SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

LLM進化論:業務の効率化から新しい価値の創造へ

まだLLM活用で「業務効率化」を目指している?LLM2.0は価値創造へ【第1回】議事録を進化させる

 近年、大規模言語モデル(LLM)は今、業務の効率化を超えて業務や施策の根本から変え、さらには新たな価値を創造する領域へと足を踏み出そうとしています。そこで、AI活用の実践者であり、データ活用の最前線に立つ株式会社インティメート・マージャーの代表取締役社長・簗島亮次氏が、“守り”と“攻め”の両側面からLLMの可能性を紐解き、具体的なユースケースを紹介します。第1回は、LLM1.0(守り)と2.0(攻め)の違いと、議事録での活用法を解説します。

生成AI活用は業務の効率化を超え、価値創造の領域へ

 近年、大規模言語モデル(LLM)は目覚ましい進化を遂げ、私たちのビジネスシーンに急速に浸透し始めています。多くの企業が文章生成や要約といった既存業務の効率化を中心に活用していますが、単純な効率化だけでは本質的な競争力を生み出すことは困難といえます。一方で、LLMを導入する企業からは「具体的にどう使えばいいかわからない」という声もよく聞かれます。これは、LLMの真の可能性が十分に理解されていないことを表しています。

 実際、デジタルマーケティング業界のように元々自動化やAI最適化が一般的な分野では、LLMやAIエージェントの活用は急速に広がる可能性が高いでしょう。重要なのは、生成AIの進化を単なる技術の進歩として捉えるのではなく、「データをどう活かすか」という視点から真の価値を見出すことです。

LLM1.0と2.0の違いとは?

 こうした背景を踏まえ、本連載では業務効率化をメインとした“守り”の使い方をLLM1.0、価値創出を目的とした“攻め”の使い方をLLM2.0と位置づけています。

LLM1.0:業務効率化を実現する「守りのLLM」

 LLM1.0は、既存業務の効率化と自動化を主な役割とする「守り」のLLMです。コスト削減や生産性向上といった、既存業務の基盤を固めるための強力なツールとなります。

  • 情報集約とアウトプット
    膨大な資料や会議の音声データから必要な情報を抽出し、要約やレポートを作成します。
  • 定型業務の自動化
    広告文の生成やレポート作成など、反復的で単純な作業を自動化し、人間がより創造的な業務に集中できるよう支援。
  • 作業の質の向上
    抽象的な指示でも質の高いアウトプットを生成し、資料作成などの質を向上します。

LLM2.0:新たな価値を創造する「攻めのLLM」

 LLM1.0が既存業務の効率化に焦点を当てるのに対し、LLM2.0は、ビジネスや施策の可能性を広げ、新たな価値を創造する「攻めのLLM」です。新たな市場機会の発見、競争優位性の確立、さらにはビジネスモデルそのものの変革を促す可能性を秘めています。

  • 意思決定支援
    データを分析し、示唆を与え、戦略的な意思決定を支援します。
  • 未踏業務の実現
    人間の能力や時間的な制約で実現できなかった高度で複雑な業務が可能に。
  • AIエージェントの登場
    「AIエージェント」と呼ばれる自律型AIは、LLM2.0の象徴的な存在です。人間が介在せずとも、自ら目標を設定し、計画を立て、業務を遂行します。顧客に合わせたメールやランディングページの個別最適化など、既存のやり方では時間がかかる業務が実現する可能性があります。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
    ※プレミアム記事(有料)は除く
  • ・会員限定メルマガを受信できます
  • ・翔泳社の本が買える!
    500円分のポイントをプレゼント

メールバックナンバー

次のページ
なぜLLM1.0からLLM2.0への進化が重要か?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

簗島 亮次(ヤナシマ リョウジ)

株式会社インティメート・マージャー代表取締役社長。
慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科を2010年首席で卒業。2013年、Googleのレイ・カーツワイル氏が2020年に起きると予測した「あらゆるデータがひとつに統合される」という革命を冠した株式会社インティメート・マージャーを創業し、2019年10月東証マザーズへ上場。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/08/20 08:30 https://markezine.jp/article/detail/49552

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング