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生成AI台頭時代に読んでおきたい、コンテンツマーケティングの基本と実践

AIに制作をすべて任せて大丈夫?コンテンツの質を左右する、人間とAIの関わり方とは

コンテンツ制作における生成AI活用の考え方とは?プロンプトも紹介!

 生成AIを使えば、構成作りから原稿執筆まで、時間がかかっていた作業を効率化・時短できることは確かです。しかし、生成AIは何もディレクションせずに自分が思い描いたコンテンツを作ってはくれないため、「AIをどう使うか」「どこに人の手を加えるか」が質を左右します。

 そこで、まずは私が記事制作で生成AIを活用する際の考え方を紹介しましょう。

生成AIを「壁打ち相手」にし、とことん議論する

 コンテンツをどういう方針で作るかを決めるのは、生成AIではなく人間です。その記事によってユーザーにどうしてほしいか、どう思ってほしいかといったアウトラインはあらかじめ人間が定め、中身を形成する際、より質の高いものにするために生成AIを活用します。

 そして生成AIが出したものに、「こういう考え方もあるのではないか」「ここはこうしたい」といったリアクションをすることで、ブラッシュアップしていく――つまり壁打ち相手として生成AIを活用することで、より良いものに仕上がりやすくなるのです。

生成AI任せにしない

 SEO・LLMOにとって重要な、ユーザーを理解することや一次情報(独自情報)を出すこと、そして生成AIが出した情報のファクトチェックなどは、人間が担わなければならない部分です。

 生成AIはあくまで既存のデータを参照して情報を出すため、企業が持つ独自のデータや情報、実体験に基づく洞察といった、独自性を出せる要素は反映することができません。

 また、よく知られたところかもしれませんが、生成AIはもっともらしく嘘をつきます。すでに変更されている古い情報を参照したり、データを誤って解釈したりと、油断できないことが少なくありません。

 そのため、生成AIのアウトプットだけをあてにせず、人間が記事にオリジナリティを加え、事実の正確性を確認することで、品質と信頼性を両立できます。

生成AIを使ったコンテンツ制作の進め方

 ここからは、生成AIを使って記事を作る際の進め方を、「(1)記事構成」「(2)原稿執筆」という2つのフェーズに分けて紹介します。

(1)記事構成

 生成AIに記事の構成案を出してもらう前に、次のような方針を整理しましょう。

  • ターゲットとその知識レベル
  • 狙っているキーワード、検索意図(SEOを踏まえる場合)
  • これを読んだユーザーにどうなってほしいか(記事のゴール)

 こういった前提を伝えないと、生成AIが出す構成案はイメージとズレる可能性があります。それらを踏まえた、記事構成の提案を依頼するプロンプト例は次のようなものです。

あなたはBtoB企業向けのオウンドメディア編集者です。

以下の条件をもとに、「AI活用 社内運用ルール」をテーマにした記事構成(h2・h3中心)を作成してください。

文字数目安は3,000字程度。見出しの順序と粒度が自然で、実務担当者が行動に移せる構成にしてください。

#前提条件

ターゲット

企業のマーケティング部門・DX推進部門・広報チームなどでAI活用を検討している担当者。

生成AIを使い始めているが、社内ルールがなく混乱している層を想定。

狙っているキーワード・検索意図(業務課題ベース)

「AI活用 社内運用ルール」

AIを業務に取り入れたいが、情報漏えいや品質リスク、社内混乱を避けるために、「AI活用の社内ルールをどう作るか」「他社はどんな基準で運用しているのか」を知りたい。

記事のゴール

読者が、AI活用を社内で安全かつ効率的に運用するためのルール作りの考え方と手順を理解し、自社でも策定を進めようと思える状態になること。

#出力形式

  • タイトル案(28字程度)
  • h2・h3構成(それぞれの内容を1〜2文で補足)
  • 一次情報を挿入する位置を明示

#制約条件

  • 検索意図に沿いながら、他サイトを模倣せず独自の構成を提案すること
  • 読者の課題とニーズ(=検索意図)を軸に構成を組み立てること
  • 重複や似た見出しを避け、ステップが明確な流れにすること
  • 読者が「自社でもルールを作れそう」と感じる実践的内容にすること

 ここまでしっかり方向性を伝えられれば、大きくズレた構成案が出てくることはほぼないと思います。

 そして、生成AIに提案された構成案をもとに、「ここに〇〇のような見出しを入れるのはどうだろう」「この情報はトゥーマッチじゃないか」といった壁打ちを行い、AIと人が一緒にブラッシュアップしていく形が理想です。

 また、自社ならではのノウハウや実体験、独自データなど、生成AIが出せない一次情報についても、どういった内容のものをどの位置に入れると、よりユーザーの役に立つかをAIと相談するのもアリでしょう。

