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横山の視点

AI時代のマーケティングを想像するーー人によるデータマーケティングの終焉と、巻き起こる新たな戦い

 横山隆治氏による寄稿コラム。今回は「AI時代のマーケティング」について、同氏が今考えていることを語っていただきました。「もうMMMはやめたほうがいい。ついでにKPIという概念も捨てよう」と、いきなり「え?」となる見出しからスタートです。

もうMMMはやめたほうがいい。ついでにKPIという概念も捨てよう。

人によるデータマーケティングは終焉を迎える

 AIにより、これから先数年でマーケティングの状況は一変します。私が思うに、まず「MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)」はもうやめたほうがいいでしょう。MMMは、マーケティング活動の投資対効果(ROI)を最大化するために、人間が拙い頭で説明変数を集めて分析していました。ただ、その集めたデータはほんの一部でしかないし、本当の意味で有効なデータでもありません。そもそもこの先のAI時代において、「人間が思考してデータをインプットし、想定するアウトプットを得ようとする作業」はナンセンスになるのでしょう。

 すべてのデータを揃えられたとしても、そのデータはその時点までのものであり、言ってみれば過去を検証しているに過ぎません。兆しはあるかもしれませんが、人ではそれを読み取ることは困難です。一方AIはデータの分析作業に加え、未来予測も大好物なので、そこも含めて「人によるデータマーケティング」は終焉を迎えます

「AIがなぜその答えを出したか」を人間が知る必要はない

 その発想で言うと、KPIという概念も意味がなくなります。AI時代においては、中間指標を見る必要はありません。そもそもきれいな中間指標なんてほとんどありません。KPIというワードに釣られて「指標を見つけなきゃ」と努力されたと思いますが、これから先は意味がありません。とにかくAIがマーケティング活動を最適化してくれるため、人間がその理由を探す必要もないのです。KGIを目標値まで、あるいはそれ以上に引き上げるためにAIの指示通りに施策を最適化する。施策とはプロモーションに限らず、さらに言えば4Pにも限らず、マーケティングなんて概念をも超えて最適化を行うのがAIです。今後は、「競合ブランドのAI」との闘いになるでしょう。

 また、現在無数にある様々なマーケティングツールも、人が主導で使うものは意味がなくなるでしょう。一方AIからすると、マーケティング担当者がツールになります。成果を出したいのであれば、AIに訊かれたことは正確に答え、言われたことはちゃんとやりましょう

「ブランド活動」の最適化から「経営」の最適化へ

 マーケティングという活動は実にふわふわした概念で、定義も複雑だし、組織分掌的にも線が引かれているために連動せず、実効性がないものもありました。また人がやるから縄張り意識やらでうまく行かないこともしばしばありました。その点AIくんは組織などには関わりを持たずに、また何事も忖度せずにそのブランド、その企業のために活動してくれることでしょう。

 最初はブランド活動を最適化するためにスタートするでしょうが、ブランド活動を最適化するにはとどんどん上流に上がっていくはずで、最後は「経営」に至るはずです。おそらく経営こそAIがやったほうがいいのでしょう。そこは株主が決めることです。

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この記事の著者

横山 隆治(ヨコヤマ リュウジ)

横山隆治事務所 代表取締役
ベストインクラスプロデューサーズ 取締役 ファウンダー
トレンダーズ 社外取締役

1982年青山学院大学文学部英米文学科卒業。同年、旭通信社(現・アサツー ディ・ケイ/略称:ADK)に入社。インターネット広告がまだ体系化されていなかった1996年に、日本国内でメディアレップ事業を行う専門...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49280

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