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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

電通グループが掲げる「CX-Connect」から紐解く、顧客とつながり続けるために大切なこと(AD)

顧客とつながり続け、「買う」と「好き」を両立する──KATEが実践する“立体的な顧客体験設計”

 顧客接点が多様化し消費者の選択肢も広がる中、ブランドのパーパスや世界観を伝え、共感してもらう重要性はより増している。電通グループが掲げる「CX-Connect」を体現する取り組みを紹介する本連載。第4回目では、花王グループのカネボウ化粧品が展開するメイクアップブランド「KATE」の取り組みを紹介する。dentsu Japan(国内電通グループ)とともにユニークな顧客体験を設計しながらファンを増やし続けている「KATE」が実現する立体的な顧客体験設計とは? MarkeZine編集長の安成が、KATEブランドを率いる岩田氏と電通で同ブランドを担当する我妻氏に、顧客体験設計における取り組みについて話を聞いた。

「自分らしさの追求」から生まれたKATE

安成:今回は、CX施策に注力することで事業グロースを実現する事例として「KATE」の取り組みについてお聞きします。はじめに、自己紹介をお願いします。

岩田:ブランドマネジャーとしてKATEを担当しています。2021年5月には「リップモンスター」を発売し、マスクをしている人が多かったコロナ禍でヒットを実現しました。

花王株式会社 KATEブランドマネジャー 岩田有弘氏
KATE ブランドマネジャー 岩田有弘氏

我妻:2023年に電通に入社し、ブランドの戦略・戦術の立案からエグゼキューションまで、一気通貫でサポートしています。KATEのプロジェクトでは、デジタルマーケティングの顧客体験設計やデータ利活用、お客様とつながり続ける「Always On」の戦略を推進しています。

安成:まず、KATEがどのようなブランドなのか改めてお聞かせください。

岩田:1990年代半ばに「もっと自分らしさを追求したい」という希望から生まれた“ギャル”の価値観が入り口となり、1997年にKATEは誕生しました。個性的な表現で、自分のためのメイクを追求する。トレンドを形作っていった方々の意志がブランドに反映されています。

 そのため、ターゲットは自分らしさを表現したいと願う人たちです。それを一言で表すのが、当初から掲げている「NO MORE RULES.」というブランドスローガン。個性を解放して、ルールに縛られずに自分を表現しよう、という思いを込めています。ドラッグストアをはじめ、GMS(総合スーパー)、量販店、バラエティーショップ、ECモール、直営店、自社ECなど多様なチャネルで商品を展開しています。

KATE公式サイトより(クリックして拡大)

「買う」と「好き」を両立するために

安成:今回のプロジェクトの実施には、どのような背景があったのですか。

岩田:2019年~2020年にかけて韓国系ブランドや新興ブランドの市場への参入が相次ぎ、お客様の選択肢が大きく増えました。マス型のプロモーションで情報を一方的に伝えるだけで、お客様とつながれていない実感もありました。

 そこで、まずはマーケティングゴールを考えるところから始めました。根本から変えていかないと、勢いのあるブランドに負けてしまうという危機感があったのです。

安成:マーケティングゴールとは、どのようなものでしょうか。

岩田:お客様を最も理解し、圧倒的な体験を提供することで、KATEのパーパスに共鳴する人を増やす。そして、つながり続けることでLTV(顧客生涯価値)を最大化することをゴールに決めました。

 より簡単に言うと、皆にずっと使われてずっと愛されるブランドにしたい、ということです。「買う」と「好き」を両立するために、お客様とつながり続けることを目指しました。

KATEのパーパスに共鳴する人を増やし、つながり続けることでLTVを最大化する(クリックして拡大)

“KATEらしい体験”でつながる!熱狂を生む顧客体験設計とは

安成:熱狂を醸成するエンジンとなっているのは、ブランド独自のメンバーシッププログラム「KATE MEMBERSHIP PROGRAM」だそうですね。それを含めて、全体像を教えてください。