 ただし、生成AIが一次情報自体を用意することはできないため、自身で調査や取材などを行った上で適した情報を用意する必要はあります。

(2)原稿執筆

 次に、記事構成をもとにして原稿執筆に取り掛かります。

 原稿を書く際も、最初に記事全体の方向性を生成AIに共有しましょう。具体的には、記事のターゲットや狙い、トンマナといった前提条件、そして全体の構成案を伝えます。

 そしてここからが私ならではのポイントで、見出し(h2)ごとに執筆を進めるのがおすすめです。というのも、実際に執筆を始めると、「記事内で内容が重複する」「見出しの順番がイマイチ」など、記事構成の段階では気づかなかった不都合が起こるケースがよくあります。そういった場合に、全体の原稿が完成してから修正するより、軌道修正が圧倒的に楽なのです。

 また、見出しごとにレビュー→修正のサイクルを回し、段階的に調整を重ねることで、結果的に完成度の高い原稿に仕上がりやすいことを実感しています。記事執筆にあたってのプロンプト例はこちらです。

あなたはBtoB企業向けのオウンドメディア編集者です。

以下の条件をもとに、「AI活用を社内で定着させるための運用ルール設計」という記事を執筆してください。

#記事概要

テーマ:AI活用を社内で定着させるための運用ルール設計
ターゲット:企業のマーケティング部門・広報・DX推進担当者
狙い:AI活用を安全かつ効率的に進めるために、社内ルール整備の考え方と実践手順を理解してもらうこと
トンマナ:BtoBらしく落ち着いたビジネス調。実務寄りでわかりやすく、社内共有にも使える文章に
※掲載するメディアや、イメージしている記事ページのURLを指定するのもアリ

#想定文字数

全体で約3,000字

#構成案(仮)

h1:AI活用を社内で定着させるための運用ルール設計

h2:なぜAI活用に社内ルールが必要なのか

 -AI導入の加速と、現場で起きている混乱(情報漏えい・品質のばらつきなど)
 -ルール整備が「安心して使える環境作り」につながることを解説

h2:社内調査から見えたAI活用の現状と課題

 -社内アンケート・ヒアリングなどの一次情報をもとに課題を提示
 -「ルールがなく判断が人によって異なる」「精度や権限の線引きが曖昧」などを整理

h2:AI活用ルールを設計するステップ

 -利用目的・禁止事項の明文化/承認フローやデータ管理ルールの設計
 -教育・ガイドライン整備までの手順を簡潔に紹介

h2:AIと共著する際の原稿執筆の進め方

 -構成を決めた上で見出しごとに執筆する利点
 -品質維持・レビュー効率化の観点から、人が加えるべき調整ポイントを紹介

h2:まとめ

 -AI活用の定着にはルールと運用体制が不可欠であることを再確認
 -「効率」と「安心」を両立する運用設計の重要性で締める

#執筆ルール

  • 文体は「です・ます調」で統一
  • 専門用語は最小限にし、ビジネス担当者が理解しやすい語彙で

#今回の執筆対象

上記の構成のうち、以下の見出しの本文を作成してください。

見出し:

「なぜAI活用に社内ルールが必要なのか」※冒頭のh2

#出力条件

  • 冒頭でこの見出しの要点を簡潔に提示(1〜2文)
  • 不要な前置きや結論の重複は避ける

 そして私の場合、3つの生成AIツール(ChatGPT、Genspark、Claude)にまったく同じプロンプトを入れて、それぞれに原稿を執筆してもらっています。生成AIと一口に言っても、ツールによって特徴は様々です。そのため、明確に特徴が分かれる3つのツールを利用しています。

<筆者が利用している3つのツールの特徴>

  • ChatGPT:比較的ライトですっきりした原稿を書いてくれる
  • Genspark:スーパーエージェントのせいか、濃厚な原稿が出る
  • Claude:ChatGPTとGensparkの間のイメージ、ライトすぎず濃厚すぎず

 もちろん、各ツールで然るべき指示を出せば、それに則った原稿を生成してくれますが、取り立てて詳細にディレクションしなかった場合は、上記のような印象の原稿が出来上がる、程度に考えてください。

 そして3つのツールが生成した原稿を見比べて、文章ごと、段落ごとにより良いものを採用し、校正していくスタイルです。ただ、このやり方は決して効率的とはいえないかもしれませんし、これをお勧めしたいわけではなく、私も模索中ではあります。

 一つのツールと向き合ってブラッシュアップするのでも、もちろん良いと思いますので、ご自身が納得するやり方を見つけてください。

次のページ
生成AIで原稿を執筆する際に意識していること

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この記事の著者

加藤 直子(カトウ ナオコ)

ナイル株式会社 コンテンツディレクター
一般情報誌や音楽情報メディアの編集部を経て、2017年にナイルへ入社。コンテンツディレクターとして主に医療系、ライフスタイル系などさまざまなメディアで顧客支援を行う。現在は主に「ナイルのSEO相談室」の制作を担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/11/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49941

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