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2025年のマーケターに求められるスキルと戦略とは?Brandwatch最新レポートを読み解く

 マーケティングの世界は、テクノロジーや消費者行動の変化により、年々その複雑さを増している。英国に拠点を置くソーシャルメディアスイート会社のBrandwatchが1,300人以上のマーケターを対象に実施した調査からは、2025年に向けて必要とされるスキルや戦略、直面している課題が明らかになった。

2024年の振り返り:マーケターが直面した課題

1.コンテンツの飽和と品質維持の難しさ

 2024年、マーケターにとって最も大きな課題の一つは、どうすればSNS上で自社コンテンツが注目を得られるかということだった。誰もが「バズる動画」を作れるようになり、消費者はブランド発信の情報よりも、ユーザー同士の信頼性のあるコンテンツに注目する傾向を強めている。実際、63%のマーケターがコンテンツの飽和と品質維持の難しさを感じていると回答しており、SNSの複雑なアルゴリズムと多様なプラットフォーム環境の中で、いかに目に留まる表現を生み出すかが問われている。

2.予算の制約とROI測定の困難

 不安定な経済状況を背景に、51%のマーケターが予算の制約を課題と認識しており、「以前と同じ金額でも、リーチや成果が得にくくなった」と感じている。さらに、マーケティング投資の成果を数値化する難しさも指摘されており、40%がソーシャルメディアにおけるROI(投資対効果)の測定に苦戦している。成果の見える化が難しい中で、限られたリソースをどう活かすかが2025年のカギになる。

3.AI導入と「人間らしさ」の両立

 AIは、今やマーケターにとって不可欠なツールになりつつある。コンテンツ制作、SEO最適化、データ分析など、活用の幅は広がっているが、39%のマーケターが「AIと人間らしさのバランス」に課題を感じている。特に、消費者からの「本物らしさ」「共感」への期待が高まる中、AIが自動生成したコンテンツがかえって逆効果になるケースもある。AIの力を活かしつつ、人間らしいストーリーテリングや共感性をどう担保するかが問われている。

 他にも、以下のような課題にマーケターは直面している。

  • 消費者行動の変化への適応(41%):これまで以上に多様で複雑になっている消費者の購買行動に、従来のマーケティング手法だけでは対応しきれない。リアルタイムのニーズ把握や、より柔軟な戦略の構築が求められている。
  • パーソナライズされた体験の創出(39%):大量生産された一斉配信型の広告ではなく、消費者の関心や行動履歴に基づいた情報や提案を求めている。顧客データの統合や精度の高いセグメンテーション、そしてコンテンツ制作の柔軟性が必要となる。
  • プラットフォームやアルゴリズムの変化への対応(36%):新しいSNSはもちろん、頻繁にアルゴリズムや仕様を変更するInstagramやTikTokなどの主要SNSに対し、マーケターは常に最新の動向を追い続け、戦略を適宜見直す必要がある。
  • リード(見込み顧客)獲得(36%):競合の増加やユーザーの情報選別力の向上により、質の高いリードを得るのが難しくなっている。さらに、プライバシー規制の強化により、個人情報の収集にも制限がかかり、マーケターは新しい手法の模索を迫られている。

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2025年に向けたデータ活用の重要性

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この記事の著者

岡 徳之(オカ ノリユキ)

編集者・ライター。東京、シンガポール、オランダの3拠点で編集プロダクション「Livit」を運営。各国のライター、カメラマンと連携し、海外のビジネス・テクノロジー・マーケティング情報を日本の読者に届ける。企業のオウンドメディアの企画・運営にも携わる。

●ウェブサイト「Livit」

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

中井千尋(Livit)(ナカイ チヒロ)

大学卒業後、金融機関勤務を経て、イギリスへ留学。そこで培った語学力を活かし、帰国後は企業の語学研修コンサルティングに携わる。シンガポールに渡り、大手日系商社に転職。シンガポール人、インド人、オーストラリア人、モンゴル人、中国人など多国籍社員が集う場でのビジネスを経験。その後、オランダに渡り、ライターとして独立。分野...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/05/14 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48997

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