岩田:プロジェクトの狙いは、いつでもどこでも“KATEらしい体験”を提供し、接点を作り続けることです。「自分らしくありたい」という感情を起点に、継続的につながる体験を提供したいと考えています。

 そのために、メンバーシッププログラムの他、公式SNSやLINEの施策、バーチャルメイクができる没入体験型ECサイト「KATE ZONE」などを展開し、2024年には東京・渋谷にグローバル旗艦店を構えました。それらは、KATEらしい体験を提供する“熱狂醸成装置”という位置付けです。SNSやLINEでブランドに触れ、KATE ZONEや旗艦店によってさらに好きになってもらい、メンバーシッププログラムで満足度を高める。そんなサイクルを作っていこうとしています。

 重視しているのは、顧客接点にブランドのストーリーを融合することです。ブランドに触れた人にワクワクして楽しんでもらうために、ブランドならではのストーリーを一緒に伝えるようにしています。

株式会社電通 マーケティングコンサルタント 我妻渉氏
株式会社電通 マーケティングコンサルタント 我妻渉氏

安成:dentsu Japanでは、そのような体験実現のためどういった支援をしているのですか。

我妻:データの利活用という観点では、お客様から得た行動・意識データをさらなるKATEらしい顧客体験に還元することが重要です。そのために、深い顧客理解から企画やプロモーション、キャンペーンの成果を「Always On」の観点からどう捉え改善するかなどのご支援をしています。

 今後、各種商品カテゴリーにおいて市場戦略を確立する取り組みも進めていきます。お客様がどのようにカテゴリーを横断しKATEをさらに好きになっていくのか、気持ちと行動についてデータから明らかにし、「立体的な顧客体験」について検証していきます。

 また、SNSやブランドサイト、KATE ZONE、旗艦店など多様な接点があり、お客様にとってKATE体験の入り口が必ずしも一つではありませんので、どのような入り口からどのように回遊するとLTVが上がるかも検証しています。ロイヤルカスタマーへ至る「ゴールデンルート」は何か、購買定着のために必要な行動回数「マジックナンバー」は何か。それらを捉えてKATEらしい体験へと昇華させていきたいと考えています。

KATEにおけるデジタルマーケティングの全体像(クリックして拡大)

チーム全員がワンチーム、ブランドへの思いを一つに

安成:マーケティングにおいて、多くの企業で課題になるのが組織運営です。今回、両社合わせて50人規模のチームで取り組んでいるそうですが、大きなチームをどのようにまとめているのでしょうか。

岩田:当社のKATEチーム側は、マーケティング担当だけでなく商品開発担当も含めて参加しています。メンバーはそれぞれアイシャドウやアイブロウなど各カテゴリーを担当していますが、商品だけではなくブランド全体の取り組みに関わってもらうようにしています。全員が月1回の定例会に出席し、顧客体験のプロジェクトに参加しています。

 それは、全員が「ブランドを担当している」という気持ちで取り組めるチーム運営が大事だと考えているからです。その根幹は、ブランドへの思いを一つにすることです。オリジナリティを貫くというブランドの思いを共有できて初めて、具体的なアイデアが出てきます。だからこそ、KATEのメンバーだけでなく、我妻さんをはじめdentsu Japanのみなさんも一緒に、強いチームを作っていくことができるのだと思います。

安成:dentsu Japan側からは、どのようなメンバーが参加しているのですか。

我妻:電通で営業やマーケティングに関わるメンバーの他、電通デジタルや電通プロモーションプラスのメンバーも参加し、戦略から戦術のPDCA、制作から運用まで一気通貫で対応しています。SNSなどの各メディアで施策を回すだけでなく、顧客体験を全体で捉えて連携施策を全員で出し合い検証したり、反響が良かったクリエイティブを他のメディアでも参考にできないか検討するなど、チーム内で連携の相談もしています。

