降はじめて1兆円を超えました。

 3つ目が、検索連動型広告費も大きな伸びを示し、前年比111.2%の1兆1,931億円となったことですね。理由は、世代を超えて「検索すること」が浸透してきており、検索行動量の総数が増加しているからです。

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インターネット広告媒体費の広告種別×取引手法別構成比(クリック/タップで拡大)

──生成AIの登場によって、検索行動量への変化はありますか。

北原:生成AIの注目度は高まっていますが、活用に至る人はまだまだ少数です。検索行動量が変化するまで浸透するには、長い目で見ていく必要がありそうです。

株式会社電通 電通メディアイノベーションラボ<br />メディアイノベーション研究部 研究主幹 上級Web解析士 北原 利行氏<br />情報システム部門、経営計画部門を経て研究開発部門に所属する。2011年から現職。「日本の広告費」「情報メディア白書」など広告および関連市場・業界動向調査を行う。著書には『情報イノベーター~共創社会のリーダーたち~』(講談社)他、著書論文多数。また地方紙を中心とした新聞社に関わる様々な調査、プロジェクトに従事している。
株式会社電通 電通メディアイノベーションラボ
メディアイノベーション研究部 研究主幹 上級Web解析士 北原 利行氏
情報システム部門、経営計画部門を経て研究開発部門に所属する。2011年から現職。「日本の広告費」「情報メディア白書」など広告および関連市場・業界動向調査を行う。著書には『情報イノベーター~共創社会のリーダーたち~』(講談社)他、著書論文多数。また地方紙を中心とした新聞社に関わる様々な調査、プロジェクトに従事している。

3年ぶりにテレビメディア広告費が増加

──マスコミ四媒体広告費・マスコミ四媒体由来のデジタル広告費の傾向はいかがでしたか。

北原:どちらも前年を超えました。マスコミ四媒体広告費が前年超えとなったのは、実に3年ぶりです。景気が緩やかに上向いたことで、久しぶりにテレビメディア広告費が増加しました。

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媒体別広告費<2022年~2024年>(クリック/タップで拡大)

北原:詳しく見てみると、スポットCMが伸びていました。企業が個別の番組を指定して放送するタイムCMと異なり、スポットCMは企業の業績や状況に合わせて柔軟に出稿量の調整ができます。そのため、景気との連動性が高いです。主に自動車・関連品、インバウンドにともなう薬品・医療用品、化粧品・トイレタリー関連の広告出稿が増えていました。

 またBtoB企業などによる企業広告も増加しました。インターネット広告に予算を大量投下するスタイルを見直し、ブランド力・認知率の向上を目的に、テレビCMの出稿を増やしている企業が一定数の割合で見受けられました。

榊原:テレビメディアデジタル費は654億円となり、前年比146.3%とマスコミ四媒体由来のデジタル広告費の中で一番成長しました。見逃し無料配信動画サービスは、ドラマ・バラエティーだけでなく、パリ五輪などのスポーツ領域を契機に視聴が増加。再生数・ユーザー数ともに大きく成長しました。またインターネットテレビサービスも、以前から人気のあるリアリティーショーやドラマ、バラエティー、スポーツだけでなく、アニメからもユーザーの増加が顕著となりました。

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この記事の著者

齋藤 ゆう(編集部)(サイトウ ユウ)

大学卒業後、広告代理店に入社しマーケターに。その後、事業会社に転職。金融・美容分野のマーケティング・企画・運営・セールスに携わる。2020年、翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/31 15:00 https://markezine.jp/article/detail/48801

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