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MarkeZine Day 2025 Spring(AD)

ユーザーファーストかつ成果向上を実現。おうちメディア「ルーミー」に学ぶSEO戦略

 デジタルメディアを取り巻く環境は変化し、収益化に苦戦する企業も少なくない。そんな中、メディアジーンが運営するおうちメディア「ルーミー(Roomie)」では、ユーザーファーストかつ、ブランドとパフォーマンスを両立したコンテンツ制作で継続的な成果を上げている。MarkeZine Day 2025 Springに登壇したメディアジーンの鈴木詩織氏は、実際のコンテンツ制作の裏側を解説。Faber Companyの月岡克博氏とともに、これからのSEOの在り方と実践のヒントを探った。

“欲しい物への最短距離” おうちメディア「ルーミー」

 メディアジーンは国内外で多数のメディアを運営し、Eコマース事業も行っている企業だ。同社の鈴木氏は、おうちメディア「ルーミー」の編集に携わり、SEO×コマース、SEO×広告の取り組みを実践してきた。ルーミーは、月間1,800万ビュー、ユニークユーザー540万人を誇るライフスタイル系のメディアである。

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 本セッションでは、ルーミーがオーディエンスに価値あるコンテンツを届けながら、どのように収益を上げているのかについて、Faber Companyの月岡氏が鈴木氏に話を聞いた。

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(写真左)株式会社メディアジーン プロダクト部門ディレクター 鈴木詩織氏
(写真右)株式会社Faber Company 執行役員/エグゼクティブマーケティングディレクター 月岡克博氏

 まず、尋ねたのは、昨今の「メディアの収益モデルの変化」についてだ。従来のメディアは、純広告で認知を獲得することが大きなミッションだった。現在は、ECへの送客などによって、売上やコンバージョンなどの成果につなげたい広告主が増えてきたと言う。

 鈴木氏も「メディアの収益モデルは多様化している」と答える。とは言え、パフォーマンスだけを追求して、クライアントのブランドを毀損することがあってはならない。ルーミーがコマースで掲げるコンセプトは「欲しい物への最短距離」。成果を担保しつつ、質の良いコンテンツを提供するという、パフォーマンスとブランドの両立を宣言している。

 「成果を上げるだけなら、不安をあおるコンテンツでクリックを増やし、コンバージョンを稼ぐ方法もあり得ます。しかし、ルーミーではそういったことは絶対に行いません。世の中のSEOコンテンツの中には、情報が多すぎて読みにくいものや、信頼できるかわからないランキング記事などが存在しますルーミーはそういった悩みを解消する、ユーザーファーストなコンテンツを提供します」(鈴木氏)

ブランドと成果を両立する「ブランドフォーマンス」が合言葉

 ルーミーは、これを実現するために6つの編集方針を掲げている。そのうちの1つが「ユーザーに対して誠実である」というものだ。

 鈴木氏によると、ルーミーがランキング形式の記事を作る際に必ず設けるのが、客観的な評価基準や計算ロジックだ。形骸化を防ぐためにも、時間が経過したり、サービスの内容が変更されたりした場合にはその都度見直し、公正さを担保している。

 これはあくまで誠実な対応の一例だが、このようにブランドを守りながら成果を上げる方針をメディアジーン社内では“ブランドフォーマンス(ブランド+パフォーマンス)”という言葉で表現していると言う。

 そんなルーミーでは実際にどのようにコンテンツを制作しているのか。セッションでは2つの事例が紹介された。まず1つは、「オーダースーツ」をテーマにしたコンテンツの事例だ。

 そもそもルーミー上の記事の形式には、EC送客を狙ったランキング記事だけではなく、特定の商品カテゴリーについての解説記事もある。ランキング記事はパフォーマンスを狙う主要な記事である一方、解説記事はよりユーザーファーストを体現する記事だ。

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 「オーダースーツのランキングだけを扱っていても、読者は『このメディアは本当にオーダースーツに詳しいのか』と疑問を持たれると思います。オーダースーツのランキング記事を作るなら、その周辺のキーワードもカバーして、オーダースーツの知見があるメディアとして信頼してもらう必要があります」(鈴木氏)

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読者ニーズをキーワードから把握 エバーグリーンコンテンツの作り方

 月岡氏によると、商品カテゴリー周辺の検索キーワードを網羅していくルーミーの手法は、トピックごとにグルーピングして内部リンクでつなぐ、トピッククラスターという考え方と似ているという。これにより「SEOの評価も高くなる可能性がある」と分析した。

 ルーミーではミエルカSEOのツールを使って関連キーワードを導き出し、読者のニーズを把握していると言う。たとえば、オーダースーツと一緒に検索されているキーワードとして、大阪や横浜など地域名が多く、ユーザーが住む地域の周辺で探していることがわかる。

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 同ツールでは検索数が増えるタイミングも把握できるため、記事を仕込むタイミングを判断するのにも活用していると言う。たとえばオーダースーツの検索は秋から春にかけて増えるため、ルーミーではその3ヵ月前に記事を仕込む、といった計画を立てられた。

 また、関連キーワードの多寡はバブルチャートでも確認ユーザーのニーズの傾向を分類して把握するのに便利なのだと言う。下図のように、バブルチャートでは関連キーワードの検索量が一つひとつの丸の大きさで示され、ユーザーの検索意図が似ているキーワードほど、丸と丸の距離が近くにプロットされている。たとえば、図の下の方には価格や値段といったキーワードが固まっており、「オーダースーツの相場を知りたい」というニーズの傾向がつかめる。