 ここまで強固な顧客基盤をつくってこれたのも、多くの方の情熱があってのことだと思いますので、この場をお借りして全ての方への感謝をお伝えしたいです。

迷った時に立ち返る「バイブル」を拠り所に

安成:実際にチームで施策や議論を進める中で、工夫していることはありますか。

我妻:今回のプロジェクトでは「デジタルマーケティングバイブル」というドキュメントを作成し、アップデートしながら運用しています。「KATEらしい体験とは」「本当この施策をやるべきか」と判断に迷ったときに立ち返る拠り所として、関係者全員が最新の方針にアクセスできるようにしています。

岩田:さらに、ブランドの指針を示した本もあります。「KATEらしさ」とは何かを、コンテンツや施策を作る際に確認できます。この2つがあることで、知見を蓄積しながらチーム全員の目線を合わせることができます。言葉だけでは表現しづらい“ブランドらしさ”という感覚を共有でき、一貫したブランドの在り方を実現できるチーム文化を作ることに役立っています。

我妻:加えて、チーム内に壁を作らないように意識していることが3つあります。まず、PDCAを徹底的にシンプルにすることで、担当者以外も理解しやすくしています。多くの方に参加いただくプロジェクトのため、会議に集中できるよう、より自分ゴト化していただけるような工夫を凝らしております。 議論が必要なテーマが出てきたら、お互いに何ができるかプロジェクトを横断して皆に話してもらいます。

 2つ目はメンバーの「何をすべきか」だけでなく「何をしたいか」を引き出すことです。自分自身がKATEというブランドをどうしたいか、考えて動いてもらうと、視点が変わって良いアイデアも出てきます。全員がオーナーシップを持って動ける環境作りを意識しています。

 最後は、目的と手段が逆にならないことです。施策を考えるときは、KATEらしい体験を提供するために最適な手段なのか、常に意識して議論していますね。

岩田:「何がしたいか」はすごく大事ですよね。メンバーからそれが出てこない時は「自分が心を動かされた瞬間」あるいは「心を動かされている人」を見つけてもらいます。そうすればリアルなアイデアが出てきますし、最終的に組織が自走するようになるのです。

メイクの可能性を広げ、さらなるブランド拡大へ

安成:組織作りも今回のプロジェクトの大きな成果の一つと言えますね。他に、どのような成果がありますか。

岩田:SNSでバズって商品が売れても、一過性で終わらないためにどうするか。どのブランドもそれを考える時代になっています。KATEは2020年~2021年からそれを意識して取り組み、お客様にもSNSで継続的に投稿いただけるようになりました。いち早くその重要性を発見できたことも一つの成果だと考えています。

 定量面では、SNSのフォロワー数が2020年と比べて現在は4倍ほどに増えました。また、セルフメイク市場では18年連続でシェア1位(※1)ですが、メイク市場全体でも2021年から4年連続でトップシェアを維持(※2)しています。ECの売り上げは毎年二桁伸長していますね。

安成:今後KATEブランドをより大きくするために、どのようなことに取り組んでいきたいですか。

我妻:データを利活用して、コミュニケーションのパーソナライズ化にとどまらず、市場に新しいメイク文化を提案するためのアイデア創出など商品企画領域での支援、さらにマーケティング領域を越えたバリューチェーン化をしていきたいと考えております。

岩田:「自分を縛るルールを壊したい」と願うお客様を支えながら、メイクの可能性をさらに広げていきたいと考えています。メイクの力はすごいもの。その可能性を広げる取り組みを精一杯行うことで、ブランドもより強くなっていくと思います。

 具体的には、グローバルでブランド施策を展開したいと考えています。国内の取り組みをアジア全域、そしてグローバルで実現できれば、もっと可能性を広げられます。そして日本を代表するメイクブランドとして、世界へ認知を拡大していきたいと考えています。

安成:日本のユーザーとして、それが実現するのが待ち遠しいです。本日はありがとうございました。

※1:インテージSRI+調べ メイク市場 2007年1月~2024年12月累計売上金額
※2:インテージSRI+調べ

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社電通コーポレートワン

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/08/29 10:30 https://markezine.jp/article/detail/49525