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MarkeZine Day 2025 Retail

AIで“いま”を可視化!SNSから紐解くトレンド・インサイト分析

SNS10万投稿を分析!「推し活」に学ぶ、顧客のエンゲージメントを高める3つのポイント

熱狂度分析で熱量が高まるジャーニーを見える化

 深掘りの軸としては感情の強さ、すなわち「熱狂度」を評価軸として掛け合わせることにした。単なるポジ・ネガ判定ではなく、見える化エンジン内の生成AIに「投稿から読み取れる推しへのエンゲージメントの深さを3段階で評価して」と指示し、投稿内容を熱量の高さに応じて分類。低い順から「きゅんフェーズ(興味・好感)」「どハマりフェーズ(愛情・幸福)」「信仰フェーズ(感謝・崇拝)」の3段階に分けた。

 そして、この熱量を先ほどの3カテゴリー(「顕在アクション」「コミュニティ」「感情の変遷」)に掛け合わせることで、以下の通り熱量のマトリクスが作成できた。

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 どのカテゴリーにおいても、熱狂度の割合としては「きゅんフェーズ」の投稿が最も多く、次いで「どハマりフェーズ」「信仰フェーズ」の順に続いていく。

 ただ、中身の割合自体には差異が見受けられる。「どハマりフェーズ」の割合は「コミュニティ」において最も高く、「信仰フェーズ」は「感情の変遷」において最も高くなっている。

 ファンの生態として、熱狂すればするほどに顕在化した行動だけではなく、コミュニティの中で「好き」という気持ちを誰かと共有するようになるのではないか。そこからさらに熱狂が高まっていくと、推し活への疲れなどネガティブな感情も一定程度生じやすくなってしまう、そんな仮説が立てられる。

感情要因分析で「どんな文脈で感情が発現しているのか」を紐解く

 さらにファンの感情を深く知るべく、何に起因して投稿で発現している感情が生じたのか、すなわち「感情の要因・背景」に着目した評価軸も同様に生成AIで作成し分析。縦軸に感情要因軸を置いたマトリクスは下記の通りとなり、カテゴリーごとの差異が顕著に発見できた。

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 特徴的な点について、見える化エンジンのAI分析レポート機能をもとにして結果を下記にまとめる。

顕在アクション

【目標達成・入手成功】

  • 主に推しグッズの購入、限定品確保、在庫獲得など、具体的な達成体験が中心
  • 投稿では商品名、価格、写真など実践的な情報が多く、行動実績としての推し活が強調されている

【現場での良体験】

  • ライブ、イベント、コンサートなどの現地体験にもとづく感動や臨場感が中心
  • 具体的な会場名や写真、リアルな体験が発信されていて、ファン同士の絆や共感を促すような投稿も目立つ
コミュニティ

【コンテンツの質・量】

  • ファン活動に関する具体的なエピソードや体験、関連イベントの情報や配信、ライブ・コラボ作品の感想などが中心で、これ自体は「顕在アクション」にも似ている
  • ただ、ハッシュタグの多用や、「尊さ」「熱量」を前面に押し出す言葉遣い(例:「尊い」「全力で推す」)が目立つことが特徴

【自己肯定・承認、コミュニケーション】

  • 「推し活で頑張れる」「自分が救われる」といった自己肯定感や、ファン同士の励まし合いが中心
  • 推し活が自己肯定や精神的な充足感に直結していることを示している
感情変遷

【リソース不足】

 投稿には、推しのイベントやグッズ購入、配信、遠征といった活動に対し、時間・金銭・体力・交通手段などが足りないと感じる様子が一貫して見受けられる。「バイト代が足りない」「抽選に連敗でモチベ下がる」「配信のアーカイブを見る時間がない」といった、熱狂ゆえの悩みが発現している。

 以上の通り、AI分析レポートにより表面的な数値の差異だけでなく、数値の中身の差異についても大まかに把握できた。次章では、ここで得た切り口をヒントにして、実際の投稿を見ながらいよいよインサイトに迫っていこう。

次のページ
分析してきたファンの行動から心理・ニーズを考察

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この記事の著者

滝本 暁生(タキモト アキオ)

 2023年プラスアルファ・コンサルティングに入社。CRM/MAツール「カスタマーリングス」とテキストマイニングツール「見える化エンジン」の新規営業を担当し、顧客データ活用からVOC分析まで、企業が抱える幅広いマーケティング課題の解決を支援。現在は企画職も兼任し、コンテンツ制作や情報発信も推進している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/10/14 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49890

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