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AIと「Any-to-Any構想」で最適化と効率化を実現──Molocoが目指す、Web広告の革新

 AIを活用したデジタル広告プラットフォームを展開するMolocoは2025年6月12日(木)、同社が主催するデジタルマーケティングカンファレンス「Molocon 25」をソウルにて開幕した。

企業が成長し続けるためには、革新的なAIエンジンが必須

 オープニングのキーノートには、MolocoのCEOを務めるアン氏が登壇。Molocoのこれまでの歩みを振り返るとともに、同社が進める「エコシステム・グロース・イノベーション」の3つのキーワードについて語った。

 「創業当時は、AIでビジネスをすると述べた際、ほとんどの人が懐疑的だった。しかし2025年の現在、AIは選択ではなく必須の技術となった」と振り返った。昨今はデジタル上で、プラットフォーム・広告主・生活者が一体となり、巨大なエコシステムが作られている。このエコシステムは、GAFAをはじめ様々な企業やブランド、クリエイターをも巻き込み形成しているわけだが、企業側の視点に立つと「多様なサービスやブランドが併存し、それぞれがデータと広告収益を循環させる構造が、健全な広告生態系である」とアン氏は話した。

 Molocoが展開するAIエンジンは、韓国国内上位20社のEC企業のうち60%以上が採用。世界で2,000以上のプラットフォームと18万ものブランドが同社のエコシステムに参画しており、顧客企業の流通取引額(GMV)は60兆ウォンに達しているという。

Moroco CEO イクジン アン(Ikkjin Ahn)氏
Moloco CEO イクジン アン(Ikkjin Ahn)氏

 その上でアン氏は、「AIエンジンを導入してこそ、企業の持続的な成長ができる」と明言した。

「世界中に存在する多様なアプリケーションはそれぞれ独自のプラットフォームを構築しており、各国の企業はユニークな製品やサービスを提供しています。これらの企業が成長し続けるためには、革新的なAIエンジンが必要です。

 我々は10年以上前からAIの研究開発を行ってきました。当社のAIエンジンをトッププラットフォームで活用し、マーケターが当社のAI製品で指数関数的に成長していることを実証しています」(アン氏)

 イノベーションについては「設立当初から大きく力を入れてきた部分」だとアン氏は語り「今後は、より実験的で革新的な領域を扱います」と話した。またAIに加え、CTV/OTTなどを含めた、クロスチャネル・マーケティングと計測に注力していくことを明らかにした。

「我々が力を入れていたAI分野は、今後5年から10年かけて様々な製品に組み込まれていくでしょう。当社はその動向を見据え、パートナーへの投資を加速させているところです」(アン氏)

 セッションの最後にアン氏は、同社のビジョンを刷新したことを発表。「インターネット経済のためのスケーリングエンジン(Scaling Engine for the Internet Economy)となる」と述べ、「MolocoはAI技術の高度化を通じて広告市場の境界を打破し、より多くのプラットフォーム、ブランド、小売が共に成長する多様で持続可能なエコシステムを築いていく」と語り、同セッションを締めくくった。

スマホを飛び出し、「Any-to-Any」へ

 続いてMoloco CTOのチョン氏が登壇。同社広告エンジンの仕組みと拡張ビジョンを説明した。

 「この10年間、App-to-Appに力を入れてきた」と話し、Moloco Adsの仕組みについて説明。広告に入札形式がとられているだけでなく、0.1秒以内に表示され、1秒あたり600万件のビッドリクエストを処理しているという。

「ディープラーニングによるAI最適化を行った結果、Molocoは2015年対比で広告費は200倍に拡大。高いROASが予算増につながり、その追加予算がAI学習を加速させ、さらにパフォーマンスを押し上げててききています」(チョン氏)

Moroco CTO ドンファン チョン(Donghwan Jeon)氏
Moloco CTO ドンファン チョン(Donghwan Jeon)氏

 同社が着手している次の一手として、チョン氏は「モバイル外への拡張」について触れた。

 コマース企業の大半はWeb由来であるが、生活者は異なるモバイルデバイス、タブレット、CTVなどのデバイスを使用し、ストリーミングや動画、様々なアプリも使用している。

「広告主の立場から見た理想的な状況は、生活者一人ひとりの興味に合った広告を自然な形で表示することです。そこでMolocoはWeb-to-Webの広告プロダクトをEarly Accessとして公開しました。アプリとWebを自由に横断して広告配信をすることでROASをより向上させることができます」(チョン氏)

 セッションの最後にチョン氏は、「CTV/OTT統合の統合」を目指していることを明らかにした。米国CTV広告市場は、8年ほどで26億ドルから430億ドルへと急速に成長しており、CTVは在宅の時など動画視聴時の視聴体験にリーチできる。

 こうした動きからも「広告在庫をWeb・CTV・モバイルで一括最適化し、“Any-to-Any”とするためにプロダクトを開発していきます。今後のアップデートにご注目ください」と話し、同セッションを締めくくった。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/14 10:38 https://markezine.jp/article/detail/49352

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