媒体の多様化、テレビの「2台目需要」……CTV出稿増加の背景
──広告主側においては、どのような変化を感じますか?
CTVへの広告投資を真剣に検討されている企業様が近年増加した印象が非常に強いです。地上波テレビの視聴率が下がっている傾向や、CTVの視聴時間が伸びていることなどが影響しているのでしょう。生活者が情報を得る媒体が多様になる中、地上波テレビへの出稿だけで事足りる状況ではなくなっていますので、様々な媒体を活用していく必要があります。
しかし、地上波テレビの視聴率は下がっているとはいえ、テレビの出荷台数は増加傾向にあります。「コロナ禍でおうち時間を充実させる」というニーズを背景に急激に伸びた後、現在は2台目のテレビを置くことへの需要が増加しています。そこまでサイズの大きくないテレビであればタブレットと価格も変わらないため、リビング以外の部屋に置く2台目として購入する方が多いようです。家にインターネット環境があればCTVとして使えますので、このような背景からもCTVに多くのユーザーが集まっています。
──現状としては、ABEMAではどういった企業の出稿が多いのでしょうか?
ユーザーの行動パターンの変化、新しいメディアやデバイスの登場といった変化に対して、特に全国レベルでテレビCMを積極的に活用しているような企業様が、よりリーチを広げるために新しいデバイスやチャネルを取り入れる傾向が強い印象です。実際に、テレビCMに出稿されている企業様の多くがABEMAにも出稿いただいております。
また、そういった広告主様による実施事例が増えたことで市場全体でチャネル・メディアとしての注目度も高まり、より様々な企業様が参入してすそ野が広がってきていると思います。
今では、地上波でのテレビCMに取り組んでいなかった企業様も、新しいテレビCMとしてCTVへの出稿が増えてきております。
また、2025年4月からAmazon Prime Videoも広告付きの配信を始めたことにより、企業様にとっては広告を出せる動画配信サービス(OTT)の選択肢が増えました。CTVへの広告出稿は既に増加傾向にありますが、出稿可能なサービスが広がることでさらに大きく伸びる可能性があります。
テレビ特化のスプリットスクリーン広告
──ABEMAでは様々な広告商材を展開されています。「オンライン配信×テレビデバイス」ならではの商材開発についてお教えください。
テレビデバイス視聴に沿った広告体験としては、放送中の画面を分割して広告を表示させるスプリットスクリーン広告「ABEMA Live Screen Ad」を提供しています。特にスポーツ配信といったコンテンツでは試合が終了するタイミングや試合の尺の長さなどの予測が難しく、広告の露出機会を想定どおりに作れない状況が多々発生します。ABEMA Live Screen Adは、試合を視聴している最中に、画面内に同時に広告を表示できる点が大きな強みです。そのため、熱狂しているスポーツ中継の視聴を広告によって中断されることがない点が、ユーザーにとって受け入れられやすい広告体験となっています。実際に、ユーザーの方々からも良い反応をいただけています。
広告主様の立場としては「同じ画面に表示されるのであればコンテンツに集中してしまい、広告の効果がないのではないか」と気にされるかもしれません。しかし、当社の広告分析チームがテストを実施したところ、確かな広告効果が得られたことが示されています。
2023年のMLBでは、広告視聴による中断がない広告フォーマットの特徴から、広告リーチ効率は視聴者に対して平均が100%となり、視聴者コメント分析でも9割以上がポジティブもしくはニュートラルに広告体験を捉えていただけたことがわかりました。さらにブランド認知160%、好意度114%など、高いブランドリフト効果も見られました。
