2.検索回数やCV距離だけを前提にしたSEO戦略は見直しが必要
前述のとおり、ユーザーの検索行動が変化すれば、ゼロクリック検索の割合もさらに増えると見られます。「◯◯とは」「◯◯の選び方」など、これまでオウンドメディアが担ってきた疑問解決の役割は、AI Modeに置き換えられていく可能性があります。
したがってユーザーが自社サイトを訪れるタイミングでは、すでに一定の知識を持っているかもしれません。AI Modeや他のAIツールで情報を得たうえで、比較検討や意思決定のためにサイトへ訪問する、という行動パターンです。
その場合、従来型の情報設計は、ややまどろっこしく感じられることもあるでしょう。たとえば、初心者向けに1から丁寧に説明するサービスページだと、AIで解決済みのユーザーには不適切になりそうです。AI Modeによって検索意図(来訪意図)が変化すれば、それに応じたコンテンツ設計のアップデートも求められます。
イメージとしては「機能はAIで事前に理解していて、最新の公式ページで料金比較する目的で訪れたユーザーが多いと仮定し、ファーストビュー直下にいきなり競合との料金比較表を置く」といった、これまで考えにくかった施策も一考の余地がありそうです。
ユーザー行動の変化を見逃さず、コンテンツをアップデートする
サイトに対してユーザー行動が大きく変化するため、SEO的には「検索意図の変化=必要とされるコンテンツの変化」と言えるでしょう。自社サービスのターゲットユーザーがAI Modeを利用しているのか、どんな場面で利用しているのか。そうした調査やヒアリングも戦略設計に役立つはずです。
なおGoogle自身はAI Modeの登場に際し、サイトオーナー向けに「Googleがこれまで推奨してきた指針は、AIOやAI Modeといった新たな機能にも当てはまる」「訪問者を第一に考え、満足度の高い独自のコンテンツを提供する事が重要」と述べています。深読みせずシンプルに読むなら、何も変わらないという趣旨です。
SEOの基本的な考え方は変わらないものの、AI Modeの登場によって、検索そのものが大きく進化しつつあります。ユーザーの情報取得プロセスや意思決定のタイミングが変化している可能性は高く、私たちもその変化を捉えることが必要です。
幸いにもSEOの方法そのものには大きな変化はありません。しかし、生成AI時代のSEOではユーザー自身が変化しており、そこへの最適化が肝要であると考えます。
これからの検索体験にどう備えるか。今のうちから向き合っていきましょう。