上位顧客依存度を把握する:累積寄与曲線(パレート曲線)
購入量層を見る際にまず確認したいのが、「累積寄与曲線(パレート曲線)」です。これは顧客を購入金額の多い順に並べ、累積売上の寄与度をプロットしたもので、上位顧客への依存度を示します(図表2)。
このグラフからは、「売上の50%は上位何%の顧客によって支えられているか」「上位2割で8割を占めるといったパレートの傾向が当てはまるのか」といった構造を一目で把握できます。
この累積寄与曲線は、実務でもセグメント定義の出発点として頻繁に使われます。たとえば、「売上の7割を支える上位30%をヘビー層とみなそう」といった具合に、実際の分布を見ながら層の閾値を設定する判断材料として活用されます。このように、まずは累積寄与曲線で全体の分布を捉えた上で、次に具体的な層構造を可視化していくことが効果的です。
層ごとのバランスを直感的に把握する:構成比グラフでの比較
最もシンプルな方法は、顧客をヘビー・ミドル・ライトに区切り、それぞれが売上や顧客数に占める割合を構成比で示す方法です(図表3)。円グラフや棒グラフで可視化すると、各層の相対的な大きさを直感的に把握できます。
これにより、「売上の大半をヘビーユーザーが担っているのか」「ライトユーザーの裾野が広く存在しているのか」といった全体構造が明らかになります。また、年次や施策前後で比較すれば、層構成がどう変化しているかを追跡することが可能です。
層ごとの売上寄与度を可視化する:積み上げ棒グラフでの比較
よりダイナミックに見るには、層ごとの売上や顧客数を積み上げ棒グラフで表示するのが効果的です(図表4)。たとえば、各期の売上を「ヘビー層」「ミドル層」「ライト層」に分解して積み上げることで、全体の成長がどの層によるものかを把握できます。
これにより、「成長の原動力がライト層拡大なのか」「既存ヘビー層の購入増なのか」といった示唆を得ることができます。もしヘビー層の売上が拡大しているのならロイヤルティ施策が奏功している、ライト層の伸びが見られれば育成施策の成果であると解釈できるでしょう。
チャネルやカテゴリ別に層構成を分解する:クロス集計による比較
より詳細に見るには購入量層をチャネル別や商品カテゴリ別に分解する方法もあります(図表5)。
たとえば「コンビニでの購入者はライト層が中心である一方、ECでの購入者はヘビー層がほとんど」といった違いを明らかにできます。これにより、「ライト層はどのチャネルでの接点が中心なのか」「ヘビー層を増やすにはどこで購買させる必要があるのか」といった問いに答えることができ、チャネル戦略や商品戦略の設計に直結します。
これらの可視化を使い分けることで、「誰が・どれくらい・どの領域で」事業を支えているのかを立体的に理解できます。次のページでは、これらの可視化を用いて「どのように比較・解釈すべきか」を具体例とともに整理していきます。
