ミニブログはTwitterで決まり、かと思われたが……
「ミニブログ」というウェブサービスをご存知だろうか。アメリカでは「マイクロブログ(micro-blog)」とも言われているらしい。ご存じない方は「ブログ」という名前から、簡易ブログのようなものを想像されるかもしれないが、実のところこの名前に当てはまるメジャーなサービスは1つしかない。つまり「Twitter」のことだ。(参考記事:ポストmixiの大本命!? ミニブログ「twitter」をご存知ですか?)
しかし、真のメジャーサービスと言えるのかというと疑問だ。なぜなら、Twitterはシンプルであるにもかかわらず、なかなかサービスが安定しない。
よく落ちるし、復旧するまで時間がかかることもままある。さらに外部ツール用の取得APIに制限がかけられることも多く、専用ツールを使ってTwitterを読み書きするようなヘビーユーザーほど不便を強いられるという悪い状況が続いていた。とくに2008年6月から7月にかけての不安定さは目に余るものがあり、アメリカでは新興のソーシャルフィードサービス「FriendFeed」にユーザーが流れているとも報じられていた。
突如注目を集めた「Wassr(ワッサー)」の独自性
日本でも、2008年7月初旬、TwitterのAPIによる発言取得が1時間20回に制限されたことや、あまりにダウンタイムが多いことに不満を抱いていたユーザーを中心に、代替のサービスとして「Wassr(ワッサー)」が突如として大きな注目を集めるようになった。これは、ウェブエンジニア界のトリックスターとも称されるYappo氏のブログで「Twitterはもう終わった」と題したエントリがアップされたことに端を発する。
このエントリが起点となって、Wassrの利用が実際に増えているようだ。筆者もWassrのアカウントを持っているが、7月3日以降の1カ月で40人近くが新しく購読(Twitterでいうフォロー)してくれるようになった。ウェブログでの言及数(テクノラティ、はてなダイアリー キーワード)や、検索数(Google Trends)の変化を見てもその日から急激に反応が起きていることがわかるし、Alexaでのランクも上昇している。
Wassrが利用者を獲得できた要因は、Twitterが不調だったことももちろんあるが、むしろTwitterにはない独自の機能・拡張を持っていたことが大きいようだ。そもそもTwitterの強みはそのシンプルさにあって、クローンサービスがまねをするのも簡単だが、それだけなら他に乗り換える必要性もなく、結局は既存のユーザーが多いTwitterが有利だったからである。
それに対して、Wassrではよりコミュニケーション指向になっていて、発言へのレスが読みやすく、また写真を掲載したり長文エントリも書くことができる。「イイネ!」機能で、レスをつけなくても賛同を示すことができるが、このアイコンが発言の下にずらずら並ぶのも嬉しい。Twitterのような単純なひとり言ツールから、さらに一歩ブログ側に踏み出した立ち位置にあると考えられる。
こういう独自性があるからこそ、WassrはただのTwitterの代替にとどまらず、ユーザーを引き止めることができた。「イイネ!」や、分野別の話題を共有できる「チャンネル」機能がこの半年間で整備され、ちょうどこの夏の盛り上がりに合わせるように、8月1日にβ3にバージョンアップしたというタイミングもよかった。もともと日本のサービスだけに、Twitterで弱いモバイルでの機能がデフォルトで充実しているのも利点だろう。
ユーザーの中でもこうしたWassrの独自機能が評価され、まとめのブログ記事もいくつか注目されている。これからWassrをはじめてみようというひとは、まず下記のエントリーを読んでみるのもいいのではないだろうか。