丸亀製麺は“感動”を生むことで、選ばれ続ける
西森(オプト):SNS施策の重要性を理解していても、施策の設計や評価に迷いがちな企業も多いようです。まず、それぞれのブランド戦略とSNS施策の内容について説明をお願いします。
小西(丸亀製麺):飲食ビジネスでは「手間暇をかけて、できたての商品を提供すること」と「スピーディーに食事を提供すること」で二律背反に陥りがちです。トリドールホールディングスはその両立を掲げています。そこから“感動”が生まれ、お客様に選ばれ続けることを目指しています。
小西(丸亀製麺):主力ブランドの丸亀製麺では、すべての店舗で粉からうどんをつくっています。また、お客様の目の前の釜でゆで上げたできたてのうどんを提供することで、非日常の没入感のある体験を演出しています。「人のぬくもりを感じる体験」や「手づくりのおいしさを求める心」が、消費者の普遍的なインサイトだと考えているからです。空間づくりに投資し、人を増やし、手づくりで提供することこそ、私たちが“勝てる道”だと信じて事業展開しています。
マーケティングにおいて意識しているのは「選ばれる必然をつくる」ことです。消費者の第一想起に挙がるように、話題やニュースを届ける活動をしています。戦略の骨子は、ブランディングによって右肩上がりで認知を高めながら、フェア商品を次々と展開することでスパイクさせて、成長していくことです。
選ばれる必然をつくるための“話題の山”づくり
小西(丸亀製麺):ブランディングのポイントは3つあります。まず、すべての店で粉から手づくりしているという情報や、できたてのおいしさを一貫して表現することです。たとえば、全国860店舗に在籍する「麺職人」を紹介する動画を配信しました。麺職人は合格率わずか30%の社内資格。麺職人によってうどんのクオリティが保たれていることを伝えました。
2つ目は、季節やお客様の食べたい瞬間に合わせたレコメンドです。暑い時期には、冷たいうどんを紹介する投稿を積極的に出しました。
3つ目が、お客様のUGC(User Generated Content)を創出することです。たとえば、「麺職人全店誕生キャンペーン」では、お客様に動画を見てもらい、「食べたい」という気持ちをハッシュタグ付きで投稿してもらいました。
ブランド力向上と併せて、フェア商品で盛り上がりをつくることも重要です。発売前の新商品の魅力を伝えて期待感を高め、どのタッチポイントでも新商品を目にする状態をつくっています。
夏の「鬼おろし」フェアがその一例です。2025年の夏は他にも新商品がありましたが、鬼おろしが“第一走者”として、お客様に夏の到来を伝える役割を担うと考えました。
そのため、発売前に動画で鬼おろしの魅力を伝える投稿をして、お客様にもハッシュタグ付きの投稿を呼びかけました。どのタッチポイントでも見かける状態をつくるため、テレビCMも活用しました。
また、お客様の発話を促す「私の推し鬼おろし」キャンペーンも実施し、Xのトレンドで上位に入りました。さらに、鬼おろしをテーマにした「昔話」風の動画投稿や、「#水曜日は鬼おろし気分」という曜日固定キャンペーンなど、定期的に話題の“山”をつくりました。
SNS施策では、全体を通して一貫したストーリーを形成することが重要だと思います。オンライン、オフラインのすべてにおいて、同じ空気をつくることを意識しています。
