SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Autumn

今どきシニアの消費行動大解剖

終活にかかる総額は平均約503万円!シニア世代の嗜み「終活」市場の可能性を読み解く

埋まらない意識と行動のギャップ

 今回の調査で改めて浮き彫りになったのは、「終活は必要」と思っている人が77.4%に達する一方で、「既に始めている」人は44.0%にとどまるという現実です。

画像を説明するテキストなくても可
終活を「既に始めている」と回答した人は、年々増加。2025年は44%が既に始めていると回答。「今後実施する予定」と回答した人33.4%と合わせると、77.4%が終活が必要と考えている
※クリックすると拡大します

 「いつかはやらなければ」と思いながらも、「まだ早い」「面倒そう」と後回しにする構造は依然として変わりません。生きかた上手研究所では、2年に1度「終活に関する意識と実態調査」を行っておりますが、2021年、2023年時の調査も同様に、後回しにする傾向が見られました。

 年齢と意識のギャップから、「まだ私には早い」と先延ばしされがちな消費を「端境期消費」と呼んでおり、このギャップにこそビジネス機会があります(端境期消費については、拙著『消費の主役は60代 シニア市場最前線』の2章「は再定義すれば動かせる」で詳しく解説しています)。なぜなら、行動に移した人ほど「気持ちが軽くなった」「生活が整理され満足度が上がった」とポジティブな効果を実感しているからです。

 この“意識と行動の間”には、大きなサポート需要があります。「これさえすれば大丈夫」と気軽に始められることをわかりやすく示したり、小さな一歩を前向きに踏み出せる仕組みを提供できたりすれば、終活市場は一気に拡大する余地を秘めているのです。

広がる“無意識終活” 年賀状じまい・口座整理の先に

 「自分は終活していない」と言う人でも、実は無意識のうちに終活を進めています。その典型が「年賀状じまい」です。今回の調査でも「既にやり終えた終活」として最も多く、38.4%が実施済みでした。

 年賀状のやりとりをやめることは、対人関係の棚卸しをする行為であり、終活の一部というわけです。そのほか「金融口座・金融商品の整理」「デジタルまわりの整理・消去」なども、“暮らしを軽くする手放し”の一部。「言われてみると知らず知らずのうちに行っていた」という類の終活です。

 終活関連企業にとって重要なのは、この「無意識終活」を可視化し、価値に変えることです。気づきを与え、それを支援する商品やサービスを提供すれば、多くの人が自然に“終活の入口”へと進むのではないでしょうか。

次のページ
デジタル終活という新しい課題

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
今どきシニアの消費行動大解剖連載記事一覧
この記事の著者

梅津 順江(ウメヅ ユキエ)

ハルメク 生きかた上手研究所 所長

2016年3月から現職。主に年間約900人のシニアを対象にインタビューや取材、ワークショップを行い、誌面づくり・商品開発・広告制作の糧になるインサイトをつかんでいる。時代や世代も捉えて、半歩先の未来も予測している。著書に「消費の主役は60代 シニア市場最前線」(同文舘出版)な...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/09/19 07:30 https://markezine.jp/article/detail/49686

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング