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MarkeZine Day 2026 Spring

AIで“いま”を可視化!SNSから紐解くトレンド・インサイト分析

生活者の“デジタル漬け”はなぜ解消されないのか?「デジタルデトックス」を求める声の深層を分析

 デジタル化が進んだ結果、様々な媒体を通して膨大な情報の渦に向き合う中で、疲れを感じる生活者は増える一方です。「デジタル断食」「スマホ断ち」といった言葉からも、情報の氾濫から距離を取りたいという生活者の切実なニーズがうかがえます。本稿では、生成AIを用いたSNSデータ約15万件の分析やペルソナへのインタビューから見えてきた「デジタルデトックス」という潮流について、プラスアルファ・コンサルティングが紹介。生活者が情報と心地よい関係を築くポイントを探ります。

デジタルデバイスから距離を置きたくても置けない人々

 「デジタル断食」「スマホ断ち」──近年こうした言葉が日常的に使われるようになっている。多くの人が、無限に流れる情報に疲弊し、情報源であるデジタルデバイスから距離を置く「デジタルデトックス」の必要性を一度は感じたことがあるのではないか。

 なぜ私たちは、デジタルデバイスから「距離を置きたい」と願うのだろうか。そして、なぜ「やめたい」と思っているにもかかわらず、多くの人がスマートフォンを手放せないのか。

 本稿は、このデジタルデトックスという現代人の切実な欲求をテーマに、X(旧Twitter)の投稿を分析した。デジタルが前提となった今、人々がデジタルデバイスや氾濫する情報と「心地よい関係」を築くためのヒントを探っていく。

Xの投稿15万件から、「デジタルデトックス」を分析

 我々は生成AI搭載データ活用プラットフォーム「見える化エンジン」を用いて、Xよりデジタルデトックスに関連するキーワードを含む約15万件の投稿を収集し、分析を行った。

【調査概要】
データソース:X
検索条件:「デジタルデトックス」「スマホ断ち」「スマホ断食」「ネット断ち」「ネット断食」「SNS断ち」「SNSデトックス」「デジタル断食」「スクリーンタイム制限」を1語以上含む投稿(リポストを除外)
対象期間:2024年10月1日~2025年9月30日
分析件数:153,444(データ取得後、bot・広告などの不要データを除外)
使用ツール:見える化エンジン

「デジタルデトックス」と同時に語られるキーワードの連関分析

 まずは人々を「デジタル漬け」に追い込む要因を分析していく。取得した15万件の投稿の全体感を把握していこう。

 下記のマッピングは投稿全体に出現する言葉を俯瞰している。青色の円で示されているのが出現件数上位の名詞で、その名詞とともに使われやすい「係り受け単語」が緑色の円で示される。また、フォントが赤色はポジティブな文脈で使われている単語、青色はネガティブな文脈で使われている単語を表す。

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 マッピングを見ると、「スマホ」や「SNS」の円が大きく、多くの言葉と関連している。これがデジタルデトックスの主な対象であることがわかる。特にSNSは「情報」「多い」といった言葉と関連があり、インプット疲れの状態も推測される。

 さらにデジタルデトックスの実態について迫っていくために「スマホ断ち」のキーワードに着目して深掘っていく。

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 キーワードの「スマホ断ち」は「夜」、そして「朝」と強く結びついている。特に「朝」は「しんどい」というネガティブな評価と関連している。夜間の自由な時間帯に、スマホ利用がエスカレートし、睡眠時間を侵食してしまう。その結果、翌朝の体調や意欲が低下する「夜型のデジタル依存連鎖」が人々を苦しめていることがわかる。

 デジタル漬けの要因は、夜の習慣との因果関係があるのではないかという仮説のもと、Xの投稿の中から時間帯のデジタルデトックスに関するものを集めた。情報との付き合い方について発信する割合は日暮れとともに上昇し、夜が最も多くなっていく。

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 ここから、夜にスマホ利用する人々はどんな心理状態なのか見ていこう。

 見える化エンジンの「AIインサイト」機能では、Xで取得した夜の投稿データに対して、生成AIと対話を行いながら様々な分析を実施することが可能だ。AIインサイトを使い深夜の投稿データをソースにして、夜にスマホを利用する人々はどのような心理状態なのかを聞いてみた。

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 すると、深夜スマホ操作の心理状態として以下の傾向が強いことが確認できた。

  • 寂しさや孤独感
  • 不安やストレスの解消
  • 睡眠障害や生活リズムの乱れ

 ここまでの分析を経て、デジタルデトックスとは、単なるデバイスからの離脱ではなく、「夜の時間」という1日の終わりを癒しの時間に変えて、心の健康を取り戻そうとする、現代人にとっての切実な試みであると換言できるかもしれない。

 私たちはつい「スマホの使用をやめる」ことだけに囚われてしまうが、本当に見直すべきは、その後の「夜の時間の過ごし方」そのものかもしれない。デジタルデトックスではなく、夜の時間を充実させ豊かな夜の過ごし方を取り戻すことに注力するという発想がポイントになるのではないか。

次のページ
「デジタルデトックスに挫折する人」のインサイトを明らかに

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この記事の著者

澤野 未来(サワノ ミク)

 2024年プラスアルファ・コンサルティングに中途入社。CRM/MAツール「カスタマーリングス」のカスタマーサクセスを担当し、企業が抱えるマーケティング課題の解決を支援。現在はテキストマイニングツール「見える化エンジン」の企画職も兼任し、認知拡大に向けたコンテンツ制作や情報発信を推進している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50007

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