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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

横山の視点

AI時代のマーケティングを想像するーー人によるデータマーケティングの終焉と、巻き起こる新たな戦い

「広告代理店のAI」vs.「広告主のAI」が始まる

AIにどこまで任せるか?

 AIの使い方には2つあって、1つは人がやっているプロセスを是として、各プロセスをAIに任せるもの、もう1つは既存のプロセスを越えて、AIに最適化を任せるというものです。前者は部分最適、後者は全体最適をAIにやらせる考え方です。もちろん、そのうちに前者は後者に敵わなくなるでしょう。

 今、広告代理店が進めているAI活用は前者です。私は以前、「人は“自分が必要なくなるAI活用”は簡単にはできないだろう」と書いたことがありますが、電通は「人によるクリエイティブをなくしても良い」とする勢いです。さすがだな、と思います。

広告代理店のコアスキルであった「クリエイティブ」は要らなくなる

 私は一昨年出版した『2030年の広告ビジネス』(翔泳社)に、「広告代理店は、従来のコアスキルであったクリエイティブから要らなくなる」と書きました。まさにそれが現実に始まったのです。ストラテジックプランナーはクリエイティブより前に必要なくなります。人件費が高めの人材からAIに取って代わるのです。

 コアな人財からリストラするということは、おそらく初めてでしょう。経験値のないことが、起きようとしています。

「広告代理店のAI」vs.「広告主のAI」へ

 その一方、広告主はAIを活用することで、自分たちで広告クリエイティブが作れるようになります。もうすでに「広告代理店のAI」が勝つか「広告主のAIが優秀か」の戦いは一部で始まっています

 しかし、先ほど述べたようにブランド活動を最適化するには川下だけで解決できません。最適化には広告代理店の手の及ばない、川上の施策から最適化しなければなりません。そして、川下から川上への連続性もないといけないので、結局は広告主は自分たちでやったほうがいいのです。

広告主のAI活用を伴走できる「コンサルティングファーム」が優位に?

 そうなると、コンサルティングファームが当面比較優位を獲得するでしょう。広告コミュニケーション開発を含めたアウトプットを提案するのではなく、広告主が自らAIを使ってアウトプットする作業を伴走して助けるビジネスです。川下を最適化するには川上を改善しないといけなくなります。最初はマーケティングコンサルかもしれませんが、ビジネスコンサルとなり、最後は経営コンサルに昇華するかもしれません。

 ただ、そうしたことができる人財はそういませんし、その人財もそのうちAIが担うようになるでしょう。

 「AIを使った最適化をサポートをするAIが登場する」ーー、そう考えると、結局のところ、代理店もコンサルも「代理やサポートビジネス」ではなく、今後は「自分で事業を起こす」ほうが良くなるでしょう。

新刊『新トリプルメディアマーケティング』が出ます

 さて、来る7月22日、翔泳社から『新トリプルメディアマーケティング』を発刊します。私は現在、この概念を提唱するとともに、この新トリプルメディア空間を最適化するAIの開発を進めています。2、3日で賞味期限がくる「バズるフレーズ」をもとにしたメッセージから、1~2年使えるテレビCMまで、広告フォーマットベースではなく、それぞれのターゲット消費者の“パーセプションを最適化する”ためのメッセージベースで思考したAIの開発です。

 これもまたここで前述したよう、広告主と並走するモデルになるかもしれません。

 共同開発したい企業を募っています。

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この記事の著者

横山 隆治(ヨコヤマ リュウジ)

横山隆治事務所 代表取締役
ベストインクラスプロデューサーズ 取締役 ファウンダー
トレンダーズ 社外取締役

1982年青山学院大学文学部英米文学科卒業。同年、旭通信社(現・アサツー ディ・ケイ/略称:ADK)に入社。インターネット広告がまだ体系化されていなかった1996年に、日本国内でメディアレップ事業を行う専門...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49280

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