このNewエンタメトレンドは、今後どう進化する?
今後の未来予想として、「自分の日常の範囲でエンタメを探し、楽しむ」という動きは“パーソナライズ性”と“シェア性”の両側面において進化していくと推察できます。
上述したように、Z世代の女の子たちは「日常の中で自分なりの楽しみを見つけたい」という欲求を持っています。これにより、自分の好みに合わせてカスタムできるサービスや商品がより支持されるようになるでしょうし、社会の中にそういった「手軽に楽しむことができる」商品も増えていくと予測されます。
また、SNSにおける「真似しやすさ」や「目を引く要素」といったような「話題性」も同じく重要視されます。事例として挙げた「ガチャガチャ」や「ビックリマン風シール」などは、特別な知識やお金が必要なくとも楽しめて、かつ周りの人とシェアできるものでした。今後は、自分なりに楽しめて、かつ誰でも再現・シェアできるコンテンツが、エンタメ消費の中心に据えられていくでしょう。
一方で、こうして「手間のかからないエンタメ」が一般化され「手間の“かかる”エンタメ」が希少になるからこそ、「労力をかけること」、つまり「時間やお金をかけてエンタメを探し、楽しむこと」の価値がますます上がっていくことも予想されます。
第7回記事でご紹介した“編み物”のトレンドはその象徴的な例で、「時間をかけて、自分でもできるクリエイティビティを楽しむ」ポイントが尊いものとして女の子たちに評価されています。単に「時間をかける」のではなく、「自分なりのクリエイティビティを具体的なモノとして表現できる」点が、上記の“パーソナライズ性”と“シェア性”の両方に該当していると言えます。
これまでの話を踏まえて、より商品マーケティングに沿った視点で見てみると、今後は前述した「自分の好みに合わせてカスタムできる商品」のほか、「ランダム性のある商品」も注目されていくでしょう。トレンド事例として取り上げた「ガチャガチャ」もその一つで、何が出るかわからない“ドキドキ感”や“ワクワク感”がスパイスとなり、購買意欲を高めている商品が増えています。
最近では、キーホルダーや缶バッジといった従来のランダム性商品の代表格にとどまらず、ポーチやコスメなどの比較的価格帯の高いアイテムにもランダム性を取り入れた商品が登場しています。これらは、「何が出てくるかわからないから買わない」という“不安”ではなく、「何が出てくるかわからないからこそ“買ってみたい”」という“好奇心”に着目し巧みに刺激する商品だと言えます。
女の子たちは、従来の「お金や時間をかけた“非日常”の中での楽しさ」だけでなく、「お金や時間をかけない“日常”の中での楽しさ」も追い求めるようになりました。自分のお金や時間とにらめっこしつつ、その時々の気分や状況に応じたエンタメを柔軟に選び取ること。それが、これからの時代を生きる女の子たちの新しいスタンダードになっていくのです。
