DAZNとシーモア、双方の「需要期」を掛け合わせる。熱量を最大化させた配信戦略
MZ:コミックシーモアでは、DAZNというプラットフォームをどのように活用されたのでしょうか。 配信タイミングや設計、クリエイティブなどを含めて、DAZNの活用法を教えてください。
坂元:まず配信タイミングですが、2つの軸で考えました。1つは、DAZNが最も盛り上がるタイミングです。私たちが最初に広告を出稿したのは今年2月なのですが、ちょうどJリーグの開幕時期に当たり、非常に盛り上がります。このように、熱量の高いDAZNユーザーの方が集まるタイミングに合わせてCMを配信しました。
もう1つは、コミックシーモアが最も盛り上がる需要期です。電子コミックサービスはゴールデンウィークや年末年始、お盆などの長期休暇中に読者が増える傾向にあるため、ゴールデンウィークのタイミングでもリーチを最大化したいと考え、DAZNで広告配信を行いました。

坂元:配信設計については、初めての出稿で新しい試みだったので「わかりやすさ」を重視し、シンプルに設計しました。クリエイティブもテレビCMの素材を活用しています。理由は2つあります。
第1に、まずは「コミックシーモアを知ってもらい、気軽に楽しんでもらいたい」という意図があったことです。DAZNユーザーの方の多くは、おそらくこれまでコミックシーモアのテレビCMに接触する機会が少なかったと考えられます。私たちはテレビCMで「無料で読める作品がたくさんある」「気軽に読める」と訴求しており、まずは「無料」と「気軽さ」を切り口に、コミックシーモアに興味を持っていただくことを重視しました。
第2に、テレビCM素材でパフォーマンスを見たいという思いがあったことです。一度、現状の素材を活用して成果を見ることで、次の戦略につなげたいと考えました。そのため「男性向け」「スポーツマンガ」という訴求はあえてしませんでした。また次の展開では素材を変えた展開なども検討したいと思っています。
マーケティングファネル全体で高リフト、継続出稿で成果は上昇
MZ:2月の出稿が好評だったため、ゴールデンウィークも継続されたそうですね。その具体的な成果と、継続を決めた戦略的な狙いについて、詳しくお聞かせください。
坂元:主要KPIとして置いていた「利用意向のリフト」は、2月の初回出稿から非常に高い結果が出ました。興味関心や好意度なども含め、ファネル全体でリフトが見られ、DAZN出稿がブランド全体に効果的だと分かりました。ただ、一度の結果では判断できないため、ゴールデンウィークに再度出稿して効果を検証しました。結果は前回同様に良好で、確かな手応えを感じましたね。
また、5月の出稿では、訴求の切り口を「無料で読める“作品数の多さ”」から「無料で読める“ジャンルの多さ”」に変えたCMも試したところ、こちらも好結果でした。まずはこうした「ちょっと見てみよう」と思える切り口で始めたのが良かったのだと思います。

MZ:出稿を重ねることで効果に変化はありましたか?
坂元:1回目も2回目もフルファネルで各項目が高いポイントでリフトしましたが、1回目よりも2回目のほうがリフト率が高いという成果がありました。これはおそらく、以前接触した人が再び接触したことなども含め、継続的な蓄積効果があったのではないかと考えています。
MZ:安宅さんに伺いますが、DAZNへの継続出稿にはどのような価値があるのか教えてください。
安宅:私たちの調査から、スポーツファンはブランドロイヤルティが非常に高いというデータが出ています。好きなチームやスポーツとの距離が近いブランドを選ぶ傾向があるため、継続してご出稿いただくことで、スポーツファンとの距離は着実に縮まります。

安宅:実際に広告接触者/非接触者を比較したところ、購入意向が平均して5~10ポイント、認知に至っては平均10~20ポイントも上がる傾向が見られました。継続的な接触によってブランドとファンとの関係を築くことが、結果として利用意向の向上につながると考えています。
またDAZNでは、視聴体験を阻害しないよう、プレイ中ではなくハーフタイムやイニング間など、感情が下がりすぎないモーメントでCM配信を行うため、ユーザーにも好意的に捉えていただいていると考えています。コンテンツの視聴体験を損なうことなく、高いモーメントが維持されている時に何度も接触することで、ブランドへの親近感も生まれやすくなります。

