アドビは、PDFファイルの利用状況と生成AI機能の活用状況に関する調査結果を発表した。
6割が10ページ以上の長文PDFを日常的に活用、情報検索の効率化に7割が課題
日常の業務におけるPDF文書の活用実態について調査したところ、10ページ以上の長いPDF文書を読む機会が「頻繁にある」と回答した人が24.0%となり、「時々ある」と回答した36.7%と合わせると、全体の60.7%のビジネスパーソンが長文のPDFを業務で活用していることが判明した。

一方で、ビジネス文書から知りたい内容を見つけるのに苦労することが「頻繁にある(23.6%)」「時々ある(43.9%)」との回答があり、全体の67.5%が文書検索に課題を感じていることがわかった。職種別でみると、法務部門では87.0%(「頻繁にある」32.0%、「時々ある」55.0%)、広報・マーケティング部門では80.0%(「頻繁にある」36.0%、「時々ある」44.0%)と、全体平均と比べ特に高い傾向が見られた。

PDFの生成AI機能活用者の8割が業務効率化を実感、法務部門などで活用が進む
PDFの生成AI機能を活用したことがあるか聞いたところ、全体の40.6%が活用したことがあることがわかった。
職種別の内訳をみると、法務部門が利用率70.0%と最も高く、全体平均(40.6%)を大きく上回る結果となった。契約書の条項チェックや法的リスクの分析など、高度な専門知識を要する作業においても、AIによる要点整理が業務効率化に貢献しているとが推測できる。続いて高い利用率を示したのは広報・マーケティング部門(57.0%である一方、経理・財務・会計(20.0%)や研究開発(25.0%)では利用率が比較的低く、部門によって利用率に大きな差がみられた。

「PDFで生成AI機能を活用したことがある」と回答したビジネスパーソンに対し、生成AI機能の活用によって、業務がどのように変化したかを聞いた。結果「大幅に効率化した(22.5%)」「どちらかというと効率化した(57.0%)」で合わせて、8割(79.5%)が業務効率化を実感していることが明らかになった。

また、生成AI機能の活用目的としては、「文書から知りたい内容を探すため」が61.3%と最も多く、「文書内容を要約するため」が38.0%と続いた。

生成AI活用の壁は「社内ガイドラインの不在」「正確性」「情報漏洩」への懸念
PDFの生成AI機能を使用することに対する懸念点について聞いたところ、全体の75.1%が何らかの懸念を抱えていると回答した。具体的には「AIの利用に関する社内ガイドラインの不在(36.1%)」が最も多く、次いで「ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)など情報の正確性(25.9%)」、「情報漏洩(24.6%)」と続いた。

【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査対象:700名(仕事でデスクワークを主とし、月に1回以上PDFファイルを扱っていると回答した20~59歳の全国のビジネスパーソン<7職種別に均等割付>)
調査期間:2025年5月1日~2025年5月8日
※構成比(%)は小数点第ニ位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある。<
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