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 このようにユーザーのニーズを把握して制作したコンテンツが、長期的にユーザーを連れてきてくれる「エバーグリーンコンテンツ」になるのだ。

定期メンテナンスに大切な「カバレッジ把握」の視点と方法

 一方、コンテンツは定期的にメンテナンスすることも重要だ。エバーグリーンコンテンツのメンテナンスをどのように行うのか。

 鈴木氏によると、オーダースーツ関連の記事の中で、レディースの情報をまとめた記事の検索順位が徐々に低迷していた。そこで、ツールを使って既存コンテンツがカバーできていないキーワードを分析し、対策を行ったと言う。

 先述のバブルチャートでは、自社メディアがどのキーワードで検索順位を獲得できているかを把握することも可能となっている。下図の緑になっているキーワードは検索順位が高いもので、赤くなっているキーワードは検索順位が低いもの。灰色は検索順位がついていないキーワードだ。このように、自分たちのコンテンツが押さえられていないニーズを、一目で把握できる。

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 鈴木氏はこの結果を見て、「従来オーダースーツは男性が作ることが多かったが、ここ数年で女性向けのオーダースーツの店が増えてきた」と分析。ユーザーのニーズも、それに応えられるサービスも増えてきたため、ランキング記事の内容を更新したり、ユーザーの悩みに答えるQ&Aのコンテンツを追加したりしたのだと言う。

 たとえば、Q&Aのコンテンツには「女性スタッフを指名できる?」など、ユーザーの悩みに的確に寄り添った質問と回答を掲載。これは、検索結果に表示されるPAA(People Also Ask)、「他の人はこちらも質問」を参考にピックアップした内容だ。

 月岡氏は「PAAはユーザーのニーズがリアルタイムに把握できるので、ぜひ参考にしていただければ」とルーミーの手法を評価し、参加者に推奨した。

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実食レビューまで実施 「宅食」コンテンツに学ぶ顧客視点

 ルーミーが制作事例としてもう1つ紹介したのは、「宅食」に関するコンテンツだ。

 たとえば、2つの宅食商品を比較するコンテンツでは、読者が知りたいことを端的に伝える「1分まとめ」を記事の先頭に配置。また、比較ポイントは箇条書きと表によって、わかりやすく整理している。

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 また、比較コンテンツを読む人は、編集部が「本当に買って食べたのか」も気になるところだ。そこで、ルーミーの編集部は実際にメンバーがお試しする“実食レビュー”を必須に。鈴木氏は「ユーザーが欲しい情報を、できる限り一次情報に近い形で届けることを心がけている」と語る。

 こうしたルーミーの努力に、月岡氏は「コンテンツの表現の仕方が秀逸」と賞賛する。検索で流入したユーザーは刹那的であるため、「1分まとめ」の形で結論を先に持ってくることで離脱を抑えることは効果的と評価。また、SEO対策ではテキストばかりが重視されがちだが、ルーミーが工夫するように、ユーザーのわかりやすさを考慮すると、内容によっては表や図版、動画の方が最適な場合もあると語った。

 こうしたユーザーファーストなコンテンツを通して、広告主のブランドを守りつつ、成果を出しているルーミー。スポンサー記事を出した商材が、公開からわずか3日ほどで売り切れたこともあると言う。

 また、同メディアのSEOコンテンツの多くはユーザーのニーズを捉えたエバーグリーンコンテンツであるため、年間アクセスを稼ぎ続けることで記事広告数本分の広告収益を生んでいる。SEOで検索上位を取れていることから、そのキーワードに関連する多数のブランドからPR案件の相談が寄せられているのも当然成果の1つだ。

小手先の技術より、オーディエンスの理解が鍵

 ルーミーの事例からわかることは、「SEOは小手先のテクニックでどうにかなる時代ではない」ということだ。月岡氏は「(SEO対策として)キーワードを散りばめる、長文で書くといったテクニックをいまだに耳にするが、そういう時代はもう終わった。重要なのはユーザーのためになること」と指摘する。

 これに対して鈴木氏も、「ユーザーに良いものを届けられれば、コンテンツの滞在時間も長くなるGoogleの評価指標も、時代に合わせて変わっていくと思うオーディエンス第一という点を意識してSEOを考えている」と同意した。

 AIの発達によりユーザーの検索体験は変化しているものの、検索エンジン自体はコンテンツを作り出せない。これからもブランドやメディアが質の良いコンテンツを生み出すことが期待されるのは間違いないだろう。そして、良質なコンテンツを制作するための鍵と述べられるのが、徹底したオーディエンス理解だ。月岡氏は、その一助となるソリューションとしてFaber Companyが提供する「ミエルカシリーズ」を紹介した。

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 「ミエルカでは顧客理解のためのツールを提供するだけでなく、カスタマーサクセスが伴走する支援体制を用意しています」(月岡氏)

 同社ではAIを活用したSEO記事の作成支援についても対応しており、いち早く機能の提供を開始。また、人的リソース支援のために、フリーランスのマーケターを紹介するサービス「ミエルカコネクト」も好評だと言う。

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 「SEOの専門家に限らず、広告運用やSNSなど様々なマーケター人材が揃っておりますので、ぜひご相談ください」(月岡氏)

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Faber Company

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/15 10:00 https://markezine.jp/article/detail/